Skip to main content
2025年6月15日20時35分更新
クリスチャントゥデイ
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム
  2. インタビュー

パリで32年、風景表現の限界に挑む 画家・渡部正廣さん(1)

2015年1月6日15時17分 記者 : 野口和子
  • ツイート
印刷
関連タグ:渡部正廣フランス

生きる糧・聖書と出会う

東京・銀座。秋晴れの午後。四丁目交差点では、行き交う人々のさざめきと車のクラクション、そして解体中のビルから漏れるドリルの音が反響し合っている。そんな銀座の一角で、渡部正廣さんは1991年以来、毎年のように秋の個展を開いてきた。街頭の騒音から隔絶された画廊には、パリの風景を描いた40点余りの油彩とデッサン数点が。

――モンパルナスの裏通りに咲き誇るバラの生け垣。サン・マルタン運河に白い雲を浮かべた夏空が映える。新緑に輝くリュクサンブール公園の塀沿いの道。夕日にシルエットを浮かび上がらせるセーヌ河畔のノートルダム寺院。サンジェルマン大通りから一歩入った路地は一面の雪景色だ――。

「何だかパリの街を散策しているような、ゆったりした気分になりました」。来訪者は異口同音にそんな感想をもらす。

パリで32年、風景表現の限界に挑む 画家・渡部正廣さん(1)
銀座の画廊で毎回個展を開催している。

山形県出身の渡部さんが、東京の中学校美術教師を辞して渡仏したのは1982年。30代前半だった。パリで風景画を描きため、2、3年で帰国して大きな展覧会に出品して入賞すれば、画家として出発できると考えた。あの頃日本の画学生たちが憧れた「佐伯祐三の描いたパリ」を描くのが夢でもあった。

「しかし、実際にはそんなパリなどどこにもありませんでした」と回想する。そこは異邦人を拒絶するような、無表情で冷たく堅い石造りの町だった。憧れや感傷や思い込みではとうてい歯が立たない。
思うように絵が描けない焦燥感。自分の才能への絶望感。生活習慣の違い。経済的な厳しさ。言葉の壁がそんなストレスに拍車をかけた。

その頃、パリに日本人キリスト教会が発足。すでに洗礼を受けていた渡部さんも集い始めた。

「厳しい現実の中で、さまざまな問題を抱えている人間には、やはりその時々の自分を慰め励まして生かすキーワードが必要なんです。私の場合、それを何度も何度も聖書の中から得てきました。悲観ではない、勇気を。絶望ではない、希望を。逃避ではない、立ち向かっていく力を。現状への愚痴や恨みではなく、感謝を持って受け入れていく深い知恵を」

1985~87年には、伝統ある「サロン・ドートンヌ」展に連続入賞。画家としての市民権を得たといえよう。1991年以来、パリ、東京、大阪、京都、名古屋、山形で個展を開いてきた。

自我を捨ててこそ見えてくる

「一般的に、描く行為は自己の感性を主張する個性の表現だといわれています。しかし私はむしろ、その独自の個性(自我)をいったん捨て去って、その状態で風景(自然)と直接接触します。そのことの中から生まれてくるものを、自己のうちに捉えたい」

そんな制作姿勢を「画家の日記」として毎月発信してきた。2013年7月の日記を要約してみよう。

「ものそのものを捉える純粋感覚の目ができるまでには、長い時間を要する。造形を通して自分を飾ろうとする思い。よけいな感傷が貼りついた感動。それによってゆがめられた不自然な誇張等々。デッサンは、その一つ一つを丹念に僕自身から剥ぎ取っていく作業といっていい」

一輪の合歓(ねむ)の花を、納得いくまで2年越しでデッサンし続けたら40枚近くになった。

農夫のように、晴れても曇っても、雨の日も雪の日も、ほとんど毎日戸外で描く。時にはマイナス2度、マイナス7度という凍てつく雪空の下で、精魂を傾けて苦しみながら一点一点描き上げていく。

ここに一枚の絵ハガキがある。新緑のリュクサンブール公園を描いた渡部さんの作品だ。毎日見つめ入るうちに、この絵がいつの間にか筆者の心の奥深くに住み着いているという不思議な感覚を覚えた。

パリで32年、風景表現の限界に挑む 画家・渡部正廣さん(1)
新緑のリュクサンブール公園が描かれた絵ハガキ

モンパルナスの裏通りで描いているときのこと。トラックの運転手が首を出して「美しい絵だナ」と言って2、3分停車したものだから、狭い通りはたちまち渋滞。後ろの車列から抗議のクラクションが鳴り響いた。

背後からしばらく画面を眺めていた一人の老人は、「いい絵だ・・・。本当のモンパルナスの風景だ」と言い残して去っていった。

ある日、描いているすぐそばで救急車が止まった。横のアパートから、老婆がぐったりした姿で担架に乗せられて出てきた。彼女は救急車に運び込まれる間際に、やおらむっくりと上体を起こして渡部さんの絵を一瞥(いちべつ)するなり、「きれいな絵だわ」と一言。そのまま救急車で運ばれていった。渡部さんは確信した。

(あのおばあさん、きっと助かるはずだ)

