韓国・仁川(インチョン)で開催されている第4回ローザンヌ世界宣教会議で、初日の22日に発表された「ソウル宣言」(英語)のうち、同性愛に関する一部の表現が24日までに修正された。
「ソウル宣言」発表 ローザンヌ運動4つ目の重要文書は何を語っているのか>>
同性愛者に対する教会の「無知と偏見」や、同性愛者がキリスト教コミュニティーから受けた「差別と不当な扱い」などの文言が削除され、キリスト者の「失敗」が「愛の欠如」に、「同性に引かれる忠実な信者」が単に「同性に引かれる信者」に変更されるなどした。
修正されたのは、7章から成る宣言文のうち、4章「人間―創造され回復される神のかたち」の最後の2段落である69項と70項。
ソウル宣言は、ローザンヌ運動が過去3回の大会でまとめてきた「ローザンヌ誓約」(1974年)、「マニラ宣言」(89年)、「ケープタウン決意表明」(2010年)に続く、4つ目の重要文書。これまでの3つの文書は、各大会における神学的議論の結果を集約する形で発表されてきたが、ソウル宣言は大会中の議論に役立つよう、初日に発表された。
今回修正が行われた表現については、同性愛者に不適切に接してきた教会が存在する可能性はあるとしても、適切に接してきた教会もあり、誤解を招くとして、韓国のキリスト教界からは発表直後から懸念の声が上がっていた。
ローザンヌ運動の大会運営側は24日の記者会見で、22日に発表した宣言文は草稿段階のものだったと説明。修正後の宣言文を使用するよう呼びかけた。一方、今後も修正が加えられる可能性があるとした。
また、ソウル宣言は同性間の性行為を罪と明記しているが、保守的とされる韓国のキリスト教界の意向で決まったわけではないと説明。宣言文の作成に当たったローザンヌ運動の神学作業部会の構成員は、西欧の神学者よりも非西欧の神学者の方が多く、全体として世界の福音派教会の現在の声を反映したものだとした。
修正箇所(太字)は以下の通り。
<修正前>
69 教会内外を問わず、多くの人が同性に引かれること、そして一部の人にとってはこれが唯一の、あるいは支配的な魅力であることを認識します。キリスト者は誘惑に抵抗し、欲望と行動の両方において、性的な清さを維持しなければならないという聖書の要求は、異性に引かれる個人にも、同性に引かれる個人にも等しく当てはまります。しかし、同性に引かれるキリスト者は、無知と偏見のために多くの地域教会で困難に直面し、その結果、キリスト教コミュニティー内で差別と不当な扱いに苦しんできたことを私たちは認識します。私たちは、自分たちの失敗を悔い改め、キリストの体である兄弟姉妹に与えた害を嘆きます。
70 私たちは、キリスト教指導者と地域教会に対し、同性に引かれる経験をする忠実な信者がいることを認識し、牧会的なケアと愛と友情の健全なコミュニティーの構築によって、彼らのキリストの弟子としての歩みを支援するよう求めます。
<修正後>
69 教会内外を問わず、多くの人が同性に引かれること、そして一部の人にとってはこれが唯一の、あるいは支配的な魅力であることを認識します。キリスト者は誘惑に抵抗し、欲望と行動の両方において、性的な清さを維持しなければならないという聖書の要求は、異性に引かれる個人にも、同性に引かれる個人にも等しく当てはまります。しかし、同性に引かれるキリスト者は、キリスト教コミュニティー内にあっても困難に直面することを私たちは認識します。私たちは、キリストの体である兄弟姉妹に対する愛の欠如を悔い改めます。
70 私たちは、キリスト教指導者と地域教会に対し、同性に引かれる経験をする信者がいることを認識し、牧会的なケアと愛と友情の健全なコミュニティーの構築によって、彼らのキリストの弟子としての歩みを支援するよう求めます。