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受け継がれる技能と働き 穂森幸一(126)

2019年3月7日15時59分 コラムニスト : 穂森幸一
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ですから、私の愛する兄弟たちよ。堅く立って、動かされることなく、いつも主のわざに励みなさい。あなたがたは自分たちの労苦が、主にあってむだでないことを知っているのですから。(1コリント15:58)

1543(天文12)年9月23日、マカオからマラッカに向かっていた中国のジャンク船が難破し、大隅国種子島(鹿児島県)に漂着します。乗員は100名だったといわれますが、その中に3名のポルトガル人が含まれていました。彼らは温かく迎えられ、種子島家の保護を受けました。ポルトガル人は火縄銃を持っていてそのうちの2丁を城主が買いましたが、今の貨幣価値に換算すると1丁が1億円でしたので、2丁で2億円ということになります。とても高い買い物をしたように思われますが、今日で言うならミサイルを導入するようなものですから、決して高いとは言えないのかもしれません。

城主は買った1丁は練習して、すぐ使いこなせるようになったそうです。もう1丁は解体して、同じようなものを作るように鍛冶職人に命じました。当時の職人は高い技量を持っていて外側はそっくりに再現したそうです。ところが、銃身と銃底をつなぐ方法がさっぱり分からず、試作品は暴発していました。当時の日本にネジの概念がなかったのです。

試行錯誤を繰り返していたところ、翌年、鉄砲づくりの技術を持ったポルトガル人が来島し、ネジの仕組みを教えたところ、たちまち自力で鉄砲が造れるようになり、最初に100丁造られたといわれます。そして、種子島から全国に広まっていきます。大阪の堺でも造られるようになり、2年後には量産体制が組まれていきます。そして、1丁1億円していた銃が100万円ほどになったといわれます。100分の1の価値になったわけですから、当時としては画期的なことだったと思います。

ポルトガル人が乗った船が種子島に漂着してから6年後、フランシスコ・ザビエルが日本を訪れます。ザビエルは日本への伝道旅行の経費にするため、インドで香辛料などを仕入れますが、その中に鉄砲も含まれていたそうです。鉄砲は日本で相当な値打ちがするということを伝え聞いていたのではないかと思います。ところが、日本の人はサビエルの持ってきた銃を受け取りませんでした。この6年の間に日本での改良が進み、国産品のほうが良質で、使い勝手が良かったのです。

ポルトガルやスペインはなぜ、日本を植民地しなかったのかといわれますが、当時は戦国時代で戦う兵士が溢れていておいそれとは近づけなかったということと、日本で生産していた鉄砲の数は当時のヨーロッパのすべてのものを合わせたものより多かったといわれます。

時は変わり、幕末になりますと、日本近海に押し寄せる外国船に対抗するために、防衛手段として大砲が必要になってきました。薩摩藩の藩主、島津斉彬(なりあきら)は大砲がなければ造ればよいということで、外国の書物を参考にしながら反射炉まで自前で造り、大砲の製造に入ります。

これに藩の財政を預かる家老調所広郷は猛反対します。一から造ると経費が掛かりすぎるので、外国から輸入したほうがいいという考えだったのです。島津斉彬は調所の提案を退け、一から造ることを試みますが、結果的には思うようにいかず、外国製品を購入することになります。

横浜での生麦事件を契機に薩英戦争に発展します。最初、英国は軍艦を薩摩に差し向けたら、すぐに無条件降伏するだろうと見込んでいたようです。ところが薩摩の抵抗は強く、錦江湾に浮かぶ小島に砲台を用意したりしていて、航行不能になった軍艦があり、錨を切って逃げ出さなければならない軍艦もあり、海軍としては負けと言ってもいいような状況もありました。しかし、薩摩藩も城下町を焼かれたこともありましたので、停戦交渉に応じました。

薩摩藩は英国海軍の軍事力を見て、その威力に驚き、素早い行動をします。要求された賠償金を払い、軍艦や大砲の購入を求めます。それだけではなく、産業振興のために技術者派遣を要求し、また薩摩の若者の英国留学を求めます。そして、鹿児島市に織物工場やガラス工場などが出来ることになります。

一方の英国のほうも、日本刀の切れ味のすごさや薩摩の兵士の強さに驚嘆したともいわれます。英国は薩英戦争の機会に日本の植民地化を諦め、交易によって日本との交流を深めていくことになります。

初めて種子島に鉄砲が伝えられたとき、鍛冶職人は同じものを作るのに四苦八苦しました。ネジの秘密を教えてもらうために若狭姫まで差し出したという悲話があります。

しかし、そのネジで今、日本は世界をリードしています。ネジは振動があれば少しずつ緩んでしまうのですが、日本で造られるネジは、振動があればあるほど締まってくるというものです。鹿児島の地方都市の中小企業で生産されていますが、NASAやボーイング社からも発注があります。また、他社には造れないという特殊ネジを製造している会社もあります。

先人たちの労苦や技量は決して無駄になることはなく、数百年の時を経て受け継がれています。キリスト教信仰の面でも、少数者という立場から伝道の困難さ、信仰者として生き抜くことの厳しさが語られますが、必ずや実を結ぶ時が来ると思います。神様は日本という国を選び、クリスチャンを選んでくださっています。必ずやこの国の信仰者が用いられる時が来ることを信じています。

ですから、あなたがたは、神の力強い御手の下にへりくだりなさい。神が、ちょうど良い時に、あなたがたを高くしてくださるためです。(1ペテロ5:6)

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◇

穂森幸一

穂森幸一

(ほもり・こういち)

1973年、大阪聖書学院卒業。75年から96年まで鹿児島キリストの教会牧師。88年から鹿児島県内のホテル、結婚式場でチャペル結婚式の司式に従事する。2007年、株式会社カナルファを設立。09年には鹿児島県知事より、「花と音楽に包まれて故人を送り出すキリスト教葬儀の企画、施工」というテーマにより経営革新計画の承認を受ける。著書に『備えてくださる神さま』(1975年、いのちのことば社)、『よりよい夫婦関係を築くために―聖書に学ぶ結婚カウンセリング』(2002年、イーグレープ)。

株式会社カナルファホームページ
穂森幸一牧師のFacebook

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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