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人の好き嫌いの克服 穂森幸一(127)

2019年3月21日18時24分 コラムニスト : 穂森幸一
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あなたがたの天の父があわれみ深いように、あなたがたも、あわれみ深くしなさい。さばいてはいけません。そうすれば、自分もさばかれません。人を罪に定めてはいけません。そうすれば、自分も罪に定められません。赦しなさい。そうすれば、自分も赦されます。(ルカの福音書6:36、37)

ある人が自分の人生訓について話されました。小さい子どもの時、祖父が繰り返し教えていたことは、「うそをつくな。食べ物の好き嫌いをするな。人の好き嫌いをするな」という3つの教えだったそうです。うそをつかないという信念を持っていると、他人に信頼されます。また、食べ物の好き嫌いをしないで何でも食べるようにしていたら健康になります。一番難しいのは人の好き嫌いの克服だそうです。いつの間にか苦手意識を持ち、バリアを張ってしまうことで交際範囲が限られてしまいます。

その人は祖父の教えを守って人の好き嫌いの克服に努めたそうです。意見の相違から言い争いになり、仲たがいしても、機会を見てアプローチし、いつの間にか仲良くなっていったということでした。祖父の教えに忠実に従ったおかげで政財界の人脈が広がり、仕事の幅が広がったそうです。

人の気持ちが食い違うのは些細なことが原因になることもあります。これは、私が夫婦カウンセリングをしていたときに聞いた話です。夫は鹿児島出身、妻は関東出身でした。

それぞれ醤油の好みが違うということは十分に認識していましたので、テーブルの上にはいつも関東の醤油と九州の醤油が2種類置いてありました。それぞれ自分の好きな醤油を使いますので、ほとんど問題はありませんでした。

ところがある時、妻が「あなたの使っている醤油をちょっと使わせて」と頼んだそうです。夫は快く「いいよ。どうぞ」と差し出したそうです。妻はその醤油を舐めて「これは醤油ではない」と言ったそうです。

「甘いとか辛い」と言えば良かったのでしょうが、「醤油ではない」と否定されたことから、夫は自分が否定されたような気がして夫婦げんかになってしまったということです。

この話を鹿児島の醤油メーカーの社長にしたところ、「鹿児島の醤油は、正式には醤油ではありません。正式な工業名は、アミノ酸醸造液です。関東の醤油と九州の醤油では製法がまったく異なります。だから関東の嫁さんのおっしゃることは正解ですよ」ということでしたから驚きました。

私自身は九州の醤油でなければだめ派でしたので、レストランに行って関東の醤油しかないとがっかりしていました。ところが、イスラエルの聖地旅行の折、ガリラヤ湖畔でピーターズフィッシュの焼き魚を食べられることになり、心が躍りました。イエス様が納税で困っている弟子たちのために魚釣りを勧め、釣ってきた魚がコインをくわえていて、それで税金を払ったという聖書のエピソード(マタイの福音書17:27)に登場する魚です。

ガイドさんにどうやって食べるのかと尋ねますと、添えられているレモンを振りかけて食べるということでした。「やっぱり焼き魚は醤油だなあ。しかし、イスラエルのガリラヤ湖まで来て、醤油は無理だなあ」と思っていました。そうすると、レストランのマネージャーが醤油を持ってきたのです。日本人観光客が残していったものだそうです。それは関東の醤油でしたが、遠い異国の地で感じたのは、醤油があれば、関東産でも九州産でもありがたいということでした。それ以来、醤油の産地にはあまりこだわらなくなりました。

子どもの頃はピーマンやブロッコリーに苦手意識がありましたが、調理法に工夫を加えることでおいしく頂けるということが分かりました。食べたこともないのに、見た目とか先入観で嫌いになっている食わず嫌いがあります。これは人間関係にも言えることではないかと思います。

人間関係では、傾けていた愛情が深ければ深いほど、こじれてしまったときには憎しみも大きくなってしまうのではないかと思います。愛し合い、支え合っていた夫婦であったはずなのに、人間関係のもつれからとんでもない泥沼にはまってしまうことがあります。

ある人は、配偶者の不貞によって心が傷つけられ、徹底的に復讐(ふくしゅう)していきます。相手にあらゆる制裁を加え、徹底的に追い詰めていきます。相手がひれ伏して赦(ゆる)しを請うてもなお責め続けました。ところが責めれば責めるほど、心が空しくなり、気持ちは晴れないのです。

本当の赦しは、十字架のキリストに学ぶしかないと思います。神の前に赦されている自分のことを思い、周りの人々を赦すしかないと思います。決して人の力や努力では、本当の赦しにたどり着くことはできないと思います。聖霊なる神に心の中で働いていただき、神の癒やしを受けて初めて、他の人々を赦すことができるようになります。

互いに忍び合い、だれかがほかの人に不満を抱くことがあっても、互いに赦し合いなさい。主があなたがたを赦してくださったように、あなたがたもそうしなさい。そして、これらすべての上に、愛を着けなさい。愛は結びの帯として完全なものです。(コロサイ3:13、14)

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◇

穂森幸一

穂森幸一

(ほもり・こういち)

1973年、大阪聖書学院卒業。75年から96年まで鹿児島キリストの教会牧師。88年から鹿児島県内のホテル、結婚式場でチャペル結婚式の司式に従事する。2007年、株式会社カナルファを設立。09年には鹿児島県知事より、「花と音楽に包まれて故人を送り出すキリスト教葬儀の企画、施工」というテーマにより経営革新計画の承認を受ける。著書に『備えてくださる神さま』(1975年、いのちのことば社)、『よりよい夫婦関係を築くために―聖書に学ぶ結婚カウンセリング』(2002年、イーグレープ)。

株式会社カナルファホームページ
穂森幸一牧師のFacebook

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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