Skip to main content
2021年2月25日10時05分更新
Go to homepage
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム
  2. 文化
  3. 映画

映画「永遠のジャンゴ」に見る音楽の強靭性と包括性―キリスト教的視点をもとにして

2017年10月24日14時03分 執筆者 : 青木保憲
  • ツイート
印刷
映画「永遠のジャンゴ」に見る音楽の強靭性と包括性―キリスト教的視点をもとにして+
「永遠のジャンゴ」© 2017 ARCHES FILMS – CURIOSA FILMS – MOANA FILMS – PATHE PRODUCTION - FRANCE 2 CINEMA - AUVERGNE-RHONE-ALPES CINEMA

「マイナースイング」などの名曲を残し、ジミ・ヘンドリックス、エリック・クラプトンなど多くのギタリストに影響を与えた天才ギタリストにしてミュージシャン、ジャンゴ・ラインハルトの半生を扱った作品。舞台は1943年、ドイツ占領下のフランス、パリ。ミュージシャンとして絶頂期にあったジャンゴの生きざまを、彼の出自であるジプシーたちの悲哀とともに描き出している。

彼は音楽を通して、虐げられている人々を鼓舞し、ナチスへの抵抗を示すことになる。だが、当初はまったく世界情勢を理解しておらず、周りの心配もどこ吹く風。彼は音楽仲間たちに対し「戦争は自分たち(ジプシー、そしてミュージシャン)には関係ないことだ」と言い放つ始末。彼の音楽に対する情熱と、その手にかかって奏でられるギターの音色は、確かに鬱屈(うっくつ)とした世界情勢とは無関係に、ホールにいる人々を熱狂の渦に巻き込んでいく。

だが、時代は彼を「単なるミュージシャン」に捨て置くことはできなかった。ジャンゴの名声が高まるにつれ、その音楽性をナチスに付け狙われるようになっていく。ドイツでヒトラー総統の前で演奏するという話まで生まれてくるほどになる。彼とその音楽が政治的に利用される危険が次第に高まってくるのであった。

実は、ジャンゴはジプシーの出身で、彼ら居住区を持たない流浪の民は、フランスからもドイツからも迫害の対象となっていた。そのため次第にドイツ勢力がフランス国内へ侵入してくるにつれ、彼の家族や仲間たちが家を追われ、職を失い、ついに収容所へと連行されるようになっていく。もはやジャンゴは戦争に無関心ではいられなくなる。否応なしに戦禍での身の処し方を決めなければならなくなっていくのであった。

ナチスというと、ユダヤ人への迫害が有名だが、本作ではジプシーたちへの理不尽な振る舞いが強調されている。ジプシーのほとんどはミュージシャンとして生計を立てているため、ジャンゴのように一癖も二癖もある彼らを、ナチスは煙たく思っている。特に彼らが奏でる音楽が、自分たちも含めた人々の道徳性や公共性を著しく損なうとドイツ軍は考えていた。そのため、「スイングはダメ」「アップテンポは全体の2割程度」「観客を立ち上がらせてはダメ」などと細かい規制をジャンゴらに強いていた。もっともジャンゴはそれをまったく無視して人々を熱狂させていたのだが・・・。

映画「永遠のジャンゴ」に見る音楽の強靭性と包括性―キリスト教的視点をもとにして
「永遠のジャンゴ」© 2017 ARCHES FILMS – CURIOSA FILMS – MOANA FILMS – PATHE PRODUCTION - FRANCE 2 CINEMA - AUVERGNE-RHONE-ALPES CINEMA

見ていて思い出したエピソードが2つあった。1つは名作ミュージカル「サウンド・オブ・ミュージック」。音楽のジャンルは異なるが、ドイツ軍に音楽を通して抵抗し、最後はサスペンスタッチで脱出劇を描くところは、とても似ている。ジャンゴがナチスへの唯一の抵抗手段として自分たちの音楽を用いるシーン、そして戦後、迫害されたジプシーたちへのレクイエムを指揮するラストシーンなど、彼の反骨心が音楽によって際立つ場面が随所に盛り込まれている。これらは、「サウンド・オブ・ミュージック」でナチスに抵抗する大佐がオーストリアのために、集まった会衆とともに「エーデルワイス」を歌うシーンを髣髴(ほうふつ)とさせた。

もう1つは、聖書のダビデとサウル王のエピソードである。

「神の霊がサウルを襲うたびに、ダビデが傍らで竪琴(たてごと)を奏でると、サウルは心が安まって気分が良くなり、悪霊は彼を離れた」(サムエル記上16:23)

