ナッシュビルからの愛に触れられて(43)イースター明け、突然の来訪者①2011年の出来事 青木保憲

2020年8月28日11時41分 コラムニスト : 青木保憲 印刷
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イヤな思い出も笑い話に変えてくれる友人、ヴァネッサ・マドックス

前回は、ディズニーからの使者、エリシア・ブラウンについて書かせていただいたが、今回はその翌年、2015年4月の突然の来訪者についてのレポートである。2011年9月に来日してくれたクライストチャーチクワイアのメンバーの一人で、2015年にソロで初来日以来、現在も毎年のように素晴らしいゴスペルの歌声を日本中に響かせてくれるシンガー、ヴァネッサ・マドックスさんのことである。

彼女との出会いは強烈な出来事であった。それは、2011年9月に来日の時にさかのぼる。クライストチャーチのメンバーは、20人近くが「団体枠」でチケットを取り、往復の旅程は全員が一緒に行動していたが、唯一彼女、ヴァネッサだけは別行動だった。というのも、彼女には飛行機会社関係の友人がおり、その方が彼女の海外旅行(主に宣教旅行)のために、国際線ファーストクラスを常にプレゼントしてくれていたのだ。チケットは、ファーストクラスが空いている飛行機なら、自由に乗り換えが可能で、何よりもチケット代金が要らない(厳密にはその友人の株主優待サービス)。そのため、彼女は2011年の来日の時、他のメンバーより1日早く、しかも関空ではなく成田到着の別便でやってきたのであった。トラブルはここから始まっていた。

到着したヴァネッサは、海外旅行慣れしていたため、動物的なインスピレーションで次々と日本の鉄道を乗り換え、ついに初来日で日本語が全く分からないにもかかわらず、自力で京都駅までたどり着いたのであった。もちろん英語表記があったから、彼女の冒険は可能であったのだが、初めて行く国に仲間とは別行動で、自力で動き回るなんて、日本人からするとなかなか大胆な行動である。

ナッシュビルからの愛に触れられて(43)イースター明け、突然の来訪者①2011年の出来事
お琴のおもてなしを受けるヴァネッサ

しかし問題はここからだった。京都駅には、大きく北と南に出口があったため、初めてやってきた方は、日本人であっても出口で間違えてしまうことがよくあった。そのため、彼女には「プラットフォームの中にいて」とメールで伝えてあった。だがどういうわけか、ヴァネッサはそのことを全く失念していたらしい。そしてすいすいと改札口を出てしまったのである。

約束の列車が到着したため、私の妻と妹夫婦がプラットフォームに迎えに行ったが、混雑が激しく、すぐには見つけられなかったようだ。金髪の白人女性(しかもかなりの大柄!)であるヴァネッサなので、見つけるのは時間の問題と思っていたが、プラットフォーム、南北の改札口、正面出口、どこにも彼女を見つけることができなかったのであった。

そして過ぎること、何と3時間!その間、妻たちは京都駅構内を東西南北へ駆けずり回り、行き交う外国人に声を掛け、駅員さんにもヴァネッサのことを訪ねて回ったのである。別用でどうしてもお迎えに行けなかった私にも連絡が入り、ついに米国ナッシュビルの教会に彼女の電話番号を問い合わせるという最終手段を取らざるを得なくなってしまったのである。しかし今度は、彼女の携帯電話がつながらない・・・。

頭を抱えていたとき、一本の見知らぬ電話番号から私の携帯に連絡が入った。取ると、京都駅と隣接しているホテルのフロントからであった。「ヴァネッサさんという方が、友人となかなか会えず、助けてほしいとこちらに来ておられるのですが・・・」

結局彼女は、改札を出て、そのまま(そこがホテルとは知らず、改札の一部だと勘違いし、)ホテルの前で3時間近く立ち尽くして、妻たちがやってくるのを待っていたのだという・・・。

この話は、その後何度もナッシュビルで出会うことになった彼女の口から、会うたびに聞かされる「笑い話」となった。ホテルに駆け込んだ妻たちを見つけ、ヴァネッサは思わず涙を流して、その場で神様に感謝の祈りをささげたということだった。

そんな「初来日」の思い出を笑い話にしてくれるヴァネッサ・マドックス。今回は突然連絡があり、「香港のキリスト教大会に呼ばれて行くので、その帰りに寄ってもいいかな?」ということだった。時はイースターが終わってしばらくした時期の4月中旬。観光や教会ツアーで各地を回るには最適なシーズンだった。

連絡をもらってすぐに1週間の計画を立てた。今回は、エリシアの時にできたコネクションをフルに駆使して、同志社大学神学部で1回、同志社インターナショナルスクールで1回、そして昨年10月のグダイン氏の時、大好評だった姫路にも足を伸ばすことにしていた。そして最後は、大津市の諸教会が連合で彼女を招き、コンサートを開催するという特別企画も決定した。

これらのことをヴァネッサに告げると、本人はとても喜んでくれた。そしてこう返信が返ってきた。

「エリシアから、日本のことは聞いています。彼女が喉を傷めていて、思うようにディズニーソングが歌えなかったことも。だから今回は、ナッシュビルの音楽専門家として、エリシアの宿題をしっかりとクリアしたいと思います」

そして彼女は「『Let It Go』を日本語で、私が歌います」と語ってくれたのである。その言葉通り、ヴァネッサはエリシアの宿題をクリアするのみならず、それをはるかに上回る衝撃と感動を私たちに与えてくれたのである。(続く)

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青木保憲

青木保憲(あおき・やすのり)

1968年愛知県生まれ。愛知教育大学大学院を卒業後、小学校教員を経て牧師を志し、アンデレ宣教神学院へ進む。その後、京都大学教育学研究科卒(修士)、同志社大学大学院神学研究科卒(神学博士、2011年)。グレース宣教会牧師、同志社大学嘱託講師。東日本大震災の復興を願って来日するナッシュビルのクライストチャーチ・クワイアと交流を深める。映画と教会での説教をこよなく愛する。聖書と「スターウォーズ」が座右の銘。一男二女の父。著書に『アメリカ福音派の歴史』(2012年、明石書店)。

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