聖なる仲介者 穂森幸一(130)

2019年5月2日21時21分 コラムニスト : 穂森幸一 印刷
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しかし今、キリストはさらにすぐれた務めを得られました。それは彼が、さらにすぐれた約束に基づいて制定された、さらにすぐれた契約の仲介者であるからです。(ヘブル8:6)

この世の中は、もめ事やトラブルに満ちています。いつ何時、自分に災難が降りかかってくるかもしれないという覚悟をしなければ生きていけないような気がします。また、濡れ衣を着させられて、無実の罪を押し付けられるような事態が発生するかもしれません。

そのような時に信頼できる有能な弁護士を知っていたら、事態が一変します。自分の力ではどうにもならないと諦めかけていても良い方向に動き出します。キリストがこのような仲介者(パラクレイトス、弁護士)として働いてくださるというのは、なんという慰めに満ちたメッセージでしょうか。

これはあるクリスチャン女性のお話ですが、思春期の子どもが門限を破り、期待通りにしてくれないと、思わず怒鳴りつけてしまいそうになることがありました。その時は子どもの顔を見る前に寝室に駆け込み、神様にお祈りしたそうです。

「神様、このままでは私は子どもを怒鳴りつけてしまいそうです。どうぞ心穏やかに語れるようにしてください。子どものことは心配で仕方がありません。子育てのことも神様にお委ねします。どうか悪い道に進まないように守ってください。どうぞ良い親子関係を保てるように助けてください」と必死に祈ったそうです。そして平安が与えられ、子どもに対しては「あなたを信じているからね」という言葉しか発しなかったそうです。

また、夫に対しても愚痴を言いたくなり、不平不満が爆発しそうなときは一人になれる部屋に駆け込み、必死に祈ったそうです。「神様、今、夫の欠点ばかりが目につき、文句を言ってしまいそうです。どうか、夫のいいところを見させてください。不満ではなく、感謝の言葉を口にできるように助けてください」

まず、神様にお祈りしてから夫の前に行くと、感謝の言葉が出てきて、とても良い夫婦関係だったと話しておられました。家庭における人間関係では、直接対峙するのではなく、キリストを仲介者として些細なことにも接していたそうです。

これは配偶者の不貞によって家庭が崩壊しかけた夫婦の話です。ある日、配偶者の浮気が発覚して、明るかった家庭が一変し、とても重苦しい雰囲気になってしまいます。心は張り裂けそうになり、食事も思うように取れなくなり、夜も寝付けなくなり、睡眠不足になってしまいます。

このままでは家庭も崩壊し、自分の人間性も破壊してしまうということで、2人で真摯(しんし)に向き合い、話し合いをしました。不貞を働いたほうは、心から悔い改め、謝罪します。どんな犠牲を払っても一生をかけて償っていきたいと申し出ます。この申し出を受け入れ、相手を赦(ゆる)し、2人でやり直していこうとするのですが、どうしても裏切られた瞬間がフラッシュバックしてしまい、心の制御ができなくなり、責める言葉を口にしてしまいます。

うつ状態になり、2人だけでは打開できないため、2人で心理カウンセラーを訪ねます。カウンセラーは2人の話を十分に聞いてから、カップルダンスの話をします。カップルはいつもダンスをしているようなもので、3つの動きがあるそうです。1つは2人が向き合うダンス、2つ目は一方が逃げて、もう一方が追いかけるようなダンス、3つ目は2人とも背を向けて踊るようなダンスだそうです。

そのカウンセラーは、2人が真摯に向き合うために、不倫の出来事の前に目を向けるように勧めます。2人がぎくしゃくする前、順調にいっていると思っていた時期に目を向けさせます。その時期に相手の良かった点、また気に入らなかったことなどを列挙させます。

そうすると順調にいっていると思っていても、自分の気付かない不満を相手が持っていたことに驚かされたそうです。その不満の一つ一つを感謝に変えていく作業をします。そうすると互いに心を開くことができ、その不貞の問題もいつの間にか赦せるようになっていたそうです。

その2人は自分たちの力だけでは決して克服できなかったといいます。カウンセラーという仲介者がいて前に進むことができたのです。この問題を乗り越えたときに、今までとは違う新しい夫婦関係を構築し、以前よりも仲むつまじくなれたそうです。

私たちの日常生活には心が傷つくような事案が満ちていると言っても過言ではありません。特に、自分が信頼している人、頼っている人の言葉は大きな影響があります。何気なく発した一言が、とげのように心に突き刺さってトラウマになってしまうこともあります。ましてや相手を裏切るような行為や行動は、相手を傷つけるだけではなく、相手の生きる気力を奪っていくようなすさまじい破壊力があることを忘れてはいけません。

私たちは一言の言葉を発するにも、行動を起こす一歩を踏み出すときにも仲介者により頼み、助けていただく必要があります。そのためにキリストは助け主なる聖霊を送り、私たちを守っていてくださいます。

わたしは父にお願いします。そうすれば、父はもうひとりの助け主をあなたがたにお与えになります。その助け主がいつまでもあなたがたと、ともにおられるためにです。(ヨハネ14:16)

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穂森幸一

穂森幸一(ほもり・こういち)

1973年、大阪聖書学院卒業。75年から96年まで鹿児島キリストの教会牧師。88年から鹿児島県内のホテル、結婚式場でチャペル結婚式の司式に従事する。2007年、株式会社カナルファを設立。09年には鹿児島県知事より、「花と音楽に包まれて故人を送り出すキリスト教葬儀の企画、施工」というテーマにより経営革新計画の承認を受ける。著書に『備えてくださる神さま』(1975年、いのちのことば社)、『よりよい夫婦関係を築くために―聖書に学ぶ結婚カウンセリング』(2002年、イーグレープ)。

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