Skip to main content
2022年6月26日22時38分更新
Go to homepage
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム
  2. 書籍
神学書を読む新型コロナウイルス

神学書を読む(77)若松英輔・山本芳久著『危機の神学 「無関心というパンデミック」を超えて』

2022年2月17日18時15分 執筆者 : 青木保憲
  • ツイート
印刷
関連タグ:若松英輔山本芳久フランシスコ(ローマ教皇)新型コロナウイルス
神学書を読む(77)若松英輔・山本芳久著『危機の神学 「無関心というパンデミック」を超えて』+
若松英輔・山本芳久著『危機の神学 「無関心というパンデミック」を超えて』(文藝春秋 / 文春新書、2021年12月)

コロナ禍となりすでに2年が過ぎた。いまだに収束の気配がなく、私たちの生活は混沌(こんとん)としている。この現状をどう捉えたらよいのか。未来にどんな希望を描けるのか。人々はこの現実をさまざまな方法で解釈し、良き明日が訪れることを希求している。

新型コロナウイルスを専門的に分析し、それと日本政府の政策の齟齬(そご)を指摘する著作も出版されている。自粛を過度に強調する日本人の心理を深く考察し、「日本人論」としてまとめ上げた本もある。では、宗教界はどうか。以前書評を書いたが、仏教界からは『不要不急 苦境と向き合う仏教の智慧(ちえ)』が上梓され、コロナ禍にある人々にメッセージが届けられている。書評の中で私はこう述べていた。

「知恵(智慧)」という視点から現代をひもとくというやり方なら、私たちにも2千年以上の蓄積があるではないか。それを丹念に調べ、現代との差異を見いだし、その間を埋める努力をすべきではないだろうか。いつまでも仏教界に押され気味でいいのだろうか。私たちにこそ、伝えるべき良き知らせ(福音)があると「コロナ以前」にはうたっていたのに!

『不要不急』を取り上げた昨年9月の段階では、これに比する一般書が日本のキリスト教界からは出ていなかったように思う。しかし同年12月、ついに真打登場である。本書『危機の神学 「無関心というパンデミック」を超えて』は、まさにキリスト教界からのアンサーといえるだろう。「神学」という、一見小難しく、一般の人々からはとっつきにくいと思われがちな分野から、若松英輔、山本芳久の両氏が分かりやすく、そして実践的な例証を交えながら語り尽くす本が出たのである。2人の対談形式を取っているが、一人語りが多く、あらかじめ決めておいたトピックスを、各々が担当してプレゼンしているような形式となっている。

著者の2人がカトリック畑であるため、どうしても話の中心がローマ教皇やキリスト教史に登場する偉人たち(アウグスティヌスやトマス・アクィナスなど)になっており、プロテスタントの神学者がここにもう一人加わっていたら、なお中身が濃くなっていただろうと思わされる。もしかしたら彼らに並ぶ論客が見当たらなかったのかもしれない(私の勝手な想像ではあるが)。

さて、内容を少し紹介しよう。副題にもなっている「無関心というパンデミック」とは、現教皇フランシスコの回勅に由来するものだ、と山本氏は述べている。詳しくは第5章「危機の神学者としての教皇フランシスコ」をお読みいただきたいが、カトリック的世界観においては現代のコロナ禍がすでに予見されていたという発想はとても新鮮であった。プロテスタントの牧師である私はどうしても、自国のプロテスタント諸教会の日常に目を向けがちだが、カトリックはやはりその名の通り普遍的な神の教会という立場から、グローバルな世界観を提唱している。

第1章では、コロナ禍に向き合う私たちの視座を話題にしている。これは、今まで当たり前だと思っていた自分中心的な生き方が、コロナ禍によって「他者」を意識せざるを得なくなったことを意味している。感染する・させるかもしれないと、私たちは否応なしに他者と共に生きていることを実感する。こうした視座を与えてくれるものこそ「神学」であるという両氏の主張は、いやしくもこの分野の端くれで生きる私にとって、大いなるエールを頂いたような気がした。

第2章と第3章は、キリスト教と疫病の関わりについて、歴史的な視点でひもとかれている。個人的には第2章で語られている内容がとても面白かった。キリスト教がローマ帝国に広がった理由の一つとして、疫病がまん延する中でも将来への希望と未来像を示すことができ、しかもその中で愛と奉仕の実践をなし得た事実を挙げている。この時から「危機」は「画期」(このフレーズは第4章のタイトルにも入っている)であったことが示されている。そして当時の神学者たちがこのような危機をどう捉え、どのようにして人々に将来への希望を示していったのか、が語られている。

第4章は「『危機』こそ『画期』である」というタイトルの通り、さまざまな時代において多くの人々が「危機」だと一面的に捉えてしまう中、神学者たちは「神学的視座」に立ち、これを現状変革のチャンスとしてきたことが示されている。ここに至って、両氏が本書で訴えたかった本質が多面的に明らかになる。それは、第1章末尾で語られている若松氏の以下の文章に集約されるだろう。

キリスト教神学は、静的、概念的なものではなく、じつに動的なものです。むしろ、動的ならざるものは神学ではないといってもよいくらいではないでしょうか。さび付いた概念を繰り返しているだけでなく、永遠なるものが、それゆえに常に新たに生まれるという思想が、キリスト教神学の根底にある。そういう思想だけが古くて新しい危機に対応できるのではないか。この対談では、そうした可能性をめぐっても思索を深めたいと思っています。(34ページ)

本書はコロナ禍に対する私たちの心の持ち方について語っている。しかしそれだけにとどまらず、神学という学問が、いかに守備範囲が広く、そしてどんな立場(たとえクリスチャンでない人)にあっても、立ち止まり、思索を深めることが、新しい自分、新しい世界に一歩足を踏み入れるきっかけとなることを指し示している。クリスチャンのみならず、他宗教の人、また無宗教を自認する人にもぜひ読んでもらいたい一冊である。

