Skip to main content
2025年7月3日12時43分更新
クリスチャントゥデイ
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム
  2. 論説・コラム
  3. コラム
脳性麻痺と共に生きる

脳性麻痺と共に生きる(22)養護学校の高校受験 長く感じた入試当日 有田憲一郎

2017年1月24日10時35分 コラムニスト : 有田憲一郎
  • ツイート
印刷
関連タグ:障がい

養護学校(現在の特別支援学校)に通う子どもたちには、学校に毎日通いたくても、体が弱かったり検査や治療などの事情で休まざるを得ない子もいます。精いっぱい与えられた命を生きながらも、障碍(しょうがい)や病によって悲しくも短い生涯を終えてしまう子がいる現実もあります。僕自身、高校を卒業するまでにも数人の同級生や先輩、後輩たちを天国へ送ってきました。

障碍の有無にかかわらず、病気もすることなく健康に毎日を過ごすことができることは、何よりの宝だと思います。そして健康に育ててくれた両親に感謝しています。他界した父のことを「PTAの仕事で毎日学校にいることが嫌だった」と思いながらも、友達や先生方と過ごす時間は楽しく、中学生まではほとんど休むことなく学校に通っていました。

そんな元気な僕も年に1回は風邪をひいていました。検査で脳波に発作を引き起こす可能性の症状が見られると毎日薬を服用し、年に1、2回の定期健診を受けていたため、年に数回は学校を休んでいたのです(幸い、今まで1度も発作が起きたことはありませんが)。

僕はその当時、皆勤賞というものに憧れていました。「病院の検査は仕方がないけど、あとは風邪で1日だけ休んだだけじゃない。皆勤賞、狙えるかもよ」と先生方から言われた記憶もあります。「風邪さえひかなければ・・・」

いつだったか、僕は主治医の先生に、こうお願いしたことを覚えています。「先生。僕、学校を休みたくないんだ。だから、できるだけ学校が休みの時にしてください」。学校が休みとなる、夏休み、冬休み、春休みの期間に検査をしてもらいたいと思ったのです。主治医の先生は僕のお願いを聞いてくださり、検査を学校が休みの期間中に合わせてもらえるようになりました。しかし残念ながら、僕は年に1度は風邪をひいてしまい、結局1度も皆勤賞を取ることができませんでした。

僕は主治医の先生にもう1つ、あるお願いをしました。「先生、薬をやめてもいいですか。飲みたくないんです」。服用していたのは発作を抑える薬で、命にかかわる大切な薬です。

それまで実際に発作を起こしたことはありませんでしたが、いつ起きてもおかしくない兆候が脳波に見られていたことから1日3回薬を飲んでいました。「薬、嫌いで飲むのも面倒くさい」。そう先生に言うと、先生は笑いながら「分かりました。脳波には発作の波が出ているけど実際に起こったことはないし、徐々に量を減らしていって、様子を見ながらやめる方向で考えていきましょう」。こうして僕は、徐々に発作を抑える薬をやめることに成功しました。

養護学校の高校受験の日

養護学校のほとんどは小学校から高等学校までの12年間を同じ校舎で学べることができ、校舎内で小学部、中学部、高等部にそれぞれ分かれています。しかし、普通校と同じように小学部、中学部までは義務教育ですが、高等部は義務教育ではないため、進学するために入学試験が行われます。

入学試験には校長先生との面談もあり、世に言う志望動機などを聞かれます。11月に入った頃からホームルームの時間に面談の練習が行われました。教室を面談会場にして、部屋への入り方からあいさつの仕方、言葉の使い方や敬語の使い方、そして質問の答え方を学び、志望動機を考え、試験当日の面談に備えていきました。

皆さんが中学3年生の時、志望する高校を目指し自分の実力と偏差値などと向き合い、合格するため夜遅くまで必死で勉強して試験に臨んだのではないでしょうか。希望する高校に行けるか、行けないか。それは長い人生の中で最初に自らが選択し自らが志望校を決め、初めて己と戦う試練の時なのかもしれません。そんな高校受験ですが、養護学校は普通校とは少し違うところもあります。

