Skip to main content
2026年6月23日22時30分更新
クリスチャントゥデイ
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム
  2. 文化
戦後70年

映画『野火』 大岡昇平の戦争文学の代表作を映画化 極限の戦場で兵士が神に呼び掛けたものとは?(動画あり)

2015年8月7日13時56分 執筆者 : 土門稔
  • ツイート
印刷
関連タグ:大岡昇平フィリピン
映画『野火』 大岡昇平の戦争文学の代表作を映画化 極限の戦場で兵士が神に呼び掛けたものとは?+
映画『野火』(塚本晋也監督)のポスター © SHINYA TSUKAMOTO / KAIJYU THEATRE

あまりに凄惨(せいさん)で残酷で、見ていて本当につらくなる映画だ。しかし、そこには戦争の愚かさ、悲惨さが、余すところなく描き尽くされている。戦後70年、この優しげな時代に、よくぞこの映画を作りきったと思う。塚本晋也監督と制作スタッフの執念と信念に深く頭を下げたい。この映画を見ながら、原一男監督のドキュメンタリー映画『ゆきゆきて、神軍』(1987年)が脳裏に浮かんでいた。

大岡昇平(1909〜88)が、 太平洋戦争で日本軍が最大の戦死者を出したフィリピンでの体験を基に書いた小説『野火』(1951年)は、日本の戦争文学の代表作といわれている。監督で主人公の田村一等兵を演じた塚本晋也は、高校時代に初めてこの小説を読んで衝撃を受けて以来、ずっと映画化を構想してきたという。本格的に映画化を考えてから20年以上たった2005年に実際に制作が始まるが、スポンサーはつかず、また金銭的な問題だけではなく、戦争を懐疑的に描くことに理解を得ることが難しいと感じる中、自主制作・自主配給映画として制作したという。

『野火』は、戦争の悲惨さと共に、極限状況の中での神への呼び掛けを主題として描いた作品といえる。

映画『野火』 大岡昇平の戦争文学の代表作を映画化 極限の戦場で兵士が神に呼び掛けたものとは?
映画『野火』より © SHINYA TSUKAMOTO / KAIJYU THEATRE

主人公の田村は、フィリピン・ルソン島の日本陸軍部隊に所属する一等兵だ。しかし、部隊は米軍の攻撃を受けほぼ全滅し、散り散りになる。

島の北部まで移動し、集合せよとの命令を受け、生き残った兵隊たちは、食糧も尽きる中、ジャングルをさまよう。病に倒れ餓死した死体の中を必死で歩き通した先には、圧倒的な軍備を整えた米軍が待ち伏せしていた。

日本兵は機関銃の機銃掃射の前に、虫けらのように逃げ惑いながら殺されていく。それはもはや戦闘ではなく、ただの虐殺だ。ある者は脳漿(のうしょう)や内蔵をこぼしながらのたうち回り、ある者はそうしろと命じられたまま手りゅう弾で自決する。最後に追い詰められた者は、仲間の日本兵の人肉を食するまでになる。

映画『野火』 大岡昇平の戦争文学の代表作を映画化 極限の戦場で兵士が神に呼び掛けたものとは?
映画『野火』より © SHINYA TSUKAMOTO / KAIJYU THEATRE

そして、大学を卒業したインテリで哲学やキリスト教を学んでいた田村一等兵は、ついに発狂し、ジャングルをさまよいながら、神に問い掛ける――。

小説『野火』では、その最後の文章はこう締めくくられている。

「もし、彼がキリストの変身であるならば――
もし彼が真に、私一人のために、この比島の山野まで遣わされたのであるならば――
神に栄えあれ」

これが映画ではどのように描かれているのか、できれば原作を読み、映画と見比べていただきたい。

大岡昇平とキリスト教

大岡昇平は、自伝『少年』(1975年)の中で、少年時代にキリスト教に深く影響を受けたことをつづっているが、その影響が映画でも見事に再現されている。

田村一等兵は逃亡中、ジャングルの中のある小さな村のとある教会に迷い込み、疲れのあまり長椅子で眠りに落ちる。田村に気付かずに、フィリピンの若い恋人たちがあいびきにやって来る。食糧を調理するためにただ火を付けるマッチが欲しい田村は、「殺しはしない」と言いながら、二人に銃を向ける。そして――。

