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犯罪史に残る未解決事件を映画化「罪の声」 無自覚な罪ほど残酷なものはない

2020年11月4日18時38分 執筆者 : 青木保憲
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犯罪史に残る未解決事件を映画化「罪の声」 無自覚な罪ほど残酷なものはない+
©2020 映画「罪の声」製作委員会

塩田武士の同名小説を原作とし、小栗旬と星野源が映画初共演する「罪の声」。塩田は新聞記者の経験を基に、原作小説を2016年に発表し、第7回山田風太郎賞を受賞している。また、同年の週刊文春ミステリーベスト10でも第1位に輝いている。本作は、1984年から85年にかけて日本を震撼(しんかん)させた犯罪史に残る未解決事件をモチーフに、作者が独自の解釈でミステリーとして仕上げた社会派ドラマである。映画の公式サイトによると、塩田はこの小説を書いた理由を次のように述べている。

21歳のとき、私は事件に子どもの声が利用されていることを知った。犯人グループは身代金受け渡しの指示書代わりに、子どもの声が入った録音テープを流したのだ。一説には3人の子どもが関わっているとされるが、私は最年少の未就学児と同世代で、しかも同じ関西に育った可能性が極めて高い。どこかですれ違っているかもしれない・・・そう思った瞬間、全身に鳥肌が立ち、どうしてもこの子どもたちの物語を書きたくなった。

このコメントからも分かるように、物語の主人公は、犯人グループの身代金受け渡しを指示する「声」を否応なしに担わされた子どもたちである。何も分からず大人の犯罪の片棒を担がされた彼らが、その後の人生をどう過ごしていったのか、を映画は物語っていく。面白いのは、平成から令和に移りゆく現代を舞台にしたドラマとなっている点である。時系列に事件後の35年間を描くのではなく、新聞記者(小栗旬)や「声」を担わされたかつての子ども(星野源)が過去の出来事をあぶりだしていくという構成になっている。

犯罪史に残る未解決事件を映画化「罪の声」 無自覚な罪ほど残酷なものはない
©2020 映画「罪の声」製作委員会

法的にはすでに時効になっており、結局誰も(表面的には)死ぬことなく、しかも身代金も受け渡されることがなかった、とする劇中事件は、実際に起こった未解決事件をなぞっている。時効後の調査(警察の捜査ではない)ということで、たとえ真相が明らかになったとしても、それで法的に犯人を裁くことができるわけではない。だから記事にして発表したところで、結局は第三者の興味をかき立てるエンターテイメントにしかならないのではないか――。劇中、この事件をいやいやながら調査させられる新聞記者は、上司にこんな質問をする。「35年前の過去をほじくり返して、一体何になるって言うんですか」。これが本作の隠されたテーマとなっている。

「罪の声」というタイトルは、まさにこのテーマを言い当てた表現である。一見すると、事件の重要な「声(犯人の指示を代読したこと)」を指しているように見えるが、映画を観終わってこのタイトルにもう一度立ち返るとき、もっと深い意味が込められていたことに気付かされる。それは、小栗旬扮(ふん)する新聞記者が発した問いにつながっていく。もう終わった事件、過去を今さらほじくり返して一体何になるのか、ということである。

私たちは法治国家に住んでいる。法律が物事の基準、期間を設定している社会というのは、不特定多数の者が共同生活するためには必須であろう。だが、個々人にとってその法律は、時として過去を「過ぎ去ったこと」とはさせず、むしろ「気持ちの整理がつかないまま強引に終わらせる装置」として機能することがある。過去に犯した過ちは、社会的には「終わってしまった」と見なされるが、当の本人にとってはそうではない。「未解決」事件であるが故に、「声」を担わされた彼らにとって、35年たっても罪意識は当事者を責め、さいなみ、そして犯罪行為に加担したと訴える「罪の声」は、今もなお彼らの人生に響き渡っているのである。