イスラエルの民が王を求めて神に祈り、民のために神から与えられたのがサウル王である。彼は初めのうちは謙遜な王であったが、次第に横暴になっていく。そして、悪しき霊に悩まされ、時々異常な言動をするようになっていく。その彼をなだめ、普段のサウルへと導いたのが、後継者となっていくダビデの奏でる音楽であった。ダビデは勇士であるとともに、卓越した音楽家でもあったのだ。その彼が弦楽器を弾くことで、サウル王は憑依(ひょうい)した霊から解放され、人間性を取り戻すことになる。

これと同じことが、劇中にジャンゴがギターを演奏するとき、それを聴いている人の中に起こる、と捉えることができる。彼の演奏を聴いた者たちが立ち上がり、ステップを踏み、笑顔で踊り始める。そこにはドイツ人もフランス人も、そしてジプシーも区別がない。まるでダビデがサウルから悪しき霊を取り除いたように、いがみ合っていた彼らの顔から剣が取れ、忘れかけていた人間性を取り戻したかのように、皆笑顔になる。ジャンゴが奏でる音楽が届けられるその空間だけ、まるで魔法にかけられたように、人々が争いを忘れ、1つになっていくのである。

戦争状態は、まるでサウルが悪しき霊に悩まされているときと同じであると捉えるなら、ジャンゴのギターは、サウルの竪琴の役割を果たしていることになる。どちらにも共通していることは、それだけ音楽は人間性を際立たせ、本来の姿を取り戻させる力があるということであろう。

そういった視点でこの映画を見るなら、まさに描き出されているのは音楽の強靭(きょうじん)さである。戦争や迫害、人の苦しみや悲しみを生み出す出来事が確かに現実を支配することがあろう。しかし、それに対して音楽は、その悲惨な状況のただ中にあって、人間性を取り戻させてくれる有効なツールとなるのである。

映画「永遠のジャンゴ」に見る音楽の強靭性と包括性―キリスト教的視点をもとにして
「永遠のジャンゴ」© 2017 ARCHES FILMS – CURIOSA FILMS – MOANA FILMS – PATHE PRODUCTION - FRANCE 2 CINEMA - AUVERGNE-RHONE-ALPES CINEMA

キリスト教の中には、礼拝音楽、賛美歌、聖歌、ゴスペルなどさまざまな音楽が存在している。これらを隔て、ジャンル分けすることは簡単だ。しかし、それは人間が後天的に切り分けた区分けにすぎない。人はどうしても他者との差異を意識し、それを際立たせようとする。その過程で争いが生じ、あつれきが生まれ、分裂や戦争が発生してしまう。

それを人の業と言ってもいいし、キリスト教的に原罪と言い換えてもいいだろう。これを打破するのがキリストの十字架であり、これを「福音」と呼ぶ。だが、この福音を最も分かりやすく、そして効果的に伝える手段は、決して牧師の説教やクリスチャンとしての日々の研さんだけではない。それを導く潤滑油的な働きとして、やはり音楽の力がそこには必要となってくる。

そして、音楽は単に宗教的な高揚感を与えるだけではない。ジャンゴが映画のラストで亡くなったジプシーたちへのレクイエムを指揮するシーンがある。この前のところで物語は終わっていたはずである。無事にスイスへ逃れたジャンゴは、その後米国へと渡る。そこで映画を閉じるなら、それは音楽家ジャンゴの伝記物語となる。しかし、この映画はそうではない。レクイエムを聴かせるのだ。ここでこの映画を見るすべての人に対し、音楽の強靭な力を見せつけるだけでなく、今度は傷ついた心を癒やすこともできるという包括性をも際立たせている。

「音楽」のポテンシャルが無限であることを際立たせる素晴らしいラストシーンであると言えよう。

映画「永遠のジャンゴ」は11月25日(土)から、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、テアトル梅田、シネ・リーブル神戸、京都シネマ他で順次公開。

■ 映画「永遠のジャンゴ」公式サイト

◇

青木保憲

青木保憲

(あおき・やすのり)

1968年愛知県生まれ。愛知教育大学大学院を卒業後、小学校教員を経て牧師を志し、アンデレ宣教神学院へ進む。その後、京都大学教育学研究科卒(修士)、同志社大学大学院神学研究科卒(神学博士、2011年)。グレース宣教会研修牧師。東日本大震災の復興を願って来日するナッシュビルのクライストチャーチ・クワイアと交流を深める。映画と教会での説教をこよなく愛する。聖書と「スターウォーズ」が座右の銘。一男二女の父。著書に『アメリカ福音派の歴史』(2012年、明石書店)。

  • ツイート
▼関連記事を見る  ▼クリスチャントゥデイからのお願い

関連記事

  • 「猿の惑星 聖戦記」は、聖書の「出エジプト記」をモチーフにした現代アメリカの壮大なメタファーだ!

