中絶クリニックの近くで祈ったプロライフ(反中絶)活動家の女性が、再び逮捕された。
逮捕されたのは、プロライフ団体「英国マーチ・フォー・ライフ」共同代表のイザベル・ボーンスプルースさん(45)。ボーンスプルースさんは7日、英中部バーミンガムにある中絶クリニック周辺で黙祷していたところ、警官6人に取り囲まれ、そのうちの1人から「違反」だと告げられ逮捕された。
このクリニックは、敷地から150メートル以内のプロライフ活動を禁止する公共空間保護命令(PSPO)の対象になっていた。
警官が「お祈りしているとあなた言っていますが、それは違反です」と言い、ボーンスプルースさんが「黙祷です」と答えると、警官は「いや、それでも祈っているわけですから違反です」と話したという。
ボーンスプルースさんは昨年12月6日、同じクリニックの近くで黙祷し、クリニックの利用者を威嚇した容疑で逮捕されたが、先月16日に無罪となっていた。今回の逮捕は、それからわずか3週間後に起こった。
ボーンスプルースさんの1回目の逮捕を憂い、抗議のボードを持って同じクリニックの近くで黙祷したカトリック司祭のショーン・ゴフ神父も逮捕されていたが、同じく無罪を言い渡されている。
今回の逮捕についてボーンスプルースさんは、「わずか3週間前、私の黙祷は犯罪ではないと裁判所によって明らかにされたばかりです」とコメント。「それなのに、またしても同じ場所で、全く同じことを頭の中で考えただけで逮捕され、犯罪者扱いされたのです」と語った。
「表現や思考の自由を制限する法律の曖昧さは、たとえ平和的で合意に基づいた会話や黙祷であっても、重要な基本的権利を損ない、悲惨な混乱を招きます。誰も自分の考えを理由に犯罪者にされるべきではありません」
ボーンスプルースさんは、保守系キリスト教団体「自由防衛同盟」(ADF)の英国支部の支援を受けている。
先月の裁判でボーンスプルースさんを弁護したADF英国支部の法律顧問を務めるジェレマイア・イグヌボル氏は、「イザベルさんの祈りを繰り返し犯罪にしようとする卑劣な試みと、法の下での思想の自由の地位に関する警官の明らかな混乱は、検閲的な『緩衝地帯』が民主主義社会の目的にかなわないことを明確にしています」と述べた。
「私たちは皆、公道でのハラスメントに断固反対します。ハラスメントは既に違法です。2018年に行われた政府の審査では、中絶施設付近でのハラスメントはまれであり、そこでは平和的な祈りと慈善的な援助の申し出が最も一般的な活動であることが分かっています」
「政府はその時点で、検閲ゾーンは不釣り合いであると結論付けました。それ以降、新たな審査は行われていません。今になって、何が変わったのでしょうか」
別のプロライフ団体「英国ライト・トゥー・ライフ」の広報担当者であるキャサリン・ロビンソン氏は、「イザベルさんの逮捕は暴挙であるだけでなく、黙祷を禁止するかしないか分からない公共空間保護命令は、極めてお粗末な法律なのです」と述べた。