Skip to main content
2025年6月17日06時18分更新
クリスチャントゥデイ
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム
  2. 論説・コラム
  3. コラム
神声人語

神声人語―御言葉は異文化を超えて―(17)文化の相違への対応 浜島敏

2017年4月1日21時19分 コラムニスト : 浜島敏
  • ツイート
印刷
関連タグ:浜島敏

異国の文化を理解するには、その生活と考え方の中に、許される限りなじんでいかなければなりません。でないと「やもめの家を食い物に」(マルコ12:40)する律法学者のことを、南部メキシコの先住民たちに話すことが無駄骨折りであることに気付かないことになります。

この地方では、よくトウモロコシの茎で家の壁が作られ、屋根が草でふいてあるために、家畜はまぐさが欠乏してくると、家屋を実際に食べてしまうのです。だから彼らは腹の空いた牛の群れがやってきて家を食べてしまわないように用心します。

「やもめの家を食い物にする」も、ところによっては有効な例えになるどころか、現実の危険を表すことになるのです。こんなわけで、彼らは聖書を読んで「一体この律法学者は何だろうね。腹がへってがっついている家畜のことかね」といぶかることになります。こんな場合には「未亡人の家を破壊する」と訳すべきです。

文化の相違は、翻訳の妨げにはなりません。相違に従って、相当する訳語を探せば事足ります。寝そべったようなヴィクトリア湖の、曲がりくねった沿岸に住むザナキ族に、「見よ、わたしは戸口に立って、たたいている」(黙示録3:20)などと言うわけにはいきません。これではキリストが、俺は盗人である、と宣言しているのも同然です。

ザナキでは、泥棒はこれから押し入ろうとする小屋の扉をノックすることにしているからです。家の中で何か人の気配か物音でもすると、泥棒はそそくさと暗闇に消えるのです。まともな人なら、他人の家にやって来ると、中にいる人の名を呼びます。そして、声で誰であるかを分からせるのです。

従ってザナキ語では「ごらんなさい、私は戸の外に立って呼ぶのです」と訳さなければなりません。この表現は少々妙にひびくでしょうが、表す意味は同じです。いずれもキリストは、人々に門戸を開くように望んでいるのです。キリストは盗人ではないから、無理に押し入ることはなさいません。キリストは戸を叩く──つまり、ザナキ語の「呼ぶ」──のです。どちらかといえば、ザナキ語の言いまわしが、私たちのよりも人間らしい親しみがあるようです。

文化上の対応が、時として妙に異なる場合があります。オートボルタ(現ブルキナファソ)のワガドゥグーの町は、かれきって広漠と広がる砂漠で囲まれています。この辺境に住む頑強なモシ族は、船など全く知らないし、いかりなどなおさらです。ですから、「魂にとって頼りになる、安定した錨(いかり)」(ヘブライ6:19)などと言っても、馬の耳に念仏です。「錨」という語を説明するのには、おそらく1節の文をつづらなければならないでしょう。

またこれを「魂のための重い、またのある鉄片」とでも言おうものなら、嘆かわしいほど残酷な苦痛を表す意味にとられ、精神の安らぎや安全には何の関わりもない言葉になるでしょう。けれどもモシ族は「尖り杭」という完全に対応する語を持っております。彼らは馬や牛の群れを大切に所有しており、夜分には「尖り杭」につないで、柵で囲うのを習いとしております。

ですからこの人たちの読む新約聖書には「魂を安全にし、不動にする尖り杭」と書いてあります。この「尖り杭」は特に貴重な語です。というのは、モシ族はこの語の比喩的な意義を認めているからです。彼らのことわざの1つに「良い馬を悪い尖り杭につなぐ者なし」というのがあります。

文化上の対応が全くないこともあります。信じられないことですが、この広い世界のどこかには、賭け事を全く知らない人々も住んでいるのです。シピーボ族にそういう人がいます。限りなく続く緑草地帯を貫いて、もつれた輝かしいリボンのように流れているアマゾン川の支流、ペルー領内の幅広く曲がりくねった河岸に、彼らの村落は腰を据えています。

一生かかって探したところで、シピーボ語の中に「ばくち」を表す現地の言葉は見つかりません。こんな単語は本来ないのです。彼らは賭け事を知らないからです。そうなると、マルコによる福音書15章24節にある、兵士たちがイエスの着物を分けるために「くじ引きで決めて」というくだりを、どのように訳したものでしょうか。

たとえかゆい所に手が届かない感じがあっても、事の次第を記述するより手はありません。そこで、シピーボ語訳には、「彼らは小さなものをふって、だれが何を取るかを定めた」とあります。もちろん「小さなものをふった」という句は説明の必要があるでしょう。が、それは聖書ではここに限ったことではありません。

<<前回へ     次回へ>>

*

【書籍紹介】
ユージン・ナイダ著『神声人語―御言葉は異文化を超えて』
訳者:繁尾久・郡司利男 改訂増補者:浜島敏

ユージン・ナイダ著『神声人語―御言葉は異文化を超えて』

世界の人里離れた地域で聖書翻訳を行っている宣教師たちと一緒に仕事をすることになって、何百という言語に聖書を翻訳するという素晴らしい側面を学ぶまたとない機会に恵まれました。世界の70カ国を越える国々を訪れ、150語以上の言語についてのさまざまな問題点を教えられました。その間、私たち夫婦はこれらの感動的な仕事の技術的な面や、人の興味をそそるような事柄について、詳細なメモを取りました。

