教皇フランシスコ、同性愛者の「シビルユニオン」支持を明言 歴代教皇初

2020年10月22日20時52分 印刷
+ローマ教皇フランシスコ
世界教会協議会(WCC)の創立70周年を記念する礼拝でメッセージを伝えるローマ教皇フランシスコ=2018年6月21日、エキュメニカルセンター(スイス・ジュネーブ)で(写真:WCC / Magnus Aronson)

ローマ教皇フランシスコは、同性カップルにも婚姻に準じた法的権利を与える「シビルユニオン」を認めるべきだとする考えを示した。カトリック教会はこれまで、シビルユニオンの支持は「逸脱した行為を承認する」ことにつながるとする見解を示しており、教皇の表明はこれを覆すもの。報道によると、シビルユニオンへの支持明言は歴代教皇で初めてだという。

カトリック系のCNA通信(英語)によると、ローマ国際映画祭で21日にプレミア上映されたドキュメンタリー映画「フランシスコ」の中で、教皇は「同性愛者の人たちは家族の中にいる権利がある。彼らは神の子であり、一つの家族となる権利がある」と語った。

「私たちが作らなければならないのは、シビルユニオン法です。そうすれば、彼らは法的に保護されます。私はそのために立ち上がりました」。教皇は、LGBT(性的少数者)の人々に関する司牧ケアについて語る中で、このように話したという。

映画「フランシスコ」は、アカデミー賞ノミネート経験のあるロシアのエフゲニー・アフィネフスキー監督による作品。教皇の半生と牧者としての歩みを追ったドキュメンタリーで、25日には北米でもプレミア上映が予定されている。

教皇はこれまでも、シビルユニオンを支持する姿勢を示してきた。教皇となる前、アルゼンチンのブエノスアイレスで大司教を務めていた際は、同性婚の合法化反対の観点からシビルユニオンを擁護する立場を取っていた。アルゼンチンではその後、2010年に同性婚が合法化されている。

ヨハネ・パウロ2世が教皇であった2003年、バチカン(ローマ教皇庁)教理省は、後にベネディクト16世として教皇に即位することになるヨセフ・ラッツィンガー枢機卿(当時)の主導で、同性カップルのシビルユニオンはカトリック教会として支持することはできないとする立場を示していた。

当時、教理省の長官であったラッツィンガー枢機卿と、事務局長であったアンジェロ・アマート大司教(当時、現・枢機卿)は連名で「同性愛者間の結び付きに法的認知を与える提案についての見解」(英語)を発表し、次のように結論付けていた。

「(カトリック)教会は、同性愛者の尊重が、同性愛者の行動を承認したり、同性婚を法的に認めたりすることにつながることはないと教えています。共通善は、社会の主要な単位である家族の基礎としての結婚を、法律的に認め、促進し、保護することを必要とします」

「同性愛者間の結び付きを法的に認めたり、結婚と同程度に扱ったりすることは、現代社会の一つの形として、逸脱した行為を承認することになることを意味するだけでなく、人類共通の遺伝的性質に属する基本的な価値観を曖昧にすることにもなります。(カトリック)教会は、男女の利益のために、そして社会そのものの利益のために、これらの価値観を守ることを怠ることはできません」

米人権NGO「ヒューマン・ライツ・キャンペーン財団」(HRC)のアルフォンソ・デイビッド会長は声明(英語)で、教皇の発言を歓迎した。

「教皇フランシスコは今日、同性カップルの結び付きを受け入れ、LGBTQのカトリック信者が宗教的家族の一員であることを肯定することで、カトリック教会における包摂と受容のための重要な一歩を踏み出しました」

「カトリックの神学をより包括的な方向にシフトし、LGBTQの人々が自分たちの家族を持つ権利があることを明確にすることで、教皇フランシスコはLGBTQのカトリック信者に、信仰者であることとLGBTQであることは互いに排他的なものではないことを教えています」

「LGBTQコミュニティーの多くの人々は、LGBTQの人々を受け入れてくれないため、教会との関わりに苦労してきました。私たちはこれもまた、カトリックやすべての信仰において、LGBTQの人々を完全に受け入れ、受け入れようとする多くの行動の一環であることを期待しています」

イエズス会士で、米国のイエズス会が発行する週刊誌「アメリカ」の編集長を務めるジェームズ・マーティン司祭はツイッター(英語)で、教皇の発言はカトリック教会にとって「大きな一歩」だとし、次のように述べた。

「これは、LGBTのカトリック信者を含むLGBTの人々に対する教皇の司牧的アプローチと一致しており、教会がそのような法律に反対してきた国々に強いシグナルを送るものです」

民主党全国委員長などを歴任してきた政治家のハワード・ディーン氏もまた、ツイッター(英語)で教皇の発言を称賛し、次のように語った。

「私はこの教皇が好きでした。この発言には多くの勇気が必要であり、バチカンでは教皇に対し政治的なナイフが突き付けられていることでしょう。これは、キリスト教の思いやりの真の行為であり、カトリック信者だけでなく、すべてのキリスト教徒のための模範となるものです」

しかし、保守的なカトリック信者は、この発言を聖典に対する裏切りだと見ている。

米サウスダコタ州スーフォールズの教区司祭であるダリン・シュミット神父は、自身のツイッターで、教皇には人間の家族に対する神の計画に挑戦する権限はないと主張した。

「誰か、このドキュメンタリー映画にどのような権威があるのか教えていただけますか。恐らく、多くの人にとっての問題は、私たちがほとんど十分に(権威のないものを)無視していないことだと思います。神が、人間の性と人間の家族に対する神の計画を啓示されたことを知っているならば、地球上のどの司教(教皇も「ローマ司教」の肩書を持つ)もそれを変える権限を持っていないことも知っています」

教皇の動向を追ってきた女性作家のマイケ・ヒクソン氏はツイッター(英語)で、教皇が発言を撤回しなければ、異端とみなされるリスクがあると語った。

「公の場で話した教皇の言葉は、どんなものでも恐ろしいほどの重みがあります。教会の教義、それは不可逆的な教義であり、聖典から導き出された教義ですが、これらの言葉は教皇の教義に対する姿勢を明らかにしています。教皇は発言を直ちに撤回すべきであり、さもなければ異端者だと疑いをかけられることになるでしょう」

※この記事はクリスチャンポストの記事を日本向けに翻訳・編集したものです。一部、加筆・省略など、変更している部分があります。

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