この教会でのシーンに、大岡のキリスト教の神観と罪意識が全て凝縮している。

大岡は自伝の中で、少年時代通った青山学院では、毎日午前10時から10時半まで礼拝の時間があったが、「ミッション・スクールが強制する礼拝の時間は、最初は退屈な時間だった」と書いている。

映画『野火』 大岡昇平の戦争文学の代表作を映画化 極限の戦場で兵士が神に呼び掛けたものとは?
二十歳の頃の大岡昇平

しかし、大岡少年は次第に聖書に興味を持ち、どうしても欲しくなる。当時、教文館でポケット版の『新旧約合本聖書』は4円50銭(現代ではその数千倍以上に相当)だったという。聖書が欲しいと言うと、父から「ヤソなんかよせ、日本は仏教で沢山だ」と言われ、口論になったが、母がこっそり5円札をくれて「これで聖書を買っておいで」と渡してくれたという。

「『ヨハネ伝』冒頭の『はじめに言葉ありき』という句が私は好きだった。『言葉は神と共にありき。言葉は神なりき』と私は信じていた。これはイエスの言葉に魅せられて、神を信じた私には貴重な断言だった。幼い私にとって、イエスの言葉はイエスの存在そのものだった」

また、ロマ書を熱心に読んだという。

「『汝自身を愛するごとく隣人を愛せよ』その他の道徳律は福音書にもあるからわかった。しかし『神の怒り』と『罪』についての説教がわからなかった。私にとって神は怒こらず、信ずる者の罪をすべて許してくれるはずであった」

さらには、牧師になることにも憧れ、母にねだってオルガンを買ってもらったこともあるという。

しかし、その信仰はこの後半年ぐらいしか続かず、夏目漱石と出会ってからは興味が文学へと移っていったと告白しながらも、大岡はこのように書いている。

「こうして私のキリスト教は、少年の日の幻としてすぎ去ってしまう。私はむろん背教が最大の罪であることを知らなかったのだが、私の最初の自我の目醒(めざ)めと超自我の形成がキリスト教によったということがさまざまの形で、私のその後の精神の傾斜を決定していると思われる」

「私がフィリピンの戦場で、叢林(そうりん)中に一人取り残された時、敵を射つのを放棄したのは自然のことだった。(中略)あの時、ほかの方面で銃声が起り、米兵が立ち去ったことに、神の摂理のようなものを考えたのはごく自然だった」

フィリピンでの悲惨な戦争体験とキリスト教。この二つが大岡昇平という人が小説を書く根底にあったことをうかがわせる一文だ。

映画『野火』 大岡昇平の戦争文学の代表作を映画化 極限の戦場で兵士が神に呼び掛けたものとは?
映画『野火』より © SHINYA TSUKAMOTO / KAIJYU THEATRE

映画の冒頭、肺を病んだ田村一等兵は野戦病院に行くように命じられ、入院を許可されなければ死ねと言われ、最後の食糧として足元に小さな芋6本を投げて渡されるシーンがある。原作の小説『野火』ではこのように書かれている。

「私の生命の維持が、私の属し、そのため私が生命を提供している国家から保障される限度は、この六本の芋に尽きていた。この六という数字には、恐るべき数学的な正確さがあった」

塚本監督は、今を逃せばもはやこの映画を作ることはできないと感じ、映画化を企画したという。戦後70年を迎えるこの夏、国家とは何か、戦争とは何か、キリスト教徒か否かを問わず、一人でも多くの人にこの映画を見てほしいと、祈りにも似た思いを抱いた。