宣教師たちは、未知の言語の文字を作り、文法書や辞書を書き、それらの言語という道具を使って神の言葉のメッセージを伝えるのです。私たちは、この本を準備するに当たって、これらの宣教師の戦略の扉を開くことで、私たちが受けたわくわくするような霊的な恵みを他の人たちにもお分かちしたいという願いを持ちました。本書に上げられているたくさんの資料を提供してくださった多くの宣教師の皆さんに心から感謝いたします。これらの方々は、一緒に仕事をしておられる同労者を除いてはほとんど知られることはないでしょう。また、それらの言語で神の言葉を備え、有効な伝道活動の基礎を作ったことにより、その土地に住む人々に素晴らしい宝を与えられたことになります。その人たちは、彼らの尊い仕事を決して忘れることはないでしょう。

本書は説教やレッスンのための教材として役立つ資料を豊富に備えていますが、その目的で牧師や日曜学校教師だけのために書かれたものではありません。クリスチャン生活のこれまで知らなかった領域を知りたいと思っておられる一般クリスチャンへの入門書ともなっています。読者の便宜に資するために3種類の索引をつけました。①聖句索引、本書に引用されている聖書箇所を聖書の順に並べました、②言語索引、これらのほとんど知られていない言語の地理上の説明も加えました、③総索引、題目と聖書の表現のリストを上げました。

ユージン・ナイダ

◇

浜島敏

浜島敏

(はまじま・びん)

1937年、愛知県に生まれる。明治学院大学、同大学院修了。1968年4月、四国学院大学赴任。2004年3月同大学定年退職。現在、四国学院大学名誉教授。専攻は英語学、聖書翻訳研究。1974、5年には、英国内外聖書協会、大英図書館など、1995、6年にはロンドン大学、ヘブライ大学などにおいて資料収集と研究。2006年、日本聖書協会より、聖書事業功労者受賞。2014年7~9月、ロンドン日本語教会短期奉仕。神学博士。なお、聖書収集家として(現在約800点所蔵)、過去数回にわたり聖書展示会を行う。国際ギデオン協会会員。日本景教研究会会員。聖書の歴史、聖書翻訳に関する著書・翻訳書、論文多数。

■ 【浜島敏著書】(Amazon)
■ 【浜島敏著書】(イーグレープ)

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
関連タグ:浜島敏
  • ツイート

関連記事

  • 神声人語―御言葉は異文化を超えて―(16)聖書翻訳をはばむとげやいばら 浜島敏

  • 神声人語―御言葉は異文化を超えて―(8)奇妙な発音、奇天烈な文法、おまけに気まぐれな語句 浜島敏

  • 神声人語―御言葉は異文化を超えて―(2)所かわれば品かわる・その1 浜島敏

  • 神声人語―御言葉は異文化を超えて―(1)はじめに 浜島敏

  • 神様からのメッセージ(41)終わりに 浜島敏

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • リック・ウォレン牧師、カトリックのイベントで講演 宣教による一致を語る

  • 「もうひとりの助け主」の恵みを受けよう 万代栄嗣

  • 自分の考えを大切に生きよう 菅野直基

  • 花嫁(27)絶えず喜んでいなさい 星野ひかり

  • 待ち望む力 佐々木満男

  • ワールドミッションレポート(6月15日):ベラルーシのために祈ろう

  • ワールドミッションレポート(6月14日):スイス 信仰で買ったトラクター、ローレン・カニングハムとYWAMに託された農場の奇跡

  • コヘレトの言葉(伝道者の書)を読む(5)時の賛歌 臼田宣弘

  • 日本人に寄り添う福音宣教の扉(224)音楽が支える聖霊による祈り 広田信也

  • ワールドミッションレポート(6月16日):アンゴラのクワンガリ族のために祈ろう

  • 「ハーベスト・ジャパン2025」開催決定! “世界的な癒やしの器” ギエルモ・マルドナード牧師が来日

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

  • 日本人に寄り添う福音宣教の扉(224)音楽が支える聖霊による祈り 広田信也

  • コヘレトの言葉(伝道者の書)を読む(5)時の賛歌 臼田宣弘

  • リック・ウォレン牧師、カトリックのイベントで講演 宣教による一致を語る

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • ワールドミッションレポート(6月14日):スイス 信仰で買ったトラクター、ローレン・カニングハムとYWAMに託された農場の奇跡

  • 『天国は、ほんとうにある』のコルトン君、臨死体験から22年後の今

  • 自分の考えを大切に生きよう 菅野直基

  • 「ハーベスト・ジャパン2025」開催決定! “世界的な癒やしの器” ギエルモ・マルドナード牧師が来日

  • 『天国は、ほんとうにある』のコルトン君、臨死体験から22年後の今

  • 1990年代生まれのプログラマー、カトリック教会の聖人に

  • 【ペンテコステメッセージ】約束の成就と聖霊の力―ペンテコステの恵みにあずかる 田頭真一

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • 大統領選の結果受け韓国の主要キリスト教団体が相次いで声明、和解と相互尊重を訴え

  • フランクリン・グラハム氏、ゼレンスキー大統領と面会 和平求め祈り

  • 淀橋教会、峯野龍弘主管牧師が引退し元老牧師に 新主管牧師は金聖燮副牧師

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

編集部のおすすめ

  • 四国の全教会の活性化と福音宣教の前進のために 「愛と希望の祭典・四国」プレ大会開催

  • イースターは「揺るぎない希望」 第62回首都圏イースターのつどい

  • 2026年に東京のスタジアムで伝道集会開催へ 「過去に見たことのないリバイバルを」

  • 「山田火砂子監督、さようなら」 教会でお別れの会、親交あった俳優らが思い出語る

  • 日本は性的人身取引が「野放し」 支援団体代表者らが院内集会で報告、法規制強化を要請

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 編集部
  • お問い合わせ
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 採用情報
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • X(旧Twitter)
  • Instagram
  • YouTube
  • RSS
Copyright © 2002-2025 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.