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神声人語

神声人語―御言葉は異文化を超えて―(18)「救い」のつもりが・・・ 浜島敏

2017年4月14日16時14分 コラムニスト : 浜島敏
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関連タグ:浜島敏

宣教師が、文化上の諸問題に気付かずにいて重大な間違いを犯し、かつ広範囲に誤解を招いたこともあります。西アフリカの翻訳者の1人が、「救う」を意味すると思われる語を苦心の末聞き出しました。何年もの間、その語を用いていたのですが、そのうちについにこの語は、ただ「ぼろをつなぎ合わせる」ことを表しているにすぎないことに気付く日が来ました。

それは、聖書に表された贖(あがな)いによる救いには、まことに不似合いな用語です。さらに悪いことは、「恩寵(おんちょう)」のつもりで、人々に呪いをかけるときに用いる語を使っていたことです。この人は「恩寵」を、人々の上に降る霊的な力として説明していたのです。けれども、多くの文化においては、超自然的な力は、善よりもむしろ恐ろしく、有害なものとされているのです。

この宣教師が用い続けていた語が、実は大変な忌み言葉でしたから、人々は魔法使いとして非難されるのを恐れて、ただ人の聞いていないときにだけ、こっそり「つぶやいてみる」といったわけでした。神の恩寵を宣べ伝えるどころか、この宣教師は黒い魔の力と、神の呪いの効き目をほめそやしていたことになるのです。

さて、このように明白な誤訳よりも事が重大なのは、安易に現地の考え方に迎合しようとする傾向です。西アフリカの1地区では、「救い」は文字通り「自由にすること」を意味しておりました。これはこれでよかったのです。というのは、言葉の真の意味からいえば、救いは自由になること、すなわち、権力から自由にされ、罪の結果犯す非行から解放されることであるからです。

しかし、現実的な考え方を持つ先住民たちは、この自由を何かまるで違った意味にとっていたのです。子どもたちは、学校に行って読み書きを習いさえすれば、路上でいやいや働かされることもなければ、政府のお役人のために運搬人になって強制労働に服することもないし、人によっては税を免除してもらえたのです。宣教本部で働いている改宗者たちは、強制労働からも、税金からも解放されていたのです。

ですから多くの人々は、キリスト教徒になり、「自由」になるということに、何ら精神的意義を感じなかったのです。この人たちは、ただ経済的、政治的自由だけを考えていたのです。それには宣教師団とお付き合いすることが最も手っとり早かったわけです。神のご用に一身をささげた宣教師たちの長年にわたる熱心な伝道も、物欲一点ばりの耳に入っては、豚に真珠でした。

この西アフリカの人たちは、本来スカルの町の井戸にいた女に似ています(ヨハネ4章)。彼女は、日ごとに井戸に出掛けて水を汲まずに済むのならというだけで、生ける水に興味を持っていた人です。イエスはこの女が、物質主義から抜け出て、霊の必要を認めるようにとお導きになりました。

福音の教えは、しばしば純粋に物資的対象を描くことから始まりますが、この教えは、人々を霊的真理へ導かなければならないのです。不幸なことに、西アフリカにいる宣教師たちは、現地語を十分話せなかったがために、これを実行することができなかったのでした。

宣教師たちは、自分らの考えにぴったりと合うような、多くの新造語を作り出したいという誘惑にかられることがよくあります。もちろん、多くの造語をしなくてはなりません。が、これは、浮世を離れた書斎の仕事では困るのです。言葉というものは、絶えず使用されてこそ言葉なのです。使われているかどうかを調べないと、メキシコのある原住民の言葉に起こったように、途方もない表現を生み出してしまうことになります。

翻訳者は「ことば」が「恵みとまことに満ちておられた」ものとして語られているヨハネによる福音書1章14節を訳そうとしました。この訳者は、「恵み」は当然「贈り物」であろうが、ここではただの贈り物以上の意味を持つに違いない、と思いめぐらしました。そこで「命の贈り物」、あるいは、より直訳的に「生きた贈り物」とでもしようか、と考えました。

ところが、現地人助手にこの語について尋ねてみると、実は何のことか分からないと言います。とうとう、しまいには、「そうですね、ひなどりのことじゃないですか」と告げました。要するに、人々がやりとりする生きた贈り物といえば、ひなどり以外にはないというのです。そこで、この地の聖書には、この箇所の「ことば」は「ひなどりとまことに満ちあふれている」となった次第です。

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*

【書籍紹介】
ユージン・ナイダ著『神声人語―御言葉は異文化を超えて』
訳者:繁尾久・郡司利男 改訂増補者:浜島敏

ユージン・ナイダ著『神声人語―御言葉は異文化を超えて』

世界の人里離れた地域で聖書翻訳を行っている宣教師たちと一緒に仕事をすることになって、何百という言語に聖書を翻訳するという素晴らしい側面を学ぶまたとない機会に恵まれました。世界の70カ国を越える国々を訪れ、150語以上の言語についてのさまざまな問題点を教えられました。その間、私たち夫婦はこれらの感動的な仕事の技術的な面や、人の興味をそそるような事柄について、詳細なメモを取りました。

宣教師たちは、未知の言語の文字を作り、文法書や辞書を書き、それらの言語という道具を使って神の言葉のメッセージを伝えるのです。私たちは、この本を準備するに当たって、これらの宣教師の戦略の扉を開くことで、私たちが受けたわくわくするような霊的な恵みを他の人たちにもお分かちしたいという願いを持ちました。本書に上げられているたくさんの資料を提供してくださった多くの宣教師の皆さんに心から感謝いたします。これらの方々は、一緒に仕事をしておられる同労者を除いてはほとんど知られることはないでしょう。また、それらの言語で神の言葉を備え、有効な伝道活動の基礎を作ったことにより、その土地に住む人々に素晴らしい宝を与えられたことになります。その人たちは、彼らの尊い仕事を決して忘れることはないでしょう。

本書は説教やレッスンのための教材として役立つ資料を豊富に備えていますが、その目的で牧師や日曜学校教師だけのために書かれたものではありません。クリスチャン生活のこれまで知らなかった領域を知りたいと思っておられる一般クリスチャンへの入門書ともなっています。読者の便宜に資するために3種類の索引をつけました。①聖句索引、本書に引用されている聖書箇所を聖書の順に並べました、②言語索引、これらのほとんど知られていない言語の地理上の説明も加えました、③総索引、題目と聖書の表現のリストを上げました。

ユージン・ナイダ

◇

浜島敏

浜島敏

(はまじま・びん)

1937年、愛知県に生まれる。明治学院大学、同大学院修了。1968年4月、四国学院大学赴任。2004年3月同大学定年退職。現在、四国学院大学名誉教授。専攻は英語学、聖書翻訳研究。1974、5年には、英国内外聖書協会、大英図書館など、1995、6年にはロンドン大学、ヘブライ大学などにおいて資料収集と研究。2006年、日本聖書協会より、聖書事業功労者受賞。2014年7~9月、ロンドン日本語教会短期奉仕。神学博士。なお、聖書収集家として(現在約800点所蔵)、過去数回にわたり聖書展示会を行う。国際ギデオン協会会員。日本景教研究会会員。聖書の歴史、聖書翻訳に関する著書・翻訳書、論文多数。

■ 【浜島敏著書】(Amazon)
■ 【浜島敏著書】(イーグレープ)

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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