養護学校でも学力テストが行われます。試験に出される問題の内容はそれぞれに違い、その子が中学部で分けられたグループで習ってきた内容から出題され、その子の学力と実力を試す試験になっています。試験の結果を見て、高等部でその子にどのグループで学ばせ、どんな教育が必要なのかということを見るための学力試験で、実は普通の高校受験のように試験の成績が悪いから高等部に通えないということではないのです。

しかし、学校や先生方は普通の入試のように「今のままではちょっと厳しいな。高等部に入学できるように頑張ろうな」と、僕たちにリアリティーと緊張感を持たせるための演出が始まります。しかし、僕はほとんど勉強もせず、高等部の入試を迎えました。

2月の寒い入試当日、僕は緊張しながら毎日通い慣れた学校へと向かいました。養護学校の高校入試には保護者が付いて行きます。僕も父と車で学校に行き、見慣れたはずなのにまるで違う学校に試験を受けに来ている感覚だったことを今でも覚えています。

学校に行く校門に高等部入学試験会場の立て看板が建てられていました。登校すると受験者受付があり、担任の先生ではなく高等部の先生方に車いすを押してもらい高等部の教室に向かいました。

教室の控室で試験の説明を聞いていると、中学の担任の先生が僕たちの様子を伺いに来てくれました。「みんな、おはよう。緊張してるね。学んだことを試すだけだから大丈夫。リラックスだぞ」。先生は笑いながら言うと、「この子たちをよろしくお願いします」、高等部の先生方にそう言い残し教室を後にして行かれました。先生が教室を後にしてからしばらくして「そろそろ時間です。それぞれの試験会場に行ってください」。僕は先生に車いすを押してもらい、自分が試験を受ける教室に向かいました。

試験は中学部でその生徒が学んだことから問題が出されます。学んできたグループやその子の学力レベルなどによって、試験の内容や方法などが違います。また一人一人障碍に合わせ大きな文字でも書けるようにし、自分では文字が書けない生徒には先生が付き、答えを口頭や文字盤で伝え、代筆で行われます。口頭で答えていくため、代筆で試験を受ける子はお互いに答えが聞こえずカンニングできないように、それぞれ別の教室で試験が行われました。

必修試験が終わると、校長室で一人一人校長先生との面接が始まります。「試験が終わったら、ご飯を食べに行こう」。のんきなのか、それとも僕たちの緊張をほぐそうとしていたのか、一緒に順番を待つ廊下で保護者同士、そんな話をしていたことを覚えています。そうしているうちに、面接の順番が僕に回ってきました。

「有田憲一郎君、中にお入りください」。父に車いすを押され、ホームルームで繰り返し練習したことを思い出しながら、校長室に入り面接を受けました。何度もお邪魔している校長室にいつも会っている校長先生がいます。しかし、この日の校長先生は、いつもの校長先生とは僕の目に違って見えていたのです。

<<前回へ     次回へ>>

◇

有田憲一郎

有田憲一郎

(ありた・けんいちろう)

1971年東京生まれ。72年脳性麻痺(まひ)と診断される。89年東京都立大泉養護学校高等部卒業。画家はらみちを氏との出会いで絵心を学び、カメラに魅力を感じ独学で写真も始める。タイプアートコンテスト東京都知事賞受賞(83年)、東京都障害者総合美術展写真の部入選(93年)。個展、写真展を仙台や東京などで開催し、2004年にはバングラデシュで障碍(しょうがい)を持つ仲間と共に展示会も開催した。05年に芸術・創作活動の場として「Zinno Art Design」設立。これまでにバングラデシュを4回訪問している。そこでテゼに出会い、最近のテゼ・アジア大会(インド07年・フィリピン10年・韓国13年)には毎回参加している。日本基督教団東北教区センター「エマオ」内の仙台青年学生センターでクラス「共に生きる~オアシス有田~」を担当(10〜14年)。著書に『有田憲一郎バングラデシュ夢紀行』(10年、自主出版)。月刊誌『スピリチュアリティー』(11年9・10月号、一麦出版社)で連載を執筆。15年から東京在住。フェイスブックやブログ「アリタワールド」でもメッセージを発信している。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
関連タグ:障がい
  • ツイート