■ 映画『野火』予告編

■ 映画『野火』公式サイト

関連タグ:大岡昇平フィリピン
  • ツイート

関連記事

  • 戦争とキリスト教を読む(1):キリスト者山本七平が地獄の戦場で見た「平和ならしむる者」 『静かなる細き声』を読む

  • 戦後70年の広島から(1):国家とキリスト教・被爆証言の継承・平和の行進と祈り 70回目の8月6日前に広島にキリスト者集う

  • 戦争経験者に聞く戦後70年(1):海軍将校として戦艦「霧島」で戦い、戦後牧師に 後宮俊夫牧師が語る「キリストの平和」

  • 「もう一つの戦後70年」 広島で被爆死した米兵ジョン・ロング・ジュニアさん

  • 悲しみの島・レイテ 若井和生

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • 国旗損壊罪の創設に反対、日本キリスト教協議会が声明

  • 旧統一協会の解散命令が確定、最高裁「必要でやむを得ない」 特別抗告を棄却

  • Gゼロ時代の津波石碑(10)【久保有政氏に聞く】仏教とキリスト教のつながり(前半) 山崎純二

  • キリスト教徒の犠牲者追悼記念碑、270人超が虐殺された村に建立 ナイジェリアで初

  • ワールドミッションレポート(6月23日):東アフリカ 迫害国家への「逆流」─帰国者とアフリカ人宣教師③

  • 聖書原語への招き─霊に燃え、主に仕えるために(11)パン種の譬えで示す神の国 白畑司

  • ワールドミッションレポート(6月21日):東アフリカ 迫害国家への「逆流」─帰国者とアフリカ人宣教師②

  • 両足に6本の指持って生まれた少年、キリスト教慈善団体の医療支援受け走れるように

  • 拉致、性暴力、強制結婚… ナイジェリアの女性・少女たちが直面する「恐るべき」苦難

  • 篠原元のミニコラム・聖書をもっと!深く!!(284)聖書と考える「わたしの相殺日記」

  • 国旗損壊罪の創設に反対、日本キリスト教協議会が声明

  • 同志社国際高校と同志社「責任痛感」 辺野古転覆事故巡る文科省の調査結果・見解受け

  • Gゼロ時代の津波石碑(10)【久保有政氏に聞く】仏教とキリスト教のつながり(前半) 山崎純二

  • 聖書原語への招き─霊に燃え、主に仕えるために(11)パン種の譬えで示す神の国 白畑司

  • 神学の限界と突破口(5)第1章 主な論争と解決─「聖霊論」の論争 三谷和司

  • 両足に6本の指持って生まれた少年、キリスト教慈善団体の医療支援受け走れるように

  • トランプ氏のイラン戦争と移民政策、福音派で評価二分 否定的回答が半数超える

  • 旧統一協会の解散命令が確定、最高裁「必要でやむを得ない」 特別抗告を棄却

  • 「世界難民の日」 ワールド・ビジョンが8カ国で調査 子ども守る「自立」の重要性訴え

  • 日本人に寄り添う福音宣教の扉(250)未信者とセカンドチャンスに潜む大きな課題 広田信也

  • 同志社国際高校と同志社「責任痛感」 辺野古転覆事故巡る文科省の調査結果・見解受け

  • 国旗損壊罪の創設に反対、日本キリスト教協議会が声明

  • 米メガチャーチがビーチで洗礼式、過去最多の2552人が受洗

  • 着工140年以上のサグラダ・ファミリア、主塔「イエスの塔」完成 NHKが特番

  • 「聴く隣人のいるところ」 キリスト教高校の1年間が伝える「自由とは何か」問う大切さ

  • 日本人に寄り添う福音宣教の扉(250)未信者とセカンドチャンスに潜む大きな課題 広田信也

  • 神学の限界と突破口(4)第1章 主な論争と解決─「贖罪論」の論争 三谷和司

  • 戦後のキリスト教ブームの中で生まれた口語訳聖書、今にも生きるキリシタン時代の聖書訳

  • 聖書全巻の翻訳、800言語で完成 飛躍的に加速する聖書翻訳

  • 「祈りなくしてリバイバルは起こらない」 日本リバイバル同盟が創立30周年

編集部のおすすめ

  • 「今、求められているのは、慰めと癒やし」 能登被災者支援でゴスペルコンサート

  • 「祈りなくしてリバイバルは起こらない」 日本リバイバル同盟が創立30周年

  • 芥川賞作家の鈴木結生氏らが登壇、青山学院大学で口語訳聖書刊行70周年記念講演会

  • 四国の教会が教団教派超え一致 「愛と希望の祭典・四国」閉幕、延べ3千人以上が参加

  • 「あなたの人生は、必ずよみがえる」 第63回首都圏イースターのつどい

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 編集部
  • お問い合わせ
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 採用情報
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • X(旧Twitter)
  • Instagram
  • YouTube
  • Threads
  • RSS
Copyright © 2002-2026 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.