Skip to main content
2025年6月15日20時35分更新
クリスチャントゥデイ
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム
  2. 論説・コラム
  3. コラム
ジョン・バンヤンの生涯

天国への旅―ジョン・バンヤンの生涯(12)牢獄につながれて

2023年6月14日18時03分 コラムニスト : 栗栖ひろみ
  • ツイート
印刷
天国への旅―ジョン・バンヤンの生涯(1)鋳掛屋の子+
ジョン・バンヤン(1628〜88)の肖像画(英国立肖像画美術館所蔵)

鋳掛屋をしながら説教をするバンヤンの姿に人々の注目が集まり、やがて名声は中部諸州に鳴り響いた。人々は、彼の話を聞くためにひきもきらさず店にやって来て、中には修理の必要がない鍋や釜を抱えて来る者もいた。

バンヤンは、仕事場だけでなく、路地でも、納屋でも、森の中でも――どんな場所でも福音を語った。きちんとした教育を受けてない彼は、教理も神学も分からなかったので、ただ罪の泥沼から救い出された自分の体験談を語るだけだったが、その単純、明快なメッセージが、逆に人の心を打ち、引きつけるのだった。

1660年5月。チャールズ2世の即位とともに、世は再び王政復古となり、国教会以外の教会で礼拝をする清教徒(ピューリタン)たちに対する迫害が始まった。

その年の11月12日。バンヤンの所に突然警官がやって来た。そして彼は、国教会の牧師でないのに教会以外の場所で説教をしているという理由で逮捕されたのである。

「何かの間違いではないでしょうか。この人は政治のことなど何一つ分からない鋳掛屋の職人でございます」。妻のエリザベスは追いすがって哀願したが、警官は邪険にその手を振り払って、彼を連行していった。

バンヤンは、ベッドフォード州の南方13マイル先にあるロウア・サムセルという村の治安判事フランシス・ウィングイトの家に連れて行かれた。そして、二度と再び説教をしないという決定書に署名するよう強要されたが、彼は頭を横に振って答えた。

「神様が何の力もない私をご用のために用いてくださったのです。私は救われた喜びを皆さんに語るしかありません」。何度強いられても、彼の決意は変わらないので、ついに「ベッドフォード州刑務所」に投獄されたのだった。

ここは古い橋のほとりの小さな留置場だった。7週間をここで過ごしてから、今度は「ベッドフォード・ハーン礼拝堂」で裁判が開かれた。この時、ジョン・ケリング裁判長がバンヤンの尋問を行って、3カ月の禁固刑が確定した。

その後、ベッドフォード市長になることが予定されているポール・コップという書記官が長時間面接して説得に当たったが、彼は相変わらずこう言うのだった。

「私は神様から語りなさいと命じられている限り、福音を語ることをやめません」。「あんたは頑固な人だ。意地を張れば、ますます刑が重くなるだけだぞ」。「それでも、構いません」。バンヤンはきっぱりと言うのだった。

妻のエリザベスはちょうど出産を迎えたときだったが、夫の逮捕、投獄に衝撃を受けて流産してしまった。しかし彼女は気丈にも、泣き悲しむ子どもたちをこう言って慰めた。

「大丈夫よ。お父さんは神様のご用がおありなのだから、きっとイエス様が助けてくださるわ。お母さんはこれから警察の人たちに会って頼んできますからね」

そしてエリザベスは、教会の人たちに子どもたちを預かってもらい、夫の釈放を求めて駆け回り始めた。彼女は政界やキリスト教界の実力者に会いに行き、夫が政治に何の関係もないことを必死で訴えたが、にべもなく追い返されてしまった。

そして、最後の頼みの綱として、彼女は治安判事のマシュー・ヘイルに面会を求めたが、そのかいなく、再び裁判が開かれ、バンヤンに12年間の禁固刑が確定したのだった。1661年12月のことだった。

バンヤンが最初に閉じ込められたのは、ベッドフォード市を流れるウーズ川の橋のほとりにある小さな留置場だったが、刑が確定すると、ベッドフォードのハイ・ストリートとシルヴァ・ストリートが交差する所にある州刑務所に移された。

「ここは、これに比べたら最もひどい牢獄も宮殿と言われるほど陰惨な土牢で、横たわったままの生活を強いられていた」とある人がバンヤンたち囚人の姿を見て言ったほど劣悪な場所だった。

しかしこの悲惨な場所にあっても、神の恩寵は豊かに注がれていた。今はベッドフォード市長となっているポール・コップは、この刑務所で顔が利く人間だったので、尋問した際に好意を持つようになったバンヤンの処遇について、できる限り恩情的に、大切に扱ってほしいと刑務所長のバーローに頼んだのだった。

そのため、バンヤンは別格に扱われた。彼はここで家族や友人と面会することができ、また、彼らに差し入れてもらった書物を読むことも、書き物をすることも許されたのだった。

バンヤンは、聖書とジョージ・フォックスの『殉教者列伝』を熱心に読み、心の支えとした。

*

<あとがき>

人の人生は、よく波間にただよう舟に例えられますが、バンヤンほど歴史にほんろうされる人生を送った人も珍しいでしょう。すさんだ生活を送っていた鋳掛屋が、図らずもクリスチャンの女性と結婚して清教徒(ピューリタン)となり、さらにバプテスト教会に導かれ、説教者となったのです。

