祖国と同胞への愛 穂森幸一(132)

2019年5月30日12時16分 コラムニスト : 穂森幸一 印刷
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もし、あなたがこのような時に沈黙を守るなら、別の所から、助けと救いがユダヤ人のために起ころう。しかしあなたも、あなたの父の家も滅びよう。あなたがこの王国に来たのは、もしかすると、この時のためであるかもしれない。(エステル記4:14)

長い間、日本のクリスチャン人口は総人口の1パーセントといわれていましたが、最近の調査によれば、0・8パーセントになっているといわれます。しかも牧師の平均年齢がかなり高くなり、50歳以下の方は1割しかいないともいわれます。また、牧師のいない教会とか、1人の牧師が2、3カ所の教会を掛け持ちしているのは珍しくないといわれています。このままではクリスチャンは絶滅危惧種になってしまうと嘆かざるを得ません。

日本の歴史を見ると、とても誇らしいものがあります。私たちが原始的と思っていた縄文時代はとても先駆的な文化があり、戦争のない時代が1万年も続き、日本の先祖は平和を愛する民族だったことが分かります。また、私たちの想像を超える行動力があり、海流の流れや季節風を使ってアメリカ大陸に到達したり、南洋の島々にも影響を与えたり、中東にも縄文人の痕跡があるといわれます。今日いわれるグローバリゼーションの先駆者といえます。

縄文人と同じようにグローバリズム精神を持っていたのは、ユダヤ人です。シルクロードや海のスパイスロードをたどってアジアの国々と交流し、日本にも文化的な影響を与えています。古墳の中からユダヤ人と思われる埴輪が出土したり、奈良の遺跡から木片の書簡が見つかり、ユダヤ人と思われる人々の名前が見つかったりしています。考古学の研究が進めば、日本人とユダヤ人の交流の歴史が明らかになると思います。

江戸時代に鎖国していた時期がありますが、古来、日本人は外の世界に関心を持ち、先見の明があり、独自の技術を進化させる特技を持っていました。素晴らしい文化を持ちながら、キリスト教との融合がうまく機能しなかったように見えます。本来、キリスト教はローマカトリックを主流とした西回りのキリスト教と、原始キリスト教の流れを色濃く残す東回りのキリスト教に分類されます。東回りのキリスト教は中国では景教と呼ばれ、日本の文化や宗教にも影響を及ぼしています。西回りのキリスト教が日本にうまく適合しないのであれば、東回りのキリスト教のスタイルからアプローチしてみるのもいいのではないかと思います。

太平洋戦争が終わり、日本はアメリカを中心とした連合国に占領され、GHQが統治します。GHQは日本の国力を無力化し、骨抜きにするために、ウォーギルトインフォーメション政策を実施します。戦前の日本の文化の否定、武士道精神を否定する政策を始めます。漢字も廃止し、すべてローマ字に直そうとしていたともいわれます。

東京物語という映画が製作されるときには、台本のチェックにGHQが介入し、「お父様は偉い」とか「お父様のおっしゃる通りしましょう」という台詞まで書き換えされていたといわれます。日本の家族制度の破壊を試みたといわれます。

マッカーサーは米国大統領に進言し、日本に5万人の宣教師を派遣するように要請しました。日本をキリスト教化し戦前の日本に戻らないようにしようとしたのです。実際には、2万人の宣教師が訪日しました。その中にはとても素晴らしい方もいらっしゃいましたが、そうでない方も含まれていました。

宣教師の家財道具は車に至るまで米軍の輸送船で無料で運んだといわれます。また、米国からの援助物資も軍の輸送船で運ばれ、教会を拠点に配給されました。教会には人々が列をつくり、集会が行われれば、入り切れないほどの人が押し寄せたといわれます。

しかし、このような事態が長続きするはずはなく、社会が落ち着いてくると、人々の足は教会に向かわなくなり、クリスチャン人口は総人口の1パーセントというのが70年近く続き、ついにはさらに減少傾向を続ける事態になっています。

私は、昭和から平成に変わるときに、ちょうどアメリカに行っていました。社会的に地位のある方とレストランで会食する機会がありました。その時、「陛下が崩御され、お悔やみ申し上げます」とあいさつされてびっくりしました。その方は「日本の天皇は国民に慕われ、身近な存在です。そのような天皇がいらっしゃるのがうらやましい」ということでした。

また、戦争中、参戦した元アメリカ兵の方々にもお目にかかる機会がありましたが、日本を非難し、悪く言う人は一人もいませんでした。彼らは口をそろえて「日本人は勤勉で勇敢だ」と言っていました。私が子どもの頃、聞かされていたアメリカ人の印象とあまりにも違うために驚きました。

戦前の日本を否定するのではなく、良かった点や忘れられている一面に注目し、日本人にマッチしたキリスト教精神を学ぶことも必要なのではないかと思います。明治時代の日本のクリスチャンはただ西欧社会から学ぶだけではなく、日本の精神も発信しようとしていました。内村鑑三は英文で著作し、その信仰を海外の人に伝えました。新戸部稲造の「武士道」は多くの外国人に大きな影響を与えています。

西回りのキリスト教はユダヤ教的な要素を徹底的にそぎ落として、キリスト教を確立していったといわれます。しかし、そこまでする必要はあったのでしょうか。もう少しユダヤ教に学び、ユダヤ人の生き方を見習うことも必要だと思います。内村鑑三は2つのJを愛すると言いました。ジャパンとジーザスです。古代の日本にも思いを馳せ、日本人であることを誇りに思うべきです。祖国愛と同胞愛を持ち、原始キリスト教の精神で祖国の救済に立ち上がるときだと思います。

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穂森幸一

穂森幸一(ほもり・こういち)

1973年、大阪聖書学院卒業。75年から96年まで鹿児島キリストの教会牧師。88年から鹿児島県内のホテル、結婚式場でチャペル結婚式の司式に従事する。2007年、株式会社カナルファを設立。09年には鹿児島県知事より、「花と音楽に包まれて故人を送り出すキリスト教葬儀の企画、施工」というテーマにより経営革新計画の承認を受ける。著書に『備えてくださる神さま』(1975年、いのちのことば社)、『よりよい夫婦関係を築くために―聖書に学ぶ結婚カウンセリング』(2002年、イーグレープ)。

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