  • 映画「地の塩 山室軍平」東條政利監督インタビュー 21日から全国順次ロードショー

  • ラスベガスの悲劇のために祈ろう! 「いかにして」という視点を求めて・・・ 青木保憲

  • ナッシュビルからの愛に触れられて(10)教会音楽とゴスペルの素敵な関係 青木保憲

  • 意外な掘り出し物? 映画「散歩する侵略者」に見るキリスト教的愛の善なるイメージ! 青木保憲

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

新型コロナウイルス特集ページ

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • 「聖書は神の言葉ではない」 進歩主義の米教会がSNSの投稿で炎上

  • ラビ・ザカリアス氏性的不品行問題、独立調査の最終結果発表 団体が謝罪

  • 世界はわが教区―ジョン・ウェスレーの生涯(11)見捨てられた者への伝道

  • 無神論からキリスト教信仰へ C・S・ルイスの回心描く映画、年内にも公開へ

  • 米、コロナ死者50万人超える ワシントン大聖堂が鐘500回鳴らし追悼

  • 「クリスチャンだからこそ、もっと知って祈って関わってほしい」 人身取引に取り組む「ゾエ・ジャパン」

  • 黒島天主堂、2年の耐震・保存修理工事終え一般見学再開

  • 癒やしの業とともに主が期待しておられること 万代栄嗣

  • 世界宣教祈祷課題(2月25日):バハマ諸島

  • 震災10年、被災地の祈りに心合わせて 日本バプテスト連盟現地支援委が祈祷文

  • 「聖書は神の言葉ではない」 進歩主義の米教会がSNSの投稿で炎上

  • 2021年の「レント(四旬節)」始まる、きょう「灰の水曜日」 その意味と由来

  • 無神論からキリスト教信仰へ C・S・ルイスの回心描く映画、年内にも公開へ

  • ラビ・ザカリアス氏性的不品行問題、独立調査の最終結果発表 団体が謝罪

  • 「クリスチャンだからこそ、もっと知って祈って関わってほしい」 人身取引に取り組む「ゾエ・ジャパン」

  • IS斬首のコプト教徒21人、殉教から6年 記念式典に教皇やカンタベリー大主教ら

  • 委ねる 佐々木満男

  • ビジネスと聖書(10)「すごさ」の認め方 中林義朗

  • 震災10年、被災地の祈りに心合わせて 日本バプテスト連盟現地支援委が祈祷文

  • 癒やしの業とともに主が期待しておられること 万代栄嗣

  • 2021年の「レント(四旬節)」始まる、きょう「灰の水曜日」 その意味と由来

  • 日本脱カルト協会理事、準強制わいせつ容疑で逮捕

  • コロナ禍で増える自殺、奥田知志牧師「宗教にできること、いっぱいあるのでは?」

  • 「聖職者による性被害の法的責任を正面から提起」 聖路加チャプレン訴訟第1回口頭弁論

  • 令和時代の「ヤクザ映画」考 「ヤクザと家族 The Family」と「すばらしき世界」

  • 2020年版『宗教年鑑』発表 キリスト教系は信者数・宗教団体数・教師数で微減

  • 「聖書は神の言葉ではない」 進歩主義の米教会がSNSの投稿で炎上

  • 中国のキリスト教人口、2030年に3億人か 共産党指導部に募る危機感

  • 同志社の次期総長に現職の八田英二氏

  • ラビ・ザカリアス氏性的不品行問題、独立調査の最終結果発表 団体が謝罪

編集部のお勧め

  • パンデミック時代の宗教の可能性探る IPCR国際セミナーで日中韓のキリスト者も発題

  • コロナ禍で増える自殺、奥田知志牧師「宗教にできること、いっぱいあるのでは?」

  • 日本から遠く離れた地の日本人伝道最前線 駐在員家族120人に福音伝える英語教室

  • 「開拓伝道は失われた人々への憐れみの心」 第23回断食祈祷聖会1日目

  • クリスチャン画家の山田桂子さんが姫路市美術展に入選 日米でアートミニストリー展開

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 論説委員・編集部
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 問い合わせ・アクセス
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • Twitter
  • YouTube
  • RSS
Copyright © 2002-2021 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.