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ジョン・バンヤンの生涯

天国への旅―ジョン・バンヤンの生涯(10)鋳掛屋の説教者

2023年5月17日19時38分 コラムニスト : 栗栖ひろみ
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天国への旅―ジョン・バンヤンの生涯(1)鋳掛屋の子+
ジョン・バンヤン(1628〜88)の肖像画(英国立肖像画美術館所蔵)

こうして回心を経てバプテスト教会の会員となったバンヤンは、妻と盲目の娘メアリー、そしてその後に授かった子どもたちと共に毎週礼拝に出席した。そして説教を聞き、賛美を歌い、この教会の人々と家族同然の交わりを持つなどして、彼の生活は豊かに潤された。

1655年9月21日。人格者で地域の人にも慕われていたギフォード牧師が亡くなり、ジョン・バートン師がその後赴任した。彼もまた心温かく、寛容な人で、バンヤンを立ててこの教会の執事に任命した。

バンヤンは忠実にこの任務を果たす一方で、牧師が留守の時には、時々代わりに説教を頼まれるようにもなった。彼の話は淡々として素朴であったが、人の心をとらえる力があったので、間もなく大評判となった。

しかしながら、彼は聖日以外の日は相変わらず鉄くずのついた前掛けをし、仕事場にこもり、鋳掛屋の仕事に精進していた。彼は一層丁寧に鍋や釜を修理し、しかも安い手数料しか取らなかったので、町の人々は続々と修理を頼みに来た。

バンヤンは店を訪ねる人や、修理した品物を届けるために行った折に、必ず自分の体験談を語り、どんなにひどい人生を送った人でも、イエス・キリストの贖罪(しょくざい)によって必ず救われること、そして今もイエス・キリストは、目に見えなくても一緒にいてくださるのだと語るのであった。店を訪ねた人は彼の話に心打たれ、慰められ、希望を持って家路をたどるのだった。

「お父ちゃん」。ある夕暮れ、客が帰った後、いつの間にか盲目の娘メアリーがそばに来て声をかけた。

「おや、メアリー、どうした?」バンヤンは、今は5歳になった娘を抱きしめた。「あとで、夕ご飯が済んだら、迷子の羊さんの話してくれる?」「ああ、いいとも。おまえは羊さんの話が好きだね」

すると、メアリーは見えない目を天に向けてなおも言った。「もしかしたら、その羊さん、天国から落ちて迷子になっちゃったのかもしれないね」。「そうだね。でも大丈夫。ちゃんと良い羊飼いが羊を探して、見つけるとお家に戻してあげるんだよ」

「その羊飼いって誰なの?」「それはイエス様だよ。イエス様はお父さんやお母さん、メアリーやその他の子どものことをいつも見ていてくださってね、危ない所に行ったらすぐに探してくださるんだよ」

「どうして?」するとバンヤンは、メアリーをぎゅっと抱きしめ、その耳にささやいた。「イエス様は、私たちのことを愛してくださっているから、いつでも両腕でこうやって抱きしめてくださっているんだよ」

今やバンヤンにとっては、その心に満ちあふれるイエス・キリストの愛以外には何も存在しなかった。彼は全てがいとおしく思われた。家族も、友人も、教会に集う人も、そして町の人たちでさえも。彼は全てを愛した。

この年、バンヤンは『明らかにされた福音の真理』という本を出版した。そして、メアリーの次に授かった長男ジョン、次男トマスもすくすくと元気に育ち、彼にとって日々の生活は祝福と恵みそのものであった。

1657年。バンヤンの説教が素晴らしいと大評判になり、多くの人が店に押しかけてきた。間もなく、彼は「ベッドフォード・バプテスト教会」から正式に説教者として認められたのだった。

「バンヤンさんのお話は、どうしてそんなに力があるのでしょう」。鍋の修理をしてもらいながら、客の一人がこう言うと、彼は笑いながら言った。

「私はご覧の通り鍋・釜の修理人、鋳掛屋の説教者です。神様のお恵みで、教会でも店でも語らせていただいていますが、私は正規の教育を受けたことも、きちんと学校に行ったこともない人間です。貧しい職人の家庭で育ち、朝から晩まで働きづめ。人の情けで何とか読み書きを教わったのです。結婚して妻に助けられて何とか聖書が読めるようになったありさまです」

それから、店の入り口から吹き込む春風を胸いっぱいに吸い込んで、強調した。「だから、上手に語ろうなどと思ったことは一度もないのです。ただ私は、自分が救われたことを一人でも多くの方に伝えたいと願い、ただ一つだけ、イエス様の罪びとに対する愛だけを語っているのです」

そう。地獄がイエス・キリストの十字架の前に崩壊するのを見たあの日以来、彼にとって恐れるものは何一つなくなったのであった。

*

<あとがき>

回心を体験した後、バンヤンに祝福された豊かな生活が与えられます。ギフォード牧師亡き後、教会の執事に任命された彼は、しばしば牧師代理を務め、説教を任されるようになりました。無学で聖書に関する知識もないバンヤンの説教は確かにまずかったでしょう。しかし、淡々と語る彼の話には不思議な力が込められていて、人の心をとらえたといわれます。

また彼は、聖日以外はいつものように鉄くずのついた前掛けをし、仕事場にこもって鍋や釜の修理に余念がありませんでした。彼は修理の依頼に来た人々に必ず自分の体験を語り、どんなに罪深い生活を送った人でもイエス・キリストの贖罪によって必ず救われることを証しするのでした。

町の人々は、いつしかバンヤンのことを「鋳掛屋の説教者」と呼ぶようになりました。神は彼に実生活の面でも豊かな祝福を与えられ、メアリーの後に長男ジョン、次男トマスを授かり、家族そろって健康で満ち足りた毎日でした。

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◇

栗栖ひろみ(くりす・ひろみ)

1942年東京生まれ。早稲田大学夜間部卒業。80〜82年『少年少女信仰偉人伝・全8巻』(日本教会新報社)、82〜83年『信仰に生きた人たち・全8巻』(ニューライフ出版社)刊行。以後、伝記や評伝の執筆を続け、90年『医者ルカの物語』(ロバ通信社)刊行。また、猫のファンタジーを書き始め、2012年『猫おばさんのコーヒーショップ』で日本動物児童文学奨励賞を受賞。15年より、クリスチャントゥデイに中・高生向けの信仰偉人伝のWeb連載を始める。20年『ジーザス ラブズ ミー 日本を愛したJ・ヘボンの生涯』(一粒社)刊行。現在もキリスト教書、伝記、ファンタジーの分野で執筆を続けている。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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