しかしながら、歴史は1660年5月に覆り、ひとたび信仰の自由を得られたピューリタンたちはチャールズ2世のもと激しい迫害を受けるようになりました。バンヤンの所にもある日警官がやって来て、国教会以外の教会で説教をしているという理由で逮捕され、「ベッドフォード州刑務所」に投獄されたのでした。

ここは「この場所に比べたら最もひどい牢獄も宮殿のように思える」と評された陰惨な土牢でした。ここでは全ての囚人が、横になったままの姿で日々の生活を強いられたのでした。

しかし、この最低の場所にも神の恩寵は豊かに注がれ、バンヤンの使命が果たせるよう準備がなされていたのでした。

<<前回へ     次回へ>>

◇

栗栖ひろみ(くりす・ひろみ)

1942年東京生まれ。早稲田大学夜間部卒業。80〜82年『少年少女信仰偉人伝・全8巻』(日本教会新報社)、82〜83年『信仰に生きた人たち・全8巻』(ニューライフ出版社)刊行。以後、伝記や評伝の執筆を続け、90年『医者ルカの物語』(ロバ通信社)刊行。また、猫のファンタジーを書き始め、2012年『猫おばさんのコーヒーショップ』で日本動物児童文学奨励賞を受賞。15年より、クリスチャントゥデイに中・高生向けの信仰偉人伝のWeb連載を始める。20年『ジーザス ラブズ ミー 日本を愛したJ・ヘボンの生涯』(一粒社)刊行。現在もキリスト教書、伝記、ファンタジーの分野で執筆を続けている。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
  • ツイート

関連記事

  • 天国への旅―ジョン・バンヤンの生涯(11)新しい家族

  • 天国への旅―ジョン・バンヤンの生涯(10)鋳掛屋の説教者

  • 天国への旅―ジョン・バンヤンの生涯(9)罪から解放されて

  • 天国への旅―ジョン・バンヤンの生涯(8)悩みと祝福と

  • 天国への旅―ジョン・バンヤンの生涯(7)荒野を照らす光

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • コヘレトの言葉(伝道者の書)を読む(5)時の賛歌 臼田宣弘

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • 日本人に寄り添う福音宣教の扉(224)音楽が支える聖霊による祈り 広田信也

  • ワールドミッションレポート(6月14日):スイス 信仰で買ったトラクター、ローレン・カニングハムとYWAMに託された農場の奇跡

  • ワールドミッションレポート(6月12日):ベルギーのために祈ろう

  • ワールドミッションレポート(6月15日):ベラルーシのために祈ろう

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • 花嫁(27)絶えず喜んでいなさい 星野ひかり

  • 戦時下でも福音は止まらない ウクライナの伝道者が欧州伝道会議で講演

  • 「ハーベスト・ジャパン2025」開催決定! “世界的な癒やしの器” ギエルモ・マルドナード牧師が来日

  • 【ペンテコステメッセージ】約束の成就と聖霊の力―ペンテコステの恵みにあずかる 田頭真一

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • 『天国は、ほんとうにある』のコルトン君、臨死体験から22年後の今

  • 1990年代生まれのプログラマー、カトリック教会の聖人に

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • 大統領選の結果受け韓国の主要キリスト教団体が相次いで声明、和解と相互尊重を訴え

  • ウォルター・ブルッゲマン氏死去、92歳 現代米国を代表する旧約聖書学者

  • 戦時下でも福音は止まらない ウクライナの伝道者が欧州伝道会議で講演

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

  • 「ハーベスト・ジャパン2025」開催決定! “世界的な癒やしの器” ギエルモ・マルドナード牧師が来日

  • 『天国は、ほんとうにある』のコルトン君、臨死体験から22年後の今

  • 1990年代生まれのプログラマー、カトリック教会の聖人に

  • 大統領選の結果受け韓国の主要キリスト教団体が相次いで声明、和解と相互尊重を訴え

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • 【ペンテコステメッセージ】約束の成就と聖霊の力―ペンテコステの恵みにあずかる 田頭真一

  • フランクリン・グラハム氏、ゼレンスキー大統領と面会 和平求め祈り

  • 淀橋教会、峯野龍弘主管牧師が引退し元老牧師に 新主管牧師は金聖燮副牧師

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • ウォルター・ブルッゲマン氏死去、92歳 現代米国を代表する旧約聖書学者

編集部のおすすめ

  • 四国の全教会の活性化と福音宣教の前進のために 「愛と希望の祭典・四国」プレ大会開催

  • イースターは「揺るぎない希望」 第62回首都圏イースターのつどい

  • 2026年に東京のスタジアムで伝道集会開催へ 「過去に見たことのないリバイバルを」

  • 「山田火砂子監督、さようなら」 教会でお別れの会、親交あった俳優らが思い出語る

  • 日本は性的人身取引が「野放し」 支援団体代表者らが院内集会で報告、法規制強化を要請

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 編集部
  • お問い合わせ
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 採用情報
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • X(旧Twitter)
  • Instagram
  • YouTube
  • RSS
Copyright © 2002-2025 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.