Skip to main content
2025年8月28日16時14分更新
クリスチャントゥデイ
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム
  2. 論説・コラム
  3. コラム
日本宣教論

日本宣教論(21)日本国内の状況:シュリーマンの江戸来訪 後藤牧人

2016年9月7日22時11分 コラムニスト : 後藤牧人
  • ツイート
印刷
関連タグ:後藤牧人

シュリーマンの江戸来訪

トロイを発掘したハインリヒ・シュリーマン(1822~90)は、幕末の日本を訪れている。江戸は天保年間で人口が100万といわれていたが、幕末にははるかにそれを超えていた。彼は、この国には平和、行き渡った満足感、豊かさ、完璧な秩序、そして世界のどこの国にもましてよく耕された土地などがあると言い、ただ貴族が政治を行い、労働者は無である(なんらの権利も与えられていない)、とも言っている。(『シュリーマン旅行記 清国・日本』講談社)

筆者の意見では、日本語が分からない者が、なぜ労働者は無であると断定できるのか。アジアだからこうであろうという予断によったのであろうか、または彼を案内したのが為政者、権力者の側の人間であって、庶民がペコペコお辞儀をしているのを見てそう思ったのだろうか。

江戸の人口中、武士階級は50万ほどであった。江戸八百八町の民間の治安は町奉行が担当した。ところが、町奉行は200~300人のスタッフしか持っていない。実際の警察業務はどのように行われたか、それを担当したのは目明かし、木戸番などであったが、彼らは全て町会の費用で雇われ、そのようにして治安が保たれていた。自治があったのである。(童門冬二、NHKシリーズ、2003年)

歌舞伎はその主要な登場人物が遊女であったり、盗賊であったり、庶民や下積みの階層のものが多い。主題としては、当時の社会や倫理、政治に対する抗議があり、「忠臣蔵」も、また心中ものも、当時の社会の倫理に対する抗議で満ちていた。観客は、その抗議に共感を覚えて集まった。そのため、歌舞伎は常に為政者によって弾圧された。客は庶民であり、この日本を代表する演劇は民衆の払う入場料によって成立していた。

当時のヨーロッパのオペラ、またシェイクスピアの演劇のごとく、王侯貴族からの資金によって運営され、題材も上流階級の生活から取られていたのとは大きな違いである。歌舞伎はそれらとは違い、庶民が主人公であった。

このように、歌舞伎劇場は反政府的なメッセージの発信地であり、町奉行からの報復措置で閉鎖されていることが多かった。

それで、祭礼時に歌舞伎を奉納興行として寺社奉行の許可のもとに(江戸町奉行の管轄でなく)、ある一定期間に限って興行する。益金のうちのいくばくかを寺社に寄付する。そういう形態がよく取られた。

中里介山の『大菩薩峠』によると、寺社の境内で丸太を組み、ムシロがけの急造の小屋で行われる興行は、緞帳(どんちょう)だけは本物を持って来るので「緞帳芝居」または「緞帳興行」などと呼ばれたという。

また「あいきょう手踊り御歯磨調合所○○」などと幟(のぼり)を立て、寺社の境内で「はみがき粉」を売るための宣伝の芸であるという体裁をとったものもあった。内容は立派な芝居であった。

一般に当時の演劇は青空芝居ともいわれ、晴天時のみ興行した。(吉田伸之『成熟する江戸 日本の歴史17』講談社)

照明のない時代で、劇場では昼間のみの興行を行った。それを補うためには、ろうそくの灯火(ともしび)でも興行できる小規模のもの(寄席)が流行し、一日の労働を終えた多くの庶民が集まった。江戸の市中には、このような寄席が千カ所もあったという。寄席は大きな料理屋の座敷、また金満家の座敷を借りるなどして行われた。政府がこれら小規模のものの思想的内容を取り締まることは、もう不可能であった。(吉田伸之、前掲書)

労働者が祭日に出掛け、粗末な小屋で、しかし豪華なキャストで歌舞伎が上演され、人々がエンジョイしている、そのような光景をシュリーマンも親しく見ている。もし彼がその演技の半政府的なメッセージを分かっていたら、「労働者は無である」は訂正され、「行き渡った満足感」の理由もより良く把握できたことだろう。

