刑務所伝道シリーズ(1)誰でもキリストのうちにあるなら変われる Lole さん

2014年9月13日18時43分 記者 : 守田早生里 印刷
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「罪人の友 主イエス・キリスト教会」は、スナックを改築した会堂を使用している。赤い十字架が目印。西川口駅からは送迎サービスも。

埼玉県川口市にある「罪人の友 主イエス・キリスト教会」。牧師の進藤龍也氏は、前科7犯の元ヤクザ。薬物に侵され、自身も中毒になり、売人にもなって、刑務所を出たり入ったりを3度も繰り返した。今でも残る刺青と切り落とされた小指が、それが事実であったことを思わせる。

同教会は、元々スナックの店舗であったところを改築して、8年前に進藤氏が単立の教会として伝道を始めた場所だ。薄暗い部屋と天井からぶら下がっている派手な照明。パイプオルガンが鳴り響き、ステンドグレスで装飾された天井の高い建物というような一般的な教会のイメージとは大きく違って見えた。そこに続々と集まる大きな体をした強面の男たち。刺青のある者、金髪、派手なTシャツを着た者。ここが教会だとわかるまでに少し時間がかかった。

「ハレルヤ!みなさん!今日もみんなでわれらの主イエス・キリストを賛美しましょう!」と声高らかに話す司会者。日本のキリスト教会は「教会員の高齢化」「男性会員の不足」に悩むことが多い。しかし、皆が「罪友(ツミトモ)」と呼ぶこの教会には、そんな悩みは皆無に見えた。大きく勇ましい声で「アーメン!」「ハレルヤ!」と叫ぶ彼らは、「神の武具」を身につけた戦士のようであった。このみなぎるパワーと共に、彼らは声の限り、力の限り、主を賛美していた。

同教会には毎週、全国各地から進藤氏の著書を通して知った人、ブログやSNSなどを通して知った人などが礼拝に訪れる。礼拝中に何度となく鳴り響く教会の代表電話は、「日本全国からの相談電話」だと進藤氏は話す。少年院や刑務所に入っていた青少年やその保護者からの相談電話が毎日のように入るという。

 刑務所伝道ミニストリーシリーズ(1)誰でもキリストのうちにあるなら変われる
パワフルで時折ユーモアを加えて説教する進藤氏

同教会と共に歩んできた「刑務所伝道ミニストリー」。進藤氏が神学校に通っているころから、服役中のヤクザ時代の弟分、兄貴分に福音を伝えようと始めたのがきっかけだった。現在では、第三者の受刑者との面会が制限されているため、受刑者に直接会うことはほとんどできないが、文通を通して伝道している。その数、一カ月に約50通。多忙な進藤氏は、必ず直筆で短い文だが一人ひとりに手紙を書き、冊子などを加え返事をしている。宛名書きを教会員が手伝い、全国から寄せられる献金を用いて切手を購入している。このような伝道を続けてもう10年近くが経った。「一本の電話、一通の手紙で聖書に興味を持ち、その後、教会につながった人の数は数え切れない。すべて主の憐れみ。感謝なことですね」と進藤氏。

「刑務所に入ってしまった人の実に半数以上が、一生、刑務所の出入りを繰り返している。この事実に私たちは目を背けてはいけないと思うのです。出所して、行き場がなく、職もなくて、昔の仲間との関係を断ち切れず、再び罪を犯してしまうケースが非常に多い。この教会では、文通などの地道な伝道を通して、ここを頼ってくる方々を礼拝堂に寝泊りさせ、食事をとらせ、自立できるまで伴走します。そのまま自立できれば良いのですが、また元の世界に戻り、犯罪を繰り返す人がほとんどです」と進藤氏は話す。それでもこの伝道をやめないのは、そんな中でもキラリと光る「逸材」を見つけることができるからだという。

しかし、この会堂も一年後には立ち退きを迫られている。「会堂がないと刑務所伝道ミニストリーを続けることができない。彼らを寝泊りさせてやるところがないのです。最近、大きな教会を見ると、『これだけ大きな教会なら、何人くらい泊まらせてやれるかな?』なんて考えてしまいますよ」と笑う。

進藤氏の著書『未来はだれでも変えられる』(学研)の中に登場する Lole さん(仮名)も同ミニストリーで救われた一人だ。Lole さんは、現在26歳。幼い頃に両親が離婚。以来、母親が一人で彼を育てた。地元の中学校を卒業し、定時制の高校に進学したばかりのある日、強盗の罪を犯して、少年院に1年半入所。高校はそのまま自主退学になった。その後、20才の時に再び窃盗と家宅侵入の罪で逮捕。拘置所に収容されるも、裁判の結果、執行猶予4年が付き釈放された。弁護士からの紹介で、進藤氏が Lole さんを拘置所まで迎えに行った。進藤氏と出会った初日は、食事をして近くの銭湯で互いに背中を流し合った。

刑務所伝道ミニストリーシリーズ(1)誰でもキリストのうちにあるなら変われる
十字架の前で微笑む進藤氏(右)と Lole さん(左)

「初めは、聖書のことも進藤先生のことも信じられませんでした。ただ、拘置所ではお風呂の時間は決められているので、久しぶりに長く風呂に浸(つ)かって、のぼせてしまったのを覚えています」と話す Lole さん。仕事を紹介してもらい、お金を貯めてまずは被害者に返金。その後、少しずつだが自立への準備をしていった。

出所して3カ月後には受洗。その時のことを「もう、悪いことはやめよう。これからはイエス様に従って生きていこうと固く決心した」と振り返る。今までは自分に嫌なことをする人たちを許せなかった。しかし、今は何か人に嫌なことをされると、相手の救いのために祈れるようになった。周りの人々は、Lole さんの変化をとても喜んだ。特に喜んでいた母親はその後に自身も受洗。クリスチャンになったが数年前に天国へと旅立っていった。Lole さんの更生の様子は、4カ月に及ぶ密着取材の上、ニュース番組でも放送された。

「わたしは悪人の死を喜ぶだろうか、と主なる神は言われる。彼がその道から立ち帰ることによって、生きることを喜ばないだろうか」(エゼキエル18:23)の御言葉に深く感銘を受けた Lole さん。現在は一人暮らしを始め、神学校にも通っている。ラップ音楽が好きだという彼は、将来クリスチャンラッパーの道も模索中。「主の導きがあるなら、クリスチャンラッパーとして福音を広め、また身寄りのない子どもたちのための児童福祉施設も作りたい」と夢を語る。「進藤先生には、感謝しかない。聖書を開かせ、たくさんのことを教えてくれた」と嬉しそうに話してくれた。

「誰でもキリストのうちにあるなら必ずやり直せる!必ず変われるのです」と進藤氏は語る。強面の男たちも、金髪の少年も、キリストのうちにあって変わった「逸材」だったのだ。

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<出典> 日本:厚労省、世界:WHOJohn Hopkins CSSE

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