続編も決定 映画『ふうけもん』のモデル、元祖便利屋・右近勝吉さん

2015年12月14日11時16分 インタビュアー : 坂本直子 印刷
続編も決定 映画『ふうけもん』のモデル 元祖便利屋右近勝吉さん
元祖便利屋の右近勝吉さん。モットーは「人と人の出会い、ふれあいを大切にして、信頼、安心、笑顔、心の満足をお届けします」だ。

『釣りバカ日誌』シリーズの栗山富夫の監督、中村雅俊の主演による映画『ふうけもん』。昨年9月から全国でのホール上映が始まり、総勢3万人を超える観客動員を達成した。各地で続くアンコール上映も大盛況で、すでに続編の撮影も決定しているという。この映画のモデル、元祖便利屋・右近サービス社代表の右近勝吉さんに話を聞いた。

「ふうけもん」とは、佐賀の方言で「社会の枠からはみ出した変わり者、バカ者」という意味。「栗山監督は、『ん』がつくのがいいって言うんだよね。『ドラえもん』とか『ポケモン』とか」と、右近さんは映画がヒットした理由を「ん」がつく映画タイトルのおかげだと冗談めかして語る。もともと右近さん自身のことである「ふうけもん」に、映画を見る人の心がとらえられたのは、この映画の動員数を見ても明らかだ。

右近さんが便利屋を始めたのは38歳のとき。それまでは、数年働いてお金がたまれば海外を旅するということを繰り返してきた。「そろそろ定職に就こうと思って面接に行った会社で、世界中を回ったことを書いた履歴書を見た面接官に、『君はフーテンだったのか』と言われ、自分の生き方や人格そのものを否定されたような気持ちになった」と当時を振り返る。会社勤めを断念した右近さんは、当時のテレビドラマにヒントを得て、「便利屋」開業を思い立ち、すぐにチラシを3千枚ほど作り、近所に配って歩いた。世間の雑用代行業を1件500円からスタートさせた。

「何でもやります」の文句通り、家庭のゴミ出しから、引っ越し、猫の死骸の後始末など、多種多様な注文が舞い込み、どんどん引き受けたという。意外に多かったのは「話し相手になってほしい、一緒に食事をしてほしい」というもので、「普通のおばあさんで、昼ご飯を一緒に食べただけなのに、何十万円というお金をもらった。それも一回だけでなく何度も」と右近さんは明かす。「世の中には寂しさを抱えた人がたくさんいる。そういう人たちが、便利屋に依頼をしてくるのかもしれない」と、声が掛かった一人一人を思い浮かべるように話した。

続編も決定 映画『ふうけもん』のモデル 元祖便利屋右近勝吉さん
右近サービス社の名刺代わりのチラシ

著書の中で「便利屋は天職だ」と述べる右近さんだが、天職とは何かと聞くと「長く続くことだね」と至ってシンプルな答えが返ってきた。ただし、天職と呼べる便利屋を始めるまでの人生は波乱万丈だ。1940年に現在の中国東北部(満州)で生まれ、終戦後帰国。佐賀県で少年時代を過ごした。中学生のときに家族で上京し、新宿に住んだという。その頃、近所のヤクザの事務所に出入りするようになり、転落の一途をたどる。「将棋が強かったから、大道詰め将棋で素人からお金を巻き上げたり、池袋や渋谷あたりのヤクザと小競り合いをし、警察の厄介になったりした」と当時を振り返る。

現在の住まいは世田谷の明大前で、「親が、新宿から離れれば少しは更生するんじゃないかと思って」引っ越してきたのだという。今は閑静な住宅街だが、当時は雑木林がうっそうと広がっていた。しかし、親の願いもむなしくそこから新宿に通い、相変わらずヤクザの世界に身を置いた。やがて近所でも鼻つまみ者になっていた。そんな時、1人の宣教師に出会う。その人に会いたいがために教会に行き、勧められるままに渋谷にあるhi-b.a.(ハイ・ビー・エー、高校生聖書伝道協会)の集まりにも出るようになった。

hi-b.a.の熱心な牧師の伝道により、イエスを信じるようになった右近さんは、ヤクザの世界からきっぱりと抜け出し、クリスチャンとして生きるようになった。大学を卒業し、世界一周の旅に出たときも、下駄を履き、背中に「Japanese Christian」と書いたTシャツを着ていた。「その2つのおかげで、宿泊先を提供してくれる人に巡り合えたり、教会に呼んでもらい、お金をカンパしてもらったりした」と思わぬ祝福にあずかったという。

右近さんは、便利屋の他にあちこちの教会や大学に呼ばれ、信仰の体験談を話す。日本だけでなく世界中どこでもだ。さらに、「UKON HOUSE」という外国人旅行者向けのホテルも運営している。海外で親切にしてもらった恩を少しでも返したいとの思いからだ。この宿泊施設のドアには、2個の鍵がついている。これは、右近さんがインドを旅行したとき、部屋がカーテンで区切られているだけでとても怖い思いをしたからだという。日本にいる間は、少しでも安全で快適に過ごしてほしいとの思いやりが込められている。

今後、故郷の佐賀でも、便利屋や「よろずごと相談室」をオープンする予定だ。日々の困り事・悩み事、引きこもりや不登校などの相談から、一緒に食事をしたり、お茶を飲んだりなど、何でも引き受けるという。「行き場のない人のための居場所」が右近さんの構想だ。

右近さんはこの話をしながら、エレミヤ書29章11節の「主の御告げ」を口にした。「わたしは、あなたたちのために立てた計画をよく心に留めている、と主は言われる。それは平和の計画であって、災いの計画ではない。将来と希望を与えるものである」。右近さんの人生は、神の御言葉によって支えられている。

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