神学書を読む(51)大嶋重徳著『若者に届く説教 礼拝・CS・ユースキャンプ』

2019年10月14日19時07分 執筆者 : 青木保憲 印刷
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大嶋重徳著『若者に届く説教 礼拝・CS・ユースキャンプ』(教文館、2019年4月)

過日、日本福音自由教会の70周年記念大会に参加した。9月半ばの3連休に800人近くが一堂に会し、教団結成70周年を祝うイベントであった。その中でひときわ注目を集めていたのが大嶋重徳(しげのり)氏。キリスト者学生会(KGK)の総主事として、若者たち(大学生に限らず、中高生も含む)の心を捉えるメッセージと活動で、全国に名が知れ渡っている牧師のお一人である。

初めて説教を拝聴する機会に恵まれ、そのつかみからラストの着地点に至るまで、本当に配慮されている内容に驚嘆させられた。そこで本書を大会の販売ブースで購入し、一気に読んでしまった。わずか約120ページの「少し厚めの小冊子」といえるような形態で、文字も大きく文章も平易であるため、誰が読んでも分かるような工夫が凝らされている。

その中で特に私の心に「届いた」のは、以下の箇所であった。

「続々と変わっていく若者世代の文化を見ていきながら、自分の勢いとフィーリングの近さで『届く』ことができるのは、あとわずかな時間しか残されていないと思ってもいました。そして変わりゆく時代と、変わりゆく自分のフィーリングの近さではなく、変わることのない福音を正確に解き明かせるようになるために神学を学びたいという思いが更に増し加わっていったのです」(69ページ)

「大嶋先生」というと、「ユース」「KGK」「若者伝道」というフレーズが付いて回るほど、次世代に特化した存在であると思われがちである。かく言う私もそう思っていたし、日本福音自由教会の70周年記念大会に参加することを決めたのも、大嶋氏が説教すると聞いたからだった。

しかし本書は、そんな大嶋氏のイメージを一変させる内容である。言うなれば、「ユース世代の救世主=大嶋先生」とは、大嶋氏の日々のたゆみない自助努力の結果であって、決して先天的な「賜物」(多くのキリスト者はこの言葉を誤用している)だけではないということである。本書を一読するなら、そのことがよく分かる。そして50歳過ぎの読み手(筆者のこと!)はホッとさせられるし、同時にチャレンジを受けることになる。

■ 大嶋重徳著『若者に届く説教 礼拝・CS・ユースキャンプ』(教文館、2019年4月)

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青木保憲

青木保憲(あおき・やすのり)

1968年愛知県生まれ。愛知教育大学大学院を卒業後、小学校教員を経て牧師を志し、アンデレ宣教神学院へ進む。その後、京都大学教育学研究科卒(修士)、同志社大学大学院神学研究科卒(神学博士、2011年)。グレース宣教会研修牧師。東日本大震災の復興を願って来日するナッシュビルのクライストチャーチ・クワイアと交流を深める。映画と教会での説教をこよなく愛する。聖書と「スターウォーズ」が座右の銘。一男二女の父。著書に『アメリカ福音派の歴史』(2012年、明石書店)。

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