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米司法界が保守化? 「中間派」ケネディ判事引退が示す米国事情と「福音派」(2)

2018年7月7日18時29分 執筆者 : 青木保憲
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関連タグ:アメリカドナルド・トランプ福音主義(福音派)中絶
米司法界が保守化? 「中間派」ケネディ判事引退が示す米国事情と「福音派」(2)+
米上院議会(2010年撮影)。議員定数は各州2人選出の計100人で任期は6年。連邦最高裁判事のほか、大使や公使、領事、連邦行政省庁の長官や副長官、次官、また軍の将官など、大統領が指名する人事は上院出席議員の3分の2以上の賛成が必要となっている。(写真:U.S. Senate, 111th Congress, Senate Photo Studio)

前回はアンソニー・ケネディ判事就任までのゴタゴタをまとめることになった。米連邦最高裁判事は、単に大統領が指名したら終わりではなく、その後に審査が上院議会で行われるため、政治的な駆け引きの道具と見なされる一面があることは、お分かりいただけたであろう。

同時にしっかりと押さえておくべきことは、現職大統領が共和党か民主党かを見て米国の行く末を占うだけでは片手落ちであって、上下院議会でどちらの政党が優勢であるかまで踏まえた分析が必要になってくるということである。

その場合、現職のドナルド・トランプ大統領と、彼が憧れ目指そうとしているロナルド・レーガン大統領とでは、同じ共和党の大統領であっても置かれている状況がまったく異なることを理解しておかなければならない。

レーガン政権下、下院は共和党多数であったが、上院は常に民主党多数であった。その中で政策を打ち出し、判事を任命するのだから、政治的な調整はかなりセンシティブなものであったろう。ところがトランプ政権は現在、上下院とも共和党多数の状態を維持している。選挙期間中からあれほど物議を醸し、共和党内からも異論が噴出したにもかかわらず、彼が大統領として迎えられたのは、歴代大統領たちがのどから手が出るほど欲していた好状況があったからなのである。

大統領、また上下院の多数派の政党が異なるという「ねじれ」現象は、米国政治では当たり前のことである。1980年以降の40年近くを振り返ってみると、大統領も上下院もすべて同じ党で独占できたのは、2002年から06年にかけてのジョージ・W・ブッシュ政権(共和党)下の4年間、08年から10年にかけてのバラク・オバマ政権(民主党)下の2年間のみであった。

トランプ政権は奇跡的(?)に恵まれた条件下でかじ取りができている。しかしこの至福の時代も今年の11月で終わるかもしれない。中間選挙があり、そこで民主党が議会の多数派となる可能性が高いといわれている。これはかなりの確率で起こり得ると見てよさそうである。だからトランプ大統領は「結果」を急ぐことになる。在イスラエル大使館のエルサレム移転、米朝首脳会談の実現、そしてこの最高裁判事の任命はすべて中間選挙へ向けてのアピールになる。

時代はトランプ大統領に追い風を吹かせている。すでに2017年に彼はオバマ大統領が達成できなかった判事指名権を受け継ぎ、ニール・ゴーサッチ氏を任命し就任させている。その翌年にまたも判事を任命する機会を得たのである。しかも「中間派」として最も評を読みにくくしていたケネディ氏を合法的に送り出し、保守的な判事を迎えることができるのである。これが11月の中間選挙後であったとしたら、レーガン元大統領と同じわだちを踏むことになったかもしれない。

では、共和党に代表される「保守派」は自分たちに好意的な判事をトランプ大統領に選出させることで、一体何をしようとしているのだろうか。

一口に「保守」といってもさまざまな側面があるため、各々の立場によってこの言葉の使われ方は異なるが、彼ら保守層が絶対に覆したい判例がある。それは1973年の「ロー対ウェイド事件」における最高裁の判決である。

この裁判は、米国がリベラル化していく分岐点となった判例だともいわれ、一般的には人工妊娠中絶を女性の権利として認めた判例とみなされている。しかし事はそれほど単純ではない。1970年代初期、テキサス州は中絶を犯罪として取り締まっていた。当時、ジェーン・ロー(仮名)と呼ばれる未婚女性は妊娠しており、中絶を願ったが、州法がこれを許さないという状況にあった。彼女はこの法律のために中絶手術を受けられないのは憲法上の権利が侵害されていると主張し、連邦裁判所に州法適用の差し止めを求めた。その後、上告を受けた連邦最高裁は、テキサス州法が違憲であると7対2で判断した。結果、あたかも中絶が公的に認められたかのような印象を与えることとなった。

だが正確には、妊娠期間を3つに分割し、第1期と第2期の段階では女性に手術を受けるかどうかの選択権があるとし、第3期になっていたら中絶を禁ずる州法を適用してかまわない、という判決であった。つまり州法の適用範囲を限定的に認めるということでもあり、決して中絶をすべて認めた判決ではない。

だがこの判決そのものを葬り去りたい保守派の人々は、あえて極端に「最高裁が中絶を公的に認めてしまった」と人々に訴え、この判例を覆すことを支持する人々を掘り起こしにかかったのである。

そして保守的な宗教家がこれに賛同した。「福音派」と称する穏健なキリスト教保守層もこれに加わった。そしてその中の一部が政治化し、「宗教右派」と呼ばれる政治的キリスト者集団が生み出されていく。この判決が出たことで、かえって中絶に対する人々の関心が以前より高まってしまったという指摘すらある。

言い換えるなら、共和党や彼らに親和性を持つ南部の人々、そしてキリスト教保守層として聖書を人生の道徳的指針として受け止め実践している「福音派」が、共通の敵の前に一致団結したということである。

次回、ケネディ判事引退によって米国がどのような方向へ進むか、またその中で「福音派」と呼ばれる緩やかなキリスト教保守層がどのような役割を果たすのか、これからのことを予想してみたい。(続く)

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<参考文献>
阿川尚之著『憲法で読むアメリカ史 下』(PHP研究所、2004年)
阿川尚之著「憲法で読むアメリカ現代史』(NTT出版、2017年)
西山隆行著『アメリカ政治講義』(筑摩書房、2018年)

◇

青木保憲

青木保憲

(あおき・やすのり)

1968年愛知県生まれ。愛知教育大学大学院卒業後、小学校教員を経て牧師を志し、アンデレ宣教神学院へ進む。その後、京都大学教育学研究科修了(修士)、同志社大学大学院神学研究科修了(神学博士)。グレース宣教会牧師、同志社大学嘱託講師。東日本大震災の復興を願って来日するナッシュビルのクライストチャーチ・クワイアと交流を深める。映画と教会での説教をこよなく愛する。聖書と「スターウォーズ」が座右の銘。一男二女の父。著書に『アメリカ福音派の歴史』(明石書店、12年)、『読むだけでわかるキリスト教の歴史』(イーグレープ、21年)。

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