関連記事

  • 脳性麻痺と共に生きる(21)弟に「ありがとう。そして・・・ごめんね」 有田憲一郎

  • 脳性麻痺と共に生きる(20)「福祉が嫌い」という言葉への苦い記憶・その2:いつも学校に父がいた

  • 脳性麻痺と共に生きる(19)「福祉が嫌い」という言葉にある苦い記憶 有田憲一郎

  • 脳性麻痺と共に生きる(18)障碍者は違う世界なの?パラリンピックと「バリバラ」から考える 有田憲一郎

  • 脳性麻痺と共に生きる(17)なんだかパラリンピックが忘れられているような 有田憲一郎

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • 淀橋教会で新主管牧師就任式・祝賀会 金聖燮牧師が6代目に

  • Gゼロ時代の津波石碑(3)日中韓、泥沼化する「桜の起源」論争 山崎純二

  • 篠原元のミニコラム・聖書をもっと!深く!!(233)聖書と考える「キョコロヒー」

  • シリア語の世界(27)シリア語旧約聖書の各書名と1章1節の和訳 川口一彦

  • ヨハネの黙示録(4)死とハデスの鍵 岡田昌弘

  • 日本人に寄り添う福音宣教の扉(225)エンディングを伴走して日本宣教を進めよう! 広田信也

  • 賢い時間の使い方「ゆっくり、今すぐに」 菅野直基

  • ワールドミッションレポート(7月2日):バーレーン 湾岸諸国における霊的な戦略拠点

  • シリア首都で教会狙った自爆テロ、25人死亡 現地のキリスト教徒ら、さらなる暴力懸念

  • ワールドミッションレポート(6月29日):北朝鮮 大胆な一歩、北朝鮮で執り行われた秘密の洗礼式(3)

  • 淀橋教会で新主管牧師就任式・祝賀会 金聖燮牧師が6代目に

  • 米国の福音派牧師は半数近くが兼業している 調査で判明

  • 日本人に寄り添う福音宣教の扉(225)エンディングを伴走して日本宣教を進めよう! 広田信也

  • ヨハネの黙示録(4)死とハデスの鍵 岡田昌弘

  • シリア首都で教会狙った自爆テロ、25人死亡 現地のキリスト教徒ら、さらなる暴力懸念

  • 花嫁(28)伝道の思い 星野ひかり

  • 全ての人の主イエス・キリスト 万代栄嗣

  • 「苦しみ」と「苦しみ」の解決(7)人は「単独者」である 三谷和司

  • 篠原元のミニコラム・聖書をもっと!深く!!(233)聖書と考える「キョコロヒー」

  • ワールドミッションレポート(6月29日):北朝鮮 大胆な一歩、北朝鮮で執り行われた秘密の洗礼式(3)

  • 淀橋教会で新主管牧師就任式・祝賀会 金聖燮牧師が6代目に

  • 米国の福音派牧師は半数近くが兼業している 調査で判明

  • 篠原元のミニコラム・聖書をもっと!深く!!(233)聖書と考える「キョコロヒー」

  • 日本人に寄り添う福音宣教の扉(225)エンディングを伴走して日本宣教を進めよう! 広田信也

  • 全ての人の主イエス・キリスト 万代栄嗣

  • ヨハネの黙示録(4)死とハデスの鍵 岡田昌弘

  • シリア首都で教会狙った自爆テロ、25人死亡 現地のキリスト教徒ら、さらなる暴力懸念

  • Gゼロ時代の津波石碑(3)日中韓、泥沼化する「桜の起源」論争 山崎純二

  • 花嫁(28)伝道の思い 星野ひかり

  • ワールドミッションレポート(6月30日):インドネシア 静かに進む魂の変革

編集部のおすすめ

  • 四国の全教会の活性化と福音宣教の前進のために 「愛と希望の祭典・四国」プレ大会開催

  • イースターは「揺るぎない希望」 第62回首都圏イースターのつどい

  • 2026年に東京のスタジアムで伝道集会開催へ 「過去に見たことのないリバイバルを」

  • 「山田火砂子監督、さようなら」 教会でお別れの会、親交あった俳優らが思い出語る

  • 日本は性的人身取引が「野放し」 支援団体代表者らが院内集会で報告、法規制強化を要請

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 編集部
  • お問い合わせ
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 採用情報
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • X(旧Twitter)
  • Instagram
  • YouTube
  • RSS
Copyright © 2002-2025 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.