Skip to main content
2025年6月16日19時18分更新
クリスチャントゥデイ
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム
  2. 論説・コラム
  3. コラム
パウロとフィレモンとオネシモ

パウロとフィレモンとオネシモ(37)「エフェソ書オネシモ著者説」(1)―ハリスンの著作から― 臼田宣弘

2021年4月1日11時40分 記者 : 臼田宣弘
  • ツイート
印刷
関連タグ:エフェソの信徒への手紙臼田宣弘

本コラムでは、パウロの真性書簡と擬似書簡についてお伝えしています。真性書簡とは「パウロ自身の手による書簡」であり、擬似書簡とは「パウロ以後にパウロの弟子たちがパウロの名前によって書いた書簡」ということです。今日の聖書学においては一般的に、ローマ書、第1コリント書、第2コリント書、ガラテヤ書、フィリピ書、第1テサロニケ書、フィレモン書が真性書簡であり、エフェソ書、コロサイ書、第2テサロニケ書、第1テモテ書、第2テモテ書、テトス書は擬似書簡であるといわれています。ただし、13書簡すべてを真性書簡とする立場もあることも併記しておきます。

擬似書簡とされるもののうち、今回から取り上げるエフェソ書は、最も早くから真正性が問われ、18世紀末にすでにそれを疑問視する声がありました。19世紀には少なからぬ擬似書簡説が出されています。しかしもちろん、20世紀、そして21世紀の現在においても、「真性書簡である」とする説が出されてもいます(ルドルフ・シュナッケンブルク著『EKK新約聖書註解(10)エペソ人への手紙』15~16ページ参照)。

私は、エフェソ書はコロサイ書と同様、擬似書簡であり、「コロサイ書の著者はフィレモン、エフェソ書の著者はオネシモ」という説を立てていることをこれまでお伝えしてきました。前者については私自身の推論でありますが、根拠については前回お伝えしました。しかし後者、つまり「エフェソ書の著者はオネシモである」という主張については以前からあるものです。

イギリスのP・N・ハリスンは、1964年に出版された『Paulines and Pastorals』において、「かつてコロサイでフィレモンの奴隷だったオネシモは、エフェソの集会で主導的な役割を果たしていた」(31ページ、第8回参照)として、次のように述べています。

オネシモスは確かにエフェソ書の著者であり、感受性が強かった青年時代に、パウロ本人と親密にしていたという貴重な利点がありました。彼がパウロの心の深層に理解を示しているのも不思議ではありません。彼の手紙と、トラヤヌス時代(在位98~117年)に入手可能だった、使徒行伝と諸報告の物語を通してのみ使徒を知っていた誰よりも、深くパウロの心を理解していたからです(同書37ページ)。

つまり、フィレモン書ではパウロの思いとして記されている、「わたしの子オネシモ」(同書10節)、「わたしの心であるオネシモ」(12節)、「オネシモは特にわたしにとってそうですが、あなたにとってはなおさらのこと、一人の人間としても、主を信じる者としても、愛する兄弟であるはずです」(16節)ということが、オネシモとすれば、「感受性が強かった青年時代に、パウロ本人と親密にしていたため、パウロの心を深層まで知っていた」ということです。だから「パウロの名前によって書簡を書くことができる」というのが、ハリスンの「エフェソ書オネシモ著者説」の強い理由だと思うのです。

しかし、先述のシュナッケンブルクは、エフェソ書の著者について、「ハリスンなどが提案したオネシモ著者説はほとんど問題にならない。イグナティオス時代の同名の、エペソの司教(イグナティオスの手紙―エペソのキリスト者へ1:3)は、確かにパウロによって回心した奴隷オネシモ(ピレモンとコロサイ4:9)ではない。これはよくある名前だった」(同書31、433ページ)としています。

しかし、「オネシモという名前がよくあるものだった」としても、エフェソの司教オネシモとフィレモン書のオネシモを別人と断言して片付けるべきではないと思います。詳しくは今後お伝えする予定ですが、フィレモン書は牧会書簡(第1・2テモテ書、テトス書)を除くパウロ書簡集の結びとして置かれているのであって、その位置付けは重たいと思います。私はフィレモン書のオネシモとエフェソの司教オネシモは同一だと考えており、むしろそう断言してよいのではないかとさえ思っています。

キリスト新聞社の『新聖書大辞典』(1971年刊)における「オネシモ」(木下順治執筆)の項には以下のようにあります。

オネシモは希望どおり(ピレ12節)パウロのもとに送りかえされ、パウロのよい同労者となったと思われる。第1世紀の末イグナティウスがエペソに書き送った手紙(エペソのキリスト者へ1:3、2:1、6:2)には、「エペソの監督オネシモ」となっている。このオネシモは奴隷オネシモが立派になった姿であり、彼は各地の教会に送られたパウロの手紙を集めて、パウロ文集を刊行したと言われている。

さらに木下順治は、1986年に『パウロ―回心の伝道者』を上梓しており、その中の「獄中の一挿話―オネシモの入信」で以下のように述べています。

さて二世紀の初期に活躍したイグナティウスの「エペソへの手紙」に、オネシモという名の監督がいる(エウセビウス「教会史」Ⅲ36・5、筆者引用=「イグナティウスは、ポリュカルポスのいたスミルナに来たとき、エペソの教会宛にそこの牧者であるオネシモの名を上げた一通の手紙を書いた。エウセビオス『教会史』上201ページ」)。これはおそらくあの奴隷だったオネシモと同一の人物であると考えられる(グッドスピード、J・ノックス、C・L・ミトン)。エペソの教会はパウロの去ったあとテモテに託せられたが、テモテの殉教後はオネシモが牧者となったのであろう。おそらくオネシモが牧者となったのは紀元90年代で、彼はパウロの恩義を思い、当時パウロが広く教会の人々から忘れられていることをひどく嘆いた。そして彼は、パウロが各地の教会に送った手紙を苦心して収集し、遂に「パウロの手紙集」を編集した。(183ページ)

