Skip to main content
2025年8月28日11時04分更新
クリスチャントゥデイ
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム
  2. 文化
  3. 映画

映画「ステップ」から見る「神の子」としての私たち

2020年10月7日16時39分 執筆者 : 青木保憲
  • ツイート
印刷
映画「ステップ」から見る「神の子」としての私たち+
映画「ステップ」のDVDジャケット。劇場での上映はほとんどが終了しているが、本編118分と映像特典が付いたDVD(税抜4800円)とブルーレイ(同5800円)は、来年1月8日に発売が予定されている。発売・販売元はいずれもハピネット。この他、今年11月18日からはデジタルセル配信が、12月2日からはレンタル・デジタル配信が始まる。©2020 映画「ステップ」製作委員会

2020年夏は、コロナ禍でハリウッド超大作が一本も公開されないという異常事態となった。日本では「緊急事態宣言」が解除された後、細々と映画館も再開した。そして本来春に公開されるはずだった作品が、軒並み夏休み映画として公開された。その中の一本に、重松清の同名小説を原作とした「ステップ」がある。キリスト教的要素は直接的には皆無だが、その背景にある「人としての喜怒哀楽」に目を向けるとき、聖書の次の言葉が身に染みてくるのが分かる。

「その結果、私たちが子としての身分を受けるようになるためです。そして、あなたがたは子であるゆえに、神は『アバ、父。』と呼ぶ、御子の御霊を、私たちの心に遣わしてくださいました」(ガラテヤ4:5~6)

映画は、結婚3年目30歳という若さで伴侶を失った主人公・健一(山田孝之)が、残された娘と共に悪戦苦闘する10年を描いている。いわゆる「子育てパパ」の奮闘記である。仕事に復帰しても、夕方6時になると退社して娘を迎えに行かなければならない。朝は早めに家を出て、保育園に向かい、それから仕事へ。そんな日々を健一は「一人で頑張る」と気合を入れる。今まで妻に頼りきりであったさまざまな細かい事柄を自分でやらなければならなくなり、それらに一喜一憂する健一。戸惑いと感動が入り混じって押し寄せてくる表情は「いかにも」と感じられる。そして健一が何よりも気に掛けるのは、娘・美紀の成長である。

劇中、美紀の成長に合わせて3つの時期にフォーカスが当てられている。1つ目は幼児期、2つ目は小学校低学年、そして最後は小学校卒業の時期。それぞれの物語に、感動があり、時にはドキリとさせられるエピソードが盛り込まれている。特に、その時期の子育てを経験した者にとっては、グサグサと刺さる言葉があった。

映画「ステップ」から見る「神の子」としての私たち
©2020 映画「ステップ」製作委員会

やがて健一は、仕事の同僚である奈々恵(広末涼子)と引かれ合うようになる。彼女との距離が縮まるにつれ、娘の美紀が果たして彼女を気に入ってくれるかという疑念が頭をもたげてくる。つまり、もはや「父-娘」は一体ではなく、別々の存在として意識しなければならない時期がやってきたということだ。

一方、亡くなった妻の両親は、そんな彼らをどこまでも温かく見守っていく。いずれは別の「良き伴侶」を得て、健一に一人の男性としての幸せをつかんでもらいたいと願う義理の両親は、再婚に悩む彼にこんな言葉を投げ掛ける。

「英語で継父のことをステップ・ファーザーって言うだろ? ステップというのは、いろんな段階を踏んで『父になる』ってことなんだよ」

映画「ステップ」から見る「神の子」としての私たち
©2020 映画「ステップ」製作委員会

英語の stepfather、stepmother は、日本語では「義理の父」「義理の母」と訳されることが一般的である。どうもこの訳だと「義理の」という部分が重た過ぎる。つまり、「妻(夫)との関係があるので、妻(夫)の父、母を自分の両親と区別して『義父、義母』と呼ぶ」というような、何となく無機質で血の通わない関係性を強調するイメージがつきまとう。