歌舞伎はそもそも「遊女歌舞伎」であったが、あまりの人気と影響力に、幕府はこれを禁止し「若衆歌舞伎」として美少年を使わせた。それでかえって人気と影響力が増し、幕府の開府50年目ごろには、これも禁止してしまい、ついに「野郎歌舞伎」にさせられた。女優を禁止し、それで演劇としての魅力がなくなってしまったはずだった。

しかし、歌舞伎の側では女性的なものの本質の表現と描写に脚本家、男優ともに努力し「女性」の抽象的表現に成功、かえって深化した。根絶やしにしたい当局の努力に反して、かえって磨きがかかっていったのである。

歌舞伎の元祖である出雲阿国(いずものおくに)が、京都で最初の興行をしたのは関ヶ原の3年後であった。秀吉の華やかな時代が去り、徳川の地味な時代になったが、これは京都の民衆には不評判であった。その不満を代弁して徳川を揶揄(やゆ)したのが最初の歌舞伎の内容だった。たちまち幕府はこれを禁止したが、度重なる禁止と妨害にもかかわらず、歌舞伎が大いに発展していったのは、上に述べた通りである。

終戦後しばらく、歌舞伎は連合軍総司令部(GHQ)に、「封建的な価値観を表現している」として(?)禁止された。どちらになっても弾圧されるのが、歌舞伎の運命らしい。時代への批判精神のために歌舞伎は常に新鮮であり、生き延びてきた。

(後藤牧人著『日本宣教論』より)

<<前回へ     次回へ>>

*

【書籍紹介】
後藤牧人著『日本宣教論』 2011年1月25日発行 A5上製・514頁 定価3500円(税抜)

後藤牧人著『日本宣教論』

日本の宣教を考えるにあたって、戦争責任、天皇制、神道の三つを避けて通ることはできない。この三つを無視して日本宣教を論じるとすれば、議論は空虚となる。この三つについては定説がある。それによれば、これらの三つは日本の体質そのものであり、この日本的な体質こそが日本宣教の障害を形成している、というものである。そこから、キリスト者はすべからく神道と天皇制に反対し、戦争責任も加えて日本社会に覚醒と悔い改めを促さねばならず、それがあってこそ初めて日本の祝福が始まる、とされている。こうして、キリスト者が上記の三つに関して日本に悔い改めを迫るのは日本宣教の責任の一部であり、宣教の根幹的なメッセージの一部であると考えられている。であるから日本宣教のメッセージはその中に天皇制反対、神道イデオロギー反対の政治的な表現、訴え、デモなどを含むべきである。ざっとそういうものである。果たしてこのような定説は正しいのだろうか。日本宣教について再考するなら、これら三つをあらためて検証する必要があるのではないだろうか。

(後藤牧人著『日本宣教論』はじめにより)

ご注文は、全国のキリスト教書店、Amazon、または、イーグレープのホームページにて。

◇

後藤牧人

後藤牧人

(ごとう・まきと)

1933年、東京生まれ。井深記念塾ユーアイチャペル説教者を経て、町田ゴスペル・チャペル牧師。日本キリスト神学校卒、青山学院大学・神学修士(旧約学)、米フィラデルフィア・ウェストミンスター神学校ThM(新約学)。町田聖書キリスト教会牧師、アジアキリスト教コミュニケーション大学院(シンガポール)教授、聖光学院高等学校校長(福島県、キリスト教主義私立高校)などを経て現職。

■ 【後藤牧人著書】(Amazon)
■ 【後藤牧人著書】(イーグレープ)

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
関連タグ:後藤牧人
  • ツイート

関連記事

  • 日本宣教論(20)日本国内の状況:市場経済の成立 後藤牧人

  • 日本宣教論(19)日本国内の状況:階級社会とバイパス 後藤牧人

  • 日本宣教論(18)日本国内の状況:鎖国・その2 後藤牧人

  • 日本宣教論(17)日本国内の状況:鎖国・その1 後藤牧人

  • 日本宣教論(16)日本の周囲の状況:リンチ慣習法の禁止 後藤牧人

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • 「信教の自由を脅かす」 旧統一協会の解散命令巡り特別集会、西岡力氏らが登壇