私は、木下順治がグッドスピード、J・ノックス、C・L・ミトンの説を元に述べている「フィレモン書のオネシモとエフェソの司教(監督、牧者)オネシモは同一」であるということが、前述したように正しいと考えています。それ故、シュナッケンブルクの「エペソの司教は、確かにパウロによって回心した奴隷オネシモではない」とする論は退け、ハリスンの「エフェソ書の著者はオネシモ」を支持するのです。

今回はさまざまな著作の紹介が中心となりましたが、次回もう一度それをすることをお許しください。次回はグッドスピード、J・ノックス、C・L・ミトンの説の紹介とともに、「パウロ小書簡集の冒頭にエフェソ書が置かれているのはなぜか」という観点からも、「エフェソ書の著者はオネシモ」ということを論じる予定です。(続く)

※ フェイスブック・グループ【「パウロとフィレモンとオネシモ」を読む】を作成しました。フェイスブックをご利用の方は、ぜひご参加ください。

<<前回へ     次回へ>>

◇

臼田宣弘

臼田宣弘

(うすだ・のぶひろ)

1961年栃木県鹿沼市生まれ。80年に日本基督教団小石川白山教会(東京都文京区)で受洗。92年に日本聖書神学校を卒業後、三重、東京、新潟、愛知の各都県で牧会。日本基督教団正教師。2016年より同教団世真留(せまる)教会(愛知県知多市)牧師。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
関連タグ:エフェソの信徒への手紙臼田宣弘
  • ツイート

関連記事

  • パウロとフィレモンとオネシモ(36)「コロサイ書を読み終えて」―フィレモン書から受け継いでいること― 臼田宣弘

  • パウロとフィレモンとオネシモ(35)「コロサイ書の結び」―宣教者たちの働き― 臼田宣弘

  • パウロとフィレモンとオネシモ(34)「むかしむかしパウロさん」―童謡「浦島太郎」の替え歌― 臼田宣弘

  • パウロとフィレモンとオネシモ(33)「オネシモ物語・第2幕」―おとぎ話「浦島太郎」と読み比べ― 臼田宣弘

  • パウロとフィレモンとオネシモ(32)「家庭訓」―神のもとでは奴隷も自由人もすべて平等― 臼田宣弘

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • コヘレトの言葉(伝道者の書)を読む(5)時の賛歌 臼田宣弘

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

  • 日本人に寄り添う福音宣教の扉(224)音楽が支える聖霊による祈り 広田信也

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • ワールドミッションレポート(6月14日):スイス 信仰で買ったトラクター、ローレン・カニングハムとYWAMに託された農場の奇跡

  • 自分の考えを大切に生きよう 菅野直基

  • ワールドミッションレポート(6月15日):ベラルーシのために祈ろう

  • 戦時下でも福音は止まらない ウクライナの伝道者が欧州伝道会議で講演

  • ワールドミッションレポート(6月12日):ベルギーのために祈ろう

  • 花嫁(27)絶えず喜んでいなさい 星野ひかり

  • 「ハーベスト・ジャパン2025」開催決定! “世界的な癒やしの器” ギエルモ・マルドナード牧師が来日

  • 【ペンテコステメッセージ】約束の成就と聖霊の力―ペンテコステの恵みにあずかる 田頭真一

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • 『天国は、ほんとうにある』のコルトン君、臨死体験から22年後の今

  • 1990年代生まれのプログラマー、カトリック教会の聖人に

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • 大統領選の結果受け韓国の主要キリスト教団体が相次いで声明、和解と相互尊重を訴え

  • ウォルター・ブルッゲマン氏死去、92歳 現代米国を代表する旧約聖書学者

  • 戦時下でも福音は止まらない ウクライナの伝道者が欧州伝道会議で講演

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

  • 「ハーベスト・ジャパン2025」開催決定! “世界的な癒やしの器” ギエルモ・マルドナード牧師が来日

  • 『天国は、ほんとうにある』のコルトン君、臨死体験から22年後の今

  • 1990年代生まれのプログラマー、カトリック教会の聖人に

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • 大統領選の結果受け韓国の主要キリスト教団体が相次いで声明、和解と相互尊重を訴え

  • 【ペンテコステメッセージ】約束の成就と聖霊の力―ペンテコステの恵みにあずかる 田頭真一

  • フランクリン・グラハム氏、ゼレンスキー大統領と面会 和平求め祈り

  • 淀橋教会、峯野龍弘主管牧師が引退し元老牧師に 新主管牧師は金聖燮副牧師

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

編集部のおすすめ

  • 四国の全教会の活性化と福音宣教の前進のために 「愛と希望の祭典・四国」プレ大会開催

  • イースターは「揺るぎない希望」 第62回首都圏イースターのつどい

  • 2026年に東京のスタジアムで伝道集会開催へ 「過去に見たことのないリバイバルを」

  • 「山田火砂子監督、さようなら」 教会でお別れの会、親交あった俳優らが思い出語る

  • 日本は性的人身取引が「野放し」 支援団体代表者らが院内集会で報告、法規制強化を要請

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 編集部
  • お問い合わせ
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 採用情報
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • X(旧Twitter)
  • Instagram
  • YouTube
  • RSS
Copyright © 2002-2025 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.