犯罪史に残る未解決事件を映画化「罪の声」 無自覚な罪ほど残酷なものはない
©2020 映画「罪の声」製作委員会

本作は、法律では真の意味で罪を裁くことはできず、事件を解決に至らしめることはできないのだと訴える。過去をほじくり返すことにどんな意味があるのか。その問いに対する答えは明快である。それは「当事者の過去を真に解決するため」である。映画「罪の声」は、その解決がどのようなものかを観る者に示すため、ジグソーパズルのピースを一つ一つ埋めていくように、初めは何のことか分からない出来事が次第に関連性を持つようになっていく様を、スリリングかつエモーショナルに描いている。

観終わって、これはキリスト教的(主にカトリック)世界観における「告解」に近いものだと思わされた。信者が、神の前で自ら犯した罪を神父の前で告白する。この「告白」という自発的な行為が罪の赦(ゆる)しにつながる。神をこの地上で体現する神父によって「あなたの罪は赦された」と告げられることで、罪の当事者は解放される。何からの解放か。それは「罪の声」からのそれである。自らを責めていた気持ちに解決が与えられ、それで過去を「過去」と見なせるようになり、前に進んでいくことができる。このリアリティーに時効も法的解決もない。あるのはただ「解放と赦し」である。そこに人としての「事件解決」が成就することになる。

劇中、真の犯人と名指しされる人物が出てくる。彼は今なお過去に生きている。その様を評してある人物は「あいつは化石だ」と言い放つ。犯人は、自らが犯した罪、そして「罪の声」が思いもよらぬ事態を生み出していたことに最初は気付いていない。だから「生きた化石」と呼ばれることになる。だが子どもたちのその後の人生を知り、その時初めてぼうぜん自失となる。事件の全貌を当時者の視点で顧みて、初めて「罪の声」が聞こえるようになったのであろう。そう考えると、「罪」とは往々にして人間には無自覚なものなのかもしれない。しかしそれを自覚させられたとき、人はその大きさ、重大さに初めてリアリティーを抱くことになる。これが罪の恐ろしさなのだろう。

犯罪史に残る未解決事件を映画化「罪の声」 無自覚な罪ほど残酷なものはない
©2020 映画「罪の声」製作委員会

教会では「キリストの十字架は、私たちの罪を贖(あがな)う」とよく語られる。この「罪」とは私たちの「無自覚の過去」が多分に含まれている。だからそれらを自覚できたとき、人はキリストの十字架の真の意味を知るようになる。そして悔い改め、新しく生きる道を選択したいと願う。そう考えると、キリスト教会がこの地でなしている行為とは、「罪の声」を自覚させ、同時にその声を消失させて人々を解放することなのであろう。

このように本作を鑑賞することで、いろいろと気付きや発見、新たな視点が私たちの内に与えられることは間違いない。本作「罪の声」は、サスペンスの傑作『砂の器』と『永遠の仔(こ)』を掛け合わせたようなスケールの大きさと、登場人物のヒリヒリするような痛みがストレートに伝わってくる傑作である。ぜひ鑑賞していただきたい。

■ 映画「罪の声」予告編

■ 映画「罪の声」公式サイト

◇

青木保憲

青木保憲

(あおき・やすのり)

1968年愛知県生まれ。愛知教育大学大学院卒業後、小学校教員を経て牧師を志し、アンデレ宣教神学院へ進む。その後、京都大学教育学研究科修了(修士)、同志社大学大学院神学研究科修了(神学博士)。グレース宣教会牧師、同志社大学嘱託講師。東日本大震災の復興を願って来日するナッシュビルのクライストチャーチ・クワイアと交流を深める。映画と教会での説教をこよなく愛する。聖書と「スターウォーズ」が座右の銘。一男二女の父。著書に『アメリカ福音派の歴史』(明石書店、12年)、『読むだけでわかるキリスト教の歴史』(イーグレープ、21年)。

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