青学で「サーバント・リーダーシップ・フォーラム」 サイバーエージェント社長や青学院長らが講演

2019年3月19日06時03分 印刷
+青学で「サーバント・リーダーシップ・フォーラム」 サイバーエージェント社長や青学院長ら講演
「サイバーエージェントの人づくり、組織づくり」と題して講演するサイバーエージェントの藤田晋社長=9日、青山学院大学(東京都渋谷区)で

リーダーである人は、まず相手に奉仕し、その後導くものである――。現代のリーダーシップ哲学として評価が高い「サーバント・リーダーシップ」について学ぶ第6回サーバント・リーダーシップ・フォーラムが9日、青山学院大学(東京都渋谷区)で開催された。同大の卒業生であり、26歳で当時史上最年少社長として東証マザーズ上場を果たしたサイバーエージェントの藤田晋(すすむ)社長や鈴木寛・元文部科学副大臣、青山学院の山本与志春院長らが登壇し、それぞれが各分野の現場で実践しているリーダーシップ論について語った。

サーバント・リーダーシップは、従業員100万人と、当時世界最大の企業だった米通信会社AT&Aでマネージメントセンター長を務めたロバート・K・グリーンリーフ(1904~90)が提唱した。日本では、資生堂の故池田守男元社長がその積極的な推進者、実践者として知られている。

サーバント(奉仕者)でありリーダー(指導者)であるというサーバント・リーダーシップの精神は、イエス・キリストが「あなたがたの中で偉くなりたい者は、皆に仕える者になり、いちばん上になりたい者は、すべての人の僕(しもべ)になりなさい」と教えたように、聖書の中にも見られる。キリスト教主義の青山学院は「サーバント・リーダーの育成」をビジョンの柱として掲げており、今回は、過去5回のフォーラムを主催してきた日本サーバント・リーダーシップ協会と同学院が初めて共同で主催した。

山本氏は「未来を拓(ひら)くサーバント・リーダー」と題して講演。成績表がない初等部(小学校)や、競争ではなく協力を重視する中等部(中学校)など、幼稚園から大学までを抱える青山学院の特徴を語った。また大学では、サーバント・リーダー育成のためにボランティア活動を推進しており、そうしたプログラムを通して変えられていった学生の体験談などを紹介した。

青学で「サーバント・リーダーシップ・フォーラム」 サイバーエージェント社長や青学院長ら講演
「未来を拓(ひら)くサーバント・リーダー」と題して講演する青山学院の山本与志春院長

藤田氏は「サイバーエージェントの人づくり、組織づくり」を主題に語った。学生時代にジム・コリンズの『ビジョナリー・カンパニー』に出会い、会社設立を目指した経緯や、上場翌年にインターネットバブルが崩壊し多くの人材が流出した経験から「人を大切にする」経営を志すようになったこと、社内で行っている若手育成のための多様な取り組みなどを紹介。タイプの違う経営者で成功している人はいるとしつつも、「この新しい時代には、サーバント・リーダーシップが主流になると思っていますし、正しい答えだと思っています」と語った。

続くパネルディスカッション「これからの日本を背負う若者のリーダーシップを考える」は、予め設定されたテーマに沿って行われ、藤田、シュー土戸ポール(青山学院副院長)、塩谷直也(同大学宗教部長)、高山千弘(エーザイ執行役員)の4氏が語った。

「今の若者のリーダーシップの状況」について、塩谷氏は「他人を傷つけない、また自分も傷つかないようにするリーダーが多い。距離感の取り方がうまい一方、決断ができない」と指摘。高山氏は、スペインの哲学者オルテガ・イ・ガセットの名著『大衆の反逆』を引き合いに出し、現代の若者には大衆ではなく少数派となる勇気を持ってほしいと語った。青山学院大学で宗教主任や文学部教授も務め、学生と接することの多いシュー氏は、「リーダーシップや能力はあると思うが、多くの場合、リスクを大変恐れている」と印象を述べた。

青学で「サーバント・リーダーシップ・フォーラム」 サイバーエージェント社長や青学院長ら講演
左から、塩谷直也(青山学院大学宗教部長)、シュー土戸ポール(青山学院副院長)、高山千弘(エーザイ執行役員)、藤田晋(サイバーエージェント社長)の各氏

「これからの日本社会に必要なリーダーシップ」については、「他者に対する感性、共感」(高山)、「危機の時にリーダーが顔を出して発信すること、国語力」(藤田)、「コミュニケーション能力、言説に見合った行動」(シュー)、「先に与える勇気」(塩谷)などが挙げられた。

「サーバント・リーダーシップは現実的なのか」という問いには、「われわれもそうして会社を大きくしている」(藤田)、「サーバント・リーダーシップという言葉を使っていなくても、その精神で動いている会社は少なくない」(シュー)と肯定的な意見が出る一方、「現実するだろうが、現実するのには難しさもある」(塩谷)という声もあった。

「どうすればサーバント・リーダーになれるのか」については、シュー氏は自身の経験を踏まえつつ、仕事と家庭のバランスを保つことの大切さを指摘。「社長が偉いという時代は終わった」と話す藤田氏は、「今は命令などではまとまらない。リーダー自らが奉仕するしかないのでは」と語った。塩谷氏は、自分の中にあるマイナス面が豊かな共感力につながるとし、自身の欠けやコンプレックスを大切にしていくことが、良いサーバント・リーダーになるために大切ではないかと語った。

フォーラムではこの他、Jリーグの立ち上げやサッカーの日韓ワールドカップ招致などに携わってきた鈴木氏と、スポーツコーチングが専門の東海林祐子氏(慶応義塾大学准教授)による、スポーツ界におけるリーダーシップ論をテーマにした対談のほか、2代目・3代目社長や、看護学が専門の樫原理恵氏(聖隷クリストファー大学准教授)らを講師としたワークショップが行われた。

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