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米司法界が保守化? 「中間派」ケネディ判事引退が示す米国事情と「福音派」(3)

2018年7月15日18時50分 執筆者 : 青木保憲
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関連タグ:アメリカ福音主義(福音派)
ドナルド・トランプ・福音派+
ホワイトハウスの大統領執務室でドナルド・トランプ大統領と共に祈り、記念撮影をした米国の「福音派」の指導者たち=2017年12月11日(写真:ジョニー・ムーア氏)

前回はいわゆる「保守派」が長年悲願としてきた事柄に、ロー対ウェイド判決(人工妊娠中絶を合法化したとされる判決)の翻意があることを述べた。ここに至ってやっと「福音派」が登場してくる。彼らは1980年代以降に一部が政治化し、その後も存在意義を政治の世界でアピールしていくこととなる。その影響力は衰えたかに見えたが、2017年のドナルド・トランプ大統領誕生以降、再び人々の注目を集め始めている。

連邦最高裁のアンソニー・ケネディ判事の引退によって、保守派にとってはすべての条件が整った感があるだろう。大統領も、また上下院もすべて共和党である。4対4で拮抗(きっこう)し、中間派として保守・革新どちらへも判決が転がる可能性を秘めていたケネディ判事が引退を表明したことで、ついに保守派は悲願を達成できる。その可能性が大きく拡大した。

では保守派の予想通り司法が保守化し、「福音派」が願う聖書的世界観が米国に取り戻される日が来るのだろうか。

私はそうは思わない。なぜなら、前回、前々回で述べたように、米国における司法の世界はあくまでも「政治機構の1つ」であって、そこに宗教的観点から関わることには限界があると言わざるを得ないからだ。

最高裁判事が保守派か革新(進歩)派か。それは取り上げられるシングルイシュー毎に多様な立場が生まれる。共通の敵の前に団結することはあり得るが、それは歴史的に見ても決して長続きしない。

同時に、卑しくも「最高裁判事」にリストアップされる人物であるなら、現代的な良識や理性と自身の信仰とを地続きに捉えることができると見なすことは、決して蓋然(がいぜん)性なきものとはいえないだろう。それなりの学歴と実績、経験を積み上げているのだから。つまり、任命されるまでは大統領や政党の干渉を受けざるを得ないが、それ以後は独立独歩で務めを果たす権限も能力も有していると見なすことができるのである。

例えば、リチャード・ニクソン大統領は、1969年にウォーレン・バーガー氏を、翌70年にハリー・ブラックマン氏を判事として任命した。大統領としては当然保守的な判決を出してくれることを期待しての任命であったろう。しかしバーガー氏は、女性の権利を進歩的に捉える判決を連発したし、ブラックマン氏は後に最高裁で最も革新的な判事として名が挙がるほどまでになっていく。

今回のケネディ判事引退で、確かに表面的には保守的な判事が誕生するだろう。実際、トランプ大統領は今月初め、保守派と目されるブレット・カバノー氏を指名した(正式に決まるには上院議会の承認が必要)。しかしだからといって彼が、トランプ大統領と主従関係にあるわけではない。一度就任したなら、自由に自らの判断でその役割を担うようになるのは明らかである。

これはあくまでも「政治」の世界である。妥協や協調、駆け引きや取り引きが日常的に行われる領域なのである。宗教の純然性のみが輝き渡ることはあり得ないだろう。敬虔な信仰を持ちながらも、時代の流れを読む先見性、歴史の原点を視野に入れた指導性、これらを共存させることが求められる職種が「政治家」であり、最高裁判事もその範疇(はんちゅう)に属している。決して彼らは「牧師」ではない。

この切り分けは、政治と宗教を論じる際に覚えておかなければならない区分けだといえよう。しかし、(特に日本の)マスコミは米国の保守派の根幹に「宗教的な要因」を見いだそうとするきらいが見え隠れする。「福音派」が米国の保守化の最大要因であるかのような報じ方である。道理や理屈を越えて、人がある種の「偏った結論」を下すとしたら、それはどこか「常識とは相いれない信仰・信心」が内存していると見なしたいかのようである。そうすることで、一番単純な着地点を見いだすことはできる。

私たちが知り得ない「キリスト教の教えを極端に考える輩」が暴走し、政治の世界を牛耳ろうとしている、という構図である。しかしそのような「単純化」は、誤った方向へ私たちを誘うことにならないだろうか。トランプ政権の行く末よりもそちらの懸念の方が日に日に大きくなってくる。

米国の宗教(キリスト教)性の深みを精査しないまま、単純に現代政治と関連付けることで、「アメリカ」という国家の特殊性、言い換えるなら自分たち日本人の感覚では到底分かり得ない「宗教の壁」が米国には厳然と存在すると主張しているように思えてならない。

だが本来、「信仰」とは分かり合えない他者を引き合わせ、共通点を見いださせ、そして新たな交流を生み出す働きを担うものである。行き過ぎた人々がいることは認めるが、こういった一面が確かに存在し、政治だけでなく人の営みに関するあらゆる分野において、一定の抑制機能を果たしてきたことは疑い得ない事実である。少なくとも神学的に「福音派」という用語は、そのような意味で使用されてきた。しかしいつしかこれが「政治」を語る際のサブツールとなってしまっている。

私たちは最高裁判事の引退の報を受けた。そして大方の予想通り、トランプ大統領は保守派の判事を指名した。しかしこれはあくまでも「政治的見地からの保守」であって、それ以上のことをこれに加えることは、現時点においては控えるべきだろう。むしろ政治と宗教に関してより深い探究を志すなら、やはり人間の宗教性について追究するべきだろう。それほどまでに日本人は「宗教」に関して無関心であったり無知であったりする。

私は米国が好きだ(もう言わなくても分かりますね)。だからこそ気になるし、最高裁判事の動向は米国全体の動向に大きな影響を与えることも分かる。しかし、いやだからこそ、「福音派」という宗教集団を政治団体の一部と見なす論調は、物事の本質を単純化し、形式的な善悪二元論のようなステレオタイプに押し込めてしまうことにならないかと危惧せざるを得ない。(続く)

<<前回へ     次回へ>>

<参考文献>
阿川尚之著『憲法で読むアメリカ史 下』(PHP研究所、2004年)
阿川尚之著「憲法で読むアメリカ現代史』(NTT出版、2017年)
西山隆行著『アメリカ政治講義』(筑摩書房、2018年)

◇

青木保憲

青木保憲

(あおき・やすのり)

1968年愛知県生まれ。愛知教育大学大学院を卒業後、小学校教員を経て牧師を志し、アンデレ宣教神学院へ進む。その後、京都大学教育学研究科卒(修士)、同志社大学大学院神学研究科卒(神学博士、2011年)。グレース宣教会牧師、同志社大学嘱託講師。東日本大震災の復興を願って来日するナッシュビルのクライストチャーチ・クワイアと交流を深める。映画と教会での説教をこよなく愛する。聖書と「スターウォーズ」が座右の銘。一男二女の父。著書に『アメリカ福音派の歴史』(2012年、明石書店)。

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