道行く人たちは必ず「Bon Courage(がんばってね)」と声を掛けてくれる。この何気ない日常のあいさつは、渡部さんにとって重く深い。絵を描くために決定的に必要な資質の一つは、「courage 勇気」だと思うからだ。自分の場所から逃げず、決して諦めず、投げ出さない。習慣や惰性に流されず、限界に挑むその勇気だ。

彼はこの勇気の源泉を聖書の中に見出している。

例えば「ヨハネの福音書」の4章にはサマリヤの女をめぐるエピソードがある。イエスはこの女に語り掛けながら、閉ざしていた彼女の心の岩盤を徐々に掘り崩し、一番苦しい心中に触れ、そこに潜む罪から解放してくださった。その瞬間、この女の内からいのちの泉が湧き出したのだった。この泉が生きる自信と勇気を与えるのだ。

「彼女のように社会の底辺を歩いてきた人々には、イエス様が神であることが直感的に分かるのだと思います。この女性は、自分の全存在を懸けてイエス様を見、触れてみて、自分が罪赦され愛されていることが分かりました。この時から、もはや人を恐れず前向きな歩みを始めたのです。

私もこの女性のように、みことばに全存在を懸けて向き合います。するとその箇所が映像のように浮かんできて、イエス様がストレートに語りかけてくる。そのようにしてみことばの奥義を捉えてきました。

画家としても、対象に全存在を懸けて向き合い、手で触れてみなければ本物の絵は描けません。『サマリヤの女』は私自身なのです」(続く)

■ 風景表現の限界に挑む画家・渡部正廣さん:(1)(2)

関連タグ:渡部正廣フランス
  • ツイート

関連記事

  • 神の福音を感じる油彩画 銀座渋谷画廊で「森岡憲治展」

  • 「平和を想う」テーマにクリスチャン美術家の作品100点以上展示 B&A美術展2014

  • 【映画レビュー】『ヴァチカン美術館4K / 3D 天国への入り口』 人類究極の美に神の完全性を見る

  • 死海写本や渡辺禎雄・小磯良平の聖書画、世界のクリスマス切手など展示 関学博物館で初の企画展

  • 悲しみのマリア、イエズス会宣教師が描かれた南蛮屏風にキリシタン文化への思いをはせる 大阪中津「南蛮文化館」

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • コヘレトの言葉(伝道者の書)を読む(5)時の賛歌 臼田宣弘

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

  • ワールドミッションレポート(6月14日):スイス 信仰で買ったトラクター、ローレン・カニングハムとYWAMに託された農場の奇跡

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • ワールドミッションレポート(6月12日):ベルギーのために祈ろう

  • ワールドミッションレポート(6月15日):ベラルーシのために祈ろう

  • 戦時下でも福音は止まらない ウクライナの伝道者が欧州伝道会議で講演

  • 日本人に寄り添う福音宣教の扉(224)音楽が支える聖霊による祈り 広田信也

  • ワールドミッションレポート(6月9日):カンボジア ポル・ポトの迫害を乗り越えた西チャム族のために祈ろう

  • 「ハーベスト・ジャパン2025」開催決定! “世界的な癒やしの器” ギエルモ・マルドナード牧師が来日

  • 【ペンテコステメッセージ】約束の成就と聖霊の力―ペンテコステの恵みにあずかる 田頭真一

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • 『天国は、ほんとうにある』のコルトン君、臨死体験から22年後の今

  • 1990年代生まれのプログラマー、カトリック教会の聖人に

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • 大統領選の結果受け韓国の主要キリスト教団体が相次いで声明、和解と相互尊重を訴え

  • ウォルター・ブルッゲマン氏死去、92歳 現代米国を代表する旧約聖書学者

  • 戦時下でも福音は止まらない ウクライナの伝道者が欧州伝道会議で講演

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

  • 「ハーベスト・ジャパン2025」開催決定! “世界的な癒やしの器” ギエルモ・マルドナード牧師が来日

  • 『天国は、ほんとうにある』のコルトン君、臨死体験から22年後の今

  • 1990年代生まれのプログラマー、カトリック教会の聖人に

  • 大統領選の結果受け韓国の主要キリスト教団体が相次いで声明、和解と相互尊重を訴え

  • 【ペンテコステメッセージ】約束の成就と聖霊の力―ペンテコステの恵みにあずかる 田頭真一

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • フランクリン・グラハム氏、ゼレンスキー大統領と面会 和平求め祈り

  • 淀橋教会、峯野龍弘主管牧師が引退し元老牧師に 新主管牧師は金聖燮副牧師

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • ウォルター・ブルッゲマン氏死去、92歳 現代米国を代表する旧約聖書学者

編集部のおすすめ

  • 四国の全教会の活性化と福音宣教の前進のために 「愛と希望の祭典・四国」プレ大会開催

  • イースターは「揺るぎない希望」 第62回首都圏イースターのつどい

  • 2026年に東京のスタジアムで伝道集会開催へ 「過去に見たことのないリバイバルを」

  • 「山田火砂子監督、さようなら」 教会でお別れの会、親交あった俳優らが思い出語る

  • 日本は性的人身取引が「野放し」 支援団体代表者らが院内集会で報告、法規制強化を要請

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 編集部
  • お問い合わせ
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 採用情報
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • X(旧Twitter)
  • Instagram
  • YouTube
  • RSS
Copyright © 2002-2025 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.