■ 若松英輔・山本芳久著『危機の神学 「無関心というパンデミック」を超えて』(文藝春秋 / 文春新書、2021年12月)

<<前回へ     次回へ>>

◇

青木保憲

青木保憲

(あおき・やすのり)

1968年愛知県生まれ。愛知教育大学大学院卒業後、小学校教員を経て牧師を志し、アンデレ宣教神学院へ進む。その後、京都大学教育学研究科修了(修士)、同志社大学大学院神学研究科修了(神学博士)。グレース宣教会牧師、同志社大学嘱託講師。東日本大震災の復興を願って来日するナッシュビルのクライストチャーチ・クワイアと交流を深める。映画と教会での説教をこよなく愛する。聖書と「スターウォーズ」が座右の銘。一男二女の父。著書に『アメリカ福音派の歴史』(明石書店、12年)、『読むだけでわかるキリスト教の歴史』(イーグレープ、21年)。

関連タグ:若松英輔山本芳久フランシスコ(ローマ教皇)新型コロナウイルス
  • ツイート
▼関連記事を見る  ▼クリスチャントゥデイからのお願い

関連記事

  • 若松英輔氏「苦しみの中に、隠された宝がある」 日本聖書協会オンライン特別講演会

  • 神学書を読む(75)山本芳久著『キリスト教の核心をよむ』

  • キリスト教界はどうしてる? 『不要不急 苦境と向き合う仏教の智慧』を鏡に現代キリスト教界へ提言する!

  • 神学書を読む(23)若松英輔著『内村鑑三 悲しみの使徒』

  • 若松英輔初の詩集『見えない涙』 詩は人の心に宿るもう1つの祈り

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • 米連邦最高裁「ロー対ウェイド」判決覆す、中絶の是非は各州の判断へ

  • ハンガーゼロ、西南学院大が包括連携協定締結

  • スマホが動くのも量子力学のおかげ? 東工大名誉教授を講師にサイエンスカフェ

  • 篠原元のミニコラム・聖書をもっと!深く!!(75)聖書と考えるバラエティー番組「バナナマンのせっかくグルメ!!」

  • 最高のポジティブ心理学者 安食弘幸

  • すみれ時計(8)いざない

  • ルカ福音書を読む(11)「してほしいことを人にもしなさい」―新約聖書の黄金律― 臼田宣弘

  • 福音は力である?(その3・最終回)

  • 米南部バプテスト連盟、新議長にバート・バーバー牧師 1期で議長交代は数十年ぶり

  • 無料で日用品や散髪、ネイルアートなど提供 教会でウクライナ避難民支援イベント

  • 【対談企画】参議院全国比例区立候補予定者・金子道仁牧師ってどんな人?(1)日本のチャーチスクールを救いたい

  • 無料で日用品や散髪、ネイルアートなど提供 教会でウクライナ避難民支援イベント

  • ラムゼイ・ハント症候群告白のジャスティン・ビーバー「イエス様が僕と共にいてくれる」

  • ニューヨーク便り(6)米国の大学で学びながら考えた「日本でクリスチャンが少ない理由」

  • 【対談企画】参議院全国比例区立候補予定者・金子道仁牧師ってどんな人?(3)子ども8人のビッグダディ

  • バチカン、33年ぶりの組織再編 「福音宣教省」が筆頭省に

  • 【対談企画】参議院全国比例区立候補予定者・金子道仁牧師ってどんな人?(2)教会は地方創生の鍵

  • 最高のポジティブ心理学者 安食弘幸

  • 英政府、キリル総主教を制裁対象に 「軍事侵略を著しく支持した」

  • 日本人に寄り添う福音宣教の扉(149)葬儀の費用が払えない! 広田信也

  • 【対談企画】参議院全国比例区立候補予定者・金子道仁牧師ってどんな人?(1)日本のチャーチスクールを救いたい

  • 4K映像で再び劇場に!「ショーシャンクの空に」 キリスト教的世界観をベースに描き出された希望の寓話

  • 必要なのは「キリストの基礎知識」 国分寺の教会が無料のオンライン聖書講座

  • 【対談企画】参議院全国比例区立候補予定者・金子道仁牧師ってどんな人?(3)子ども8人のビッグダディ

  • 【ペンテコステメッセージ】衰退し続ける教会の起死回生の決定打としての聖霊 手束正昭

  • ロシア正教会モスクワ総主教庁、渉外局長のイラリオン府主教を解任

  • ラムゼイ・ハント症候群告白のジャスティン・ビーバー「イエス様が僕と共にいてくれる」

  • トルコで巨大な地下都市跡発見、最大7万人居住 迫害下の初期キリスト教徒らが建設か

  • ニューヨーク便り(6)米国の大学で学びながら考えた「日本でクリスチャンが少ない理由」

  • 【対談企画】参議院全国比例区立候補予定者・金子道仁牧師ってどんな人?(2)教会は地方創生の鍵

編集部のお勧め

  • 被害者が加害者になる連鎖を断ち切るには? 「記憶の癒やし」のラプスレー司祭が講演

  • 必要なのは「キリストの基礎知識」 国分寺の教会が無料のオンライン聖書講座

  • 教会でウクライナ支援コンサート、現地で難民支援するハンガーゼロのスタッフが報告

  • ひとり子を十字架につけられる程の愛 小坂忠

  • 同志社大神学部・神学研究科が公開シンポ「戦争と同志社」 戦時下知る有賀誠一氏が講演

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 論説委員・編集部
  • お問い合わせ
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 採用情報
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • Twitter
  • Instagram
  • YouTube
  • RSS
Copyright © 2002-2022 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.