福音に根ざした受刑者の更正を 刑務所伝道ミニストリー代表・進藤龍也牧師

2009年8月21日20時52分 印刷
+福音に根ざした受刑者の更正を 刑務所伝道ミニストリー代表・進藤龍也牧師
進藤龍也牧師(写真:週刊女性編集部カメラマン・近藤陽介)

「イエス・キリストの十字架と復活抜きに、受刑者の完全な解放、癒しはありません」。自身の服役経験、薬物中毒経験を生かして刑務所伝道に携わる進藤龍也牧師(「罪人の友」主イエス・キリスト教会)は、福音に根ざした受刑者の更正に体当たりで取り組んでいる。「(受刑者への)文通と面会は下地作り。私たちが本当に重荷を背負っているのは、出てきた人にどれくらいの面倒が見られるかということ」だと語る。

「信じることと実行することとは違う。いつも問いかけるのは、信じたなら、あなたはどう生きるかということです」。文通を通して信仰を持っても、出所して教会につながる人はまず少ない。ときにはほとんど無一文で教会に駆け込んでくる出所者もいる。たとえ教会につながったとしても、教会の物を盗めるだけ盗んで逃げる者、うそをついて裏切る者も決して少なくはない。それでもこの働きを辞めようと思ったことは一度もないという。「神の召し出しだから、疲れない。傷つくことはない。傷ついたとしてもすぐに回復します」。彼らを食べさせ、信仰に根付かせ、自立させることこそ刑務所伝道のもっとも重要な働きなのだ。

そのためにも、キリストの福音に根ざした受刑者のためのリハビリ施設が早急に必要だという。すでに薬物中毒者を対象とした一般のリハビリ施設は存在するが、利用者の大半が薬物使用を再び始めてしまっている。そこで使用されているプログラムでは、自らの無力さと「人知を超えた力(Higher Power)」の存在について学ぶ。しかし、そこまでが限界。「受刑者の再犯を防ぐのは、キリストの贖いしかありません」。

元受刑者だからこそできる受刑者へのケアがある。「神様は私が絶対消したいと願う経験を生かす方。その消したい自分の弱さが、キリストにあっては強力な武器になる」。救いに導かれた3度目の服役中、面会する教誨師に「自分を救いに導いてほしい」と委ねる反面、「(服役経験もない)この人に俺の気持ちが本当にわかるのか」という疑いがあった。「そういった意味では自分の過去の経験が生かされていると思う」。面会中に飛び交う単語は受刑者になじみの業界用語。牧師と話しているのにまったく違和感を感じさせない。緊張は自然にほぐれ、開かれた受刑者の心に福音が流れ込んでいく。

「多い少ないに関わらず、ニーズに応えられる教会を目指したい」。夜遅くまで働く人が無理なく出席できるようにと、日曜日の礼拝時間は午後2時半に設定。礼拝堂は母親が経営していたスナックをそのまま使用している。みな居心地がよいため、礼拝が終わってもすぐに帰ろうとしないのだという。

礼拝出席者ゼロから始めた教会も祝福され、約3年半の間に教会で15人、刑務所で4人が洗礼を受けた。その他にも洗礼を志願しているが服役中には受けることを許されていない受刑者もいる。「キリストは全ての人の救い」。すべては、神の変わらない福音を、求道者のニーズに合ったスタイルで伝えた結果である。

一般に再犯率の高いと言われる薬物犯罪者が一人救われることは、社会的にも大きな意味を持っている。まず犯罪が減ることで、被害者が減る。次に、これまで悪いことに使われたそのお金が、神のために用いられるようになる。そして、毎月数億円単位の薬物取引で海外に流れ出る日本円の流出を少しでも防ぐことができるのだ。

薬物中毒者のリハビリには特に環境を変えることが良いとされている。当面のビジョンは茨城、群馬、栃木など都内近郊の郊外に受刑者のための社会復帰更正施設、自給自足施設を立ち上げることだ。覚せい剤体験者として公立の中高を訪問し、子どもたちに覚せい剤使用の防止を訴えていきたいという。

また週末に教会までどうしても来ることのできない人のために、月曜日から土曜日まで平日にも出張礼拝をささげることを検討している。レストランを運営し、日曜日の午後はそこを礼拝堂とする「レストラン伝道」も計画中だ。あまりにも型破りだと批判されるかもしれない。しかし、「知恵の正しいことは、その行いが証明します」。

進藤龍也(しんどう・たつや):1970年埼玉県生まれ。18歳でヤクザにスカウトされ住吉会系の暴力団の組員に。組長代行となるが覚醒剤が原因で降格。3度目の服役中に差し入れの聖書を読み回心。出所後洗礼を受けJTJ神学校に入学し、卒業後開拓伝道を開始。現在、単立〔罪人の友〕主イエス・キリスト教会牧師、刑務所伝道ミニストリー代表、VIP川口ホープチャレンジ代表。

ブログ「進藤龍也牧師のヤクザな日記」

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