  • 米カトリック教会で銃乱射事件 ミサ参加中の付属学校の子どもら2人死亡、17人負傷

  • 牧師を辞めた理由は? 元牧師730人を対象に調査 現役牧師や信徒へのアドバイスも

  • 「苦しみ」と「苦しみ」の解決(11)「苦しみ」が始まるまでの経緯(後半)救いの計画 三谷和司

  • 「苦しみ」と「苦しみ」の解決(11)「苦しみ」が始まるまでの経緯(前半)悪魔の起源 三谷和司

  • 進藤龍也氏×山崎純二氏対談イベント「神様との出会いで人生が変わった」 埼玉・川口市で8月30日

  • 21世紀の神学(30)伊藤貫氏が提唱する古典教育とセオセントリズムの復権 山崎純二

  • 米福音派の重鎮、ジェームス・ドブソン氏死去 フォーカス・オン・ザ・ファミリー創設者

  • ワールドミッションレポート(8月22日):コンゴのレンドゥ族のために祈ろう

  • 幸せな人生とは 菅野直基

  • 「信教の自由を脅かす」 旧統一協会の解散命令巡り特別集会、西岡力氏らが登壇

  • 牧師を辞めた理由は? 元牧師730人を対象に調査 現役牧師や信徒へのアドバイスも

  • 花嫁(31)神に従う者の道 星野ひかり

  • 米福音派の重鎮、ジェームス・ドブソン氏死去 フォーカス・オン・ザ・ファミリー創設者

  • 進藤龍也氏×山崎純二氏対談イベント「神様との出会いで人生が変わった」 埼玉・川口市で8月30日

  • 「森は海の恋人」の畠山重篤さん、気仙沼市の名誉市民に

  • 米カトリック教会で銃乱射事件 ミサ参加中の付属学校の子どもら2人死亡、17人負傷

  • 日本人に寄り添う福音宣教の扉(229)コロナ禍による信仰生活への影響 広田信也

  • 主キリストの大きな力で癒やされよう 万代栄嗣

  • 幸せな人生とは 菅野直基

  • 牧師を辞めた理由は? 元牧師730人を対象に調査 現役牧師や信徒へのアドバイスも

  • 「信教の自由を脅かす」 旧統一協会の解散命令巡り特別集会、西岡力氏らが登壇

  • 新約聖書学者の田川建三氏死去、89歳 新約聖書の個人全訳を出版

  • キリスト教徒が人口の過半数を占める国・地域、この10年で減少 米ピュー研究所

  • N・T・ライト著『わたしの聖書物語』が大賞 キリスト教書店大賞2025

  • 「20世紀のフランシスコ・ザビエル」 聖心女子大学で岩下壮一神父の特別展

  • 「苦しみ」と「苦しみ」の解決(10)「苦しみ」から「苦しみ」へ 三谷和司

  • 日本キリスト教協議会、戦後80年の平和メッセージ キリスト者の戦争加担にも言及

  • 日本基督教団、戦後80年で「平和を求める祈り」 在日大韓基督教会と平和メッセージも

  • コンゴで教会襲撃、子ども含む43人死亡 徹夜の祈祷会中に

編集部のおすすめ

  • 「罪のない赤ちゃんを殺さないで」 東京でマーチフォーライフ、中絶の問題を訴え

  • 教育改革が「日本のリバイバルにつながっていく」 牧師の金子道仁参院議員が講演

  • いのちの言葉聖書学校、日本語クラス2期生7人が卒業

  • 淀橋教会で新主管牧師就任式・祝賀会 金聖燮牧師が6代目に

  • 四国の全教会の活性化と福音宣教の前進のために 「愛と希望の祭典・四国」プレ大会開催

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 編集部
  • お問い合わせ
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 採用情報
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • X(旧Twitter)
  • Instagram
  • YouTube
  • RSS
Copyright © 2002-2025 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.