明治学院大、日本レコード協会寄附講座「クリエイティブビジネスと著作権」開講 指揮者・樋口隆一氏が登壇

2016年9月27日15時21分 記者 : 坂本直子 印刷
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「明治学院と音楽」とのテーマで講演する明治学院大学文学部芸術学科名誉教授で指揮者の樋口隆一氏=20日、明治学院大学(東京都港区)で

明治学院大学(東京都港区)は20日、一般社団法人日本レコード協会寄附講座「クリエイティブビジネスと著作権」を開講した。同講座は、クリエイティブ産業の第一線で活躍する人たちを講師として招き、クリエイティブビジネスの概要と知的財産・著作権制度の基礎知識について、次世代を担う学生たちに学んでもらうことが目的。来年1月17日まで実例を重視した15回の講義が開かれる。

同講座は2014年度からスタートし、今年で3回目となる。経済学部2~4年生、文学部・社会学部・法学部3・4年生が履修可能で、毎年400人を超える学生が履修している。今年も、多彩なゲストによる講義が予定され、学生たちが将来、クリエイティブな現場で働くためのキャリア形成の一環となることが期待されている。

初回は、同講座の主担当を務める明治学院大学文学部芸術学科名誉教授で指揮者の樋口隆一氏が登壇し、「明治学院と音楽」をテーマに、同大が輩出してきた先輩たちの足跡を追い、同大の音楽のルーツについて語った。

まず樋口氏は、明治学院が創設時から音楽と深く関わり、日本の近代音楽に大きく貢献してきたことを話し、明治学院が所有する50万点にも及ぶ莫大な音楽に関する資料をコレクションする同大図書館付属遠山一行記念日本近代音楽館を紹介した。同館は、日本の近代・現代音楽を対象とする専門資料館。音楽評論家の遠山一行氏(1922~2014)から資料を譲り受け、2011年に開館した。同館の設立に尽力し、図書館長も務めた樋口氏は、同館が、日本で最高の音楽図書館であることを伝えた。

明治学院大、日本レコード協会寄附講座「クリエイティブビジネスと著作権」開講 指揮者・樋口隆一氏が登壇
寄附講座は学部に関係なく履修することができ、この日も多くの学生が出席した。

続いて日本における近代音楽の歴史を振り返った。樋口氏は、江戸時代の265年が純粋な日本文化の育成であり、筝三味線は女子の教養の一部であったことを説明し、「音楽は開国したから入ってきたわけではなく、日本人はもともと音楽が好きだった」と語った。また、日本は音楽文化を個人の趣味としてしか捉えていないところに弱点があると指摘し、欧米が学術や芸術などの文化を国の力としているのに対して、日本では文化に対する意識がまだ低く、今後日本が本当の意味での大国になるためには、ここのところを変えていく必要があると話した。

明治学院の音楽のルーツは、創設者の1人であるヘボン博士にまでさかのぼる。同大の前身となるヘボン塾で、ヘボン博士とその夫人クララが楽器を演奏したり、賛美歌を歌って子どもたちに教えたりしていることが記録に残されている。三共製薬(現:第一三共)の創業者の1人である西村庄太郎(1864~1931)もヘボン塾でオルガンを学び、小山作之助(1864~1927)をはじめ、多くの唱歌を残した作曲家たちにオルガンを教えている。

明治学院大、日本レコード協会寄附講座「クリエイティブビジネスと著作権」開講 指揮者・樋口隆一氏が登壇
明治学院の創設者の1人であるヘボン博士。同大の音楽のルーツはヘボン博士にまでさかのぼる。(画像:明治学院歴史資料館提供)

戦前の明治学院には、日本最初のオペラ「露営の夢」(1905)を作曲した北村季晴(1872~1931)、日本オルガン界の父で、キリスト教文化功労者の木岡英三郎(1895~1982)が在籍していた。また、藤原歌劇団を創設し、「われらのテノール」と呼ばれた大スター、藤原義江(1898~1976)も明治学院中等部に在籍していた。その奔放な行動で退学を余儀なくされたが、後年まで明治学院を大事に思っていてくれたという。教授陣においても讃美歌121番「まぶねの中に」や日本初のオラトリオ「ヨブ」(1967)を作曲した安部正義(1891~1974)がいる。樋口氏は、当時の音源を交えながらその歴史を振り返った。

戦前多くの音楽家たちを輩出してきた明治学院は戦後、学生の音楽活動がさらに活発になっていく。1949年に明治学院大学を設置してから、管弦楽団やグリークラブなどが結成され、ポップミュージック界でもTHE ALFEEなど多数のミュージシャンが誕生している。また、西南学院オラトリオ・アカデミー常任指揮者である安積道也氏を紹介した。

安積氏が、同大文学部心理学科を卒業した後、音楽家を目指してドイツに渡り、そこでドイツの国家資格である教会音楽A級を取得したことを話し、「文句ないキャリアとは、世界的にやっていけるキャリアで、それにはインターナショナルに認められることです」と学生たちに伝えた。

バッハ研究の世界的大家でもある樋口氏は、自らが芸術監督となり、2000年に明治学院バッハ・アカデミーを設立した。「明学にはすてきなチャペルがあり、そこを使って演奏したかった」と話す樋口氏は、チャペルを会場に2010年3月まで年間6回、小編成による「マタイ受難曲」を演奏してきた。初期稿での演奏は日本では初めてとなった。その後もサントリーホールを中心に演奏活動を続け、今年6月にはフォーレ作曲「レクイエム」を演奏し、クラシック音楽雑誌の老舗である「音楽の友」(9月号)の中で「明治学院バッハ・アカデミーの底力」と評されている。

これまでの活動について樋口氏は、「好きなことをやってきた」と述べ、「明学は、好きなことを共用できる雰囲気を持っている」とその校風を語った。そして、「50年間音楽活動をしてきて感じるのは、ガツガツせずに好きなことをコツコツとやっていくと周りの人に認められるということです」と話した。

樋口氏は、「この寄附講座では、他では聞くことができない話を学生だからこそ聞くことができます。全ての講義が皆さんの将来のためになることを祈っています」と締めくくった。

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