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リビングストンの生涯

アフリカ奥地に神の愛を―リビングストンの生涯(17)涙の谷を越えて

2022年1月12日19時15分 コラムニスト : 栗栖ひろみ
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アフリカ奥地に神の愛を―リビングストンの生涯(1)悲しい伝説+
リビングストン(1813〜73、写真:Thomas Annan)

1860年11月。1人の見張り人がテーテの港に1隻の船が入ってくると知らせてきた。それはパイオニア号という英国船であった。

「大学伝道団だ!」リビングストンは、子どものように狂喜して叫んだ。オックスフォード、ケンブリッジ両大学の協力のもと、マッケンジーを監督として派遣された伝道団体だったのである。

「あなたは本当にリビングストンさんですね」。マッケンジーは変わり果てたリビングストンを見て、驚きの声を上げた。そして、言葉を尽くして彼の労をねぎらい、自分はできるだけのことをして彼の役に立ちたい旨を伝えた。

彼らはパイオニア号に乗ってゆっくりとシレ川を上っていった。少し行くと、ちょうど乾期の最中だったので、川の水位が低く、船は浅瀬に乗り上げてしまった。それで一行は船を降り、あたりの村々を見て回った。

少し行った所では、惨劇の跡が生々しく残っていた。木々には惨殺された者の死体が吊り下げられており、川は血で染まり、至る所に死体が転がっていた。

「この頃は、遠くから奴隷商人がやってくるようになりましてな」。近くの農家の老人が言った。「昨日も鉄砲を持った白人たちがたくさんやってきて、年寄りを撃ち殺し、赤ん坊を母親の手から奪い取ってその脳天をめちゃくちゃに砕いてしまいました。あまりのことに、村の若者たちがみんなで立ち向かったんですが、なにしろ鉄砲を持った白人にはかないません。こういうひどい方法でみんな殺されてしまいました」

そして老人は、地べたを叩いて泣いた。「私らは昔から畑を耕したり、家畜を飼ったりすることしか教わっていません。どうして戦争を起こせましょう」。リビングストンは、老人のしわだらけの手を握って一緒に泣いた。

それから少し行くと、さらに恐ろしい光景を目にした。丘の中腹から何やら長い行列がうねうねと続いて下りてくるではないか。よく見れば、それは両手を鎖で縛られ、木の枷(かせ)を首にかけて数珠つなぎにされた奴隷たちだった。働き盛りの男女、そして子どもも混じっていた。先頭と後ろには白人の商人が皮のムチを持って彼らを脅し、歩かせていた。先頭の商人の顔を見た瞬間、リビングストンは飛び上がった。それは、彼と同じ英国人だったからである。相手もリビングストンの顔を見ると、はっとしたように立ち止まった。

「卑劣なやつめ!もうゆるさん」。リビングストンはピストルを彼に向けつつ叫んだ。「おまえは私の名を語ってこういう悪事を行っていたのか。オランダ人やポルトガル人だけじゃなかったんだ。おまえのように心の腐った英国人もやっていたんだな」

「おゆるしください。私は決してあなたの名を語ったりはしていない。新しい貿易の道ができたから金もうけしようと思って」。そして、すっかり気が動転した彼らは、奴隷たちを置き去りにして逃げてしまった。その後ろには、黒人の監督が、間が悪そうに立ち尽くしていた。

「おまえたちは、仲間を売ったんだな」。リビングストンは悲痛な声で叫んだ。すると彼らは憎しみの色を浮かべ、吐き捨てるように言った。

「へん!おれたちにそんな説教ができるのかよ。仲間を売るより、もっとひどいことをあんたがた白人はやっているじゃないか。胸に手を当てて考えてみな」

そして、悪態をつきながら行ってしまった。その間に、一行は奴隷たちの首枷や鎖を外して自由にしてやった。その中の2人の少年、スーシとチューマは村に帰ろうとせず、リビングストンの従者となったのだった。

それから程なくして、またしても災いが襲い掛かった。大切な薬の箱が盗まれてしまい、運悪くマッケンジー監督と助手のバーラップがマラリヤにかかってしまったのだった。彼らは、悪寒と発熱を繰り返し、恐ろしい苦しみの中でもがき続けた。そして、ついに呼吸困難に陥り、次第に弱っていった。

「先生…何もお手伝いできず…すみません。天国からお祈りして…います」。色あせた唇でこう言い残し、ついにマッケンジーは世を去った。その後を追うようにして、バーラップも他界した。

「神様、この先幾つ涙の谷を越えなければならないのでしょうか?」リビングストンは泣いて、そう祈るのだった。

*

<あとがき>

この頃、リビングストンの働きを援助するためにオックスフォード・ケンブリッジ両大学の協力のもとに「大学伝道団」が作られ、マッケンジー監督が派遣されてきました。彼と共に舟で川をさかのぼり、調査するうちに、至る所に残された惨劇の爪痕を目にし、また現地の人から話を聞いたリビングストンは大きな衝撃を受けたのでした。アフリカ奥地に住む黒人たちが欧州人と対等に貿易ができるようにと願ってやってきた自分の事業が、果たして正しかったのだろうか。このような疑問さえ心の中に湧いてくるのでした。

悲嘆に打ちのめされた彼の目に、丘の中腹を鎖でつながれ売られていく奴隷たちの長い行列が映りました。思わず白人の奴隷商人と武力で渡り合って彼らを解放することができましたが、スーシとチューマという2人の少年はリビングストンを慕い、彼の従者となりました。その後さらに大きな悲劇がやってきました。マッケンジー監督と助手のバーラップがマラリヤにかかって命を落としたのです。

アフリカ奥地に神の愛を―リビングストンの生涯(1)悲しい伝説
(画像:栗栖ひろみ著『信仰に生きた人たち 第3巻 リビングストン』[1982年、ニューライフ出版社〕)

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◇

栗栖ひろみ(くりす・ひろみ)

1942年東京生まれ。早稲田大学夜間部卒業。80〜82年『少年少女信仰偉人伝・全8巻』(日本教会新報社)、82〜83年『信仰に生きた人たち・全8巻』(ニューライフ出版社)刊行。以後、伝記や評伝の執筆を続け、90年『医者ルカの物語』(ロバ通信社)、2003年『愛の看護人―聖カミロの生涯』(サンパウロ)など刊行。12年『猫おばさんのコーヒーショップ』で日本動物児童文学奨励賞を受賞。15年より、クリスチャントゥデイに中・高生向けの信仰偉人伝のWeb連載を始める。その他雑誌の連載もあり。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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