だが本作で提示される「ステップ」とは、まさに「ステップ・バイ・ステップ(一歩ずつゆっくりと)」に代表されるような意味合いで、肯定的な側面が強調されている。物語の中では、妻に先立たれた健一にとって、妻の両親は「ステップ・ペアレンツ」であり、娘・美紀にとって、健一が新しく結婚することになる奈々恵は「ステップ・マザー」である。しかし、それらは単なる関係性のことではなく、互いに一歩ずつ努力し歩み寄ることで、本当の「父・母」「息子・娘」になれるという可能性を提示しているのである。

そういった視点で前出したガラテヤ人への手紙を見てみよう。天地の創造主なる神を「アバ、父」(つまり「お父ちゃん!パパ!」)と呼べるのは、一般的に実子である。クリスチャンになると、それくらい親しい名称で神を呼べる特権が与えられる、とも解釈できるだろう。しかし、その前の部分では「子としての身分を受ける」となっている。

映画「ステップ」から見る「神の子」としての私たち
©2020 映画「ステップ」製作委員会

私たちもまた、「ステップ」の過程を通して、神を「天の父」とすることができるし、文字通り「神の子」となることができる、ということだろう。

昨今は、家族関係が大いに揺るがされている。夫婦別性、同性婚、里親制度など――。米国では、子どもに親権者を選ぶ権利を与えようという動きすらある。これら一連の流れを否定的に捉えることもできる。その背景には、「血のつながりこそ最良」という前提があるからだろう。しかし見方を変えるなら、「血のつながりがあるから最悪」というケースも散見される。つまり、従来「血縁」が示してきた「アプリオリに愛する」という前提が瓦解しつつある現代において、血縁があろうとなかろうと、やはり私たちは「ステップ」を踏むことによって、その「身分(立場)」にふさわしい存在に変化していくことを期待されているのだ。

そういった意味で、ガラテヤ人への手紙における「アバ、父」という言葉は、私たちと神との関わりを、肯定的な「ステップ」と捉えることで生み出される「真の親子関係」を象徴するものとなるのである。

映画「ステップ」から見る「神の子」としての私たち
©2020 映画「ステップ」製作委員会

私たちは神に対して「天の父」と呼ぶステップを踏むことで、真に「親子関係」のメタファーで神を身近に感じられるようになるのではなかろうか。クリスチャンとしてこの映画を鑑賞するとき、私たちは神の子と「なる」ステップを踏む存在であることを実感することができる。

本作は、人間関係の機微を見事に描いた傑作ともいえるし、またキリスト教的観点から見るなら、私たちと神との関係を、新たな視点から描き出す一助となる作品でもある。すでにほとんどの劇場で上映は終了しているが、デジタルセル配信は今年11月18日から始まり、DVDとブルーレイは来年1月8日に発売が予定されている。ぜひご覧いただきたい。

■ 映画「ステップ」予告編

■ 映画「ステップ」公式サイト

◇

青木保憲

青木保憲

(あおき・やすのり)

1968年愛知県生まれ。愛知教育大学大学院卒業後、小学校教員を経て牧師を志し、アンデレ宣教神学院へ進む。その後、京都大学教育学研究科修了(修士)、同志社大学大学院神学研究科修了(神学博士)。グレース宣教会牧師、同志社大学嘱託講師。東日本大震災の復興を願って来日するナッシュビルのクライストチャーチ・クワイアと交流を深める。映画と教会での説教をこよなく愛する。聖書と「スターウォーズ」が座右の銘。一男二女の父。著書に『アメリカ福音派の歴史』(明石書店、12年)、『読むだけでわかるキリスト教の歴史』(イーグレープ、21年)。

  • ツイート

関連記事

  • 映画「星の子」 「宗教」を信者二世の視点で内側から描いた斬新な一作

  • 中国政府の人権迫害に迫る映画「馬三家からの手紙」 ネット配信スタート

  • 映画「青くて痛くて脆い」に見る現代若者群像

  • 映画「ファヒム パリが見た奇跡」 「才能」のすさまじさと、それを受け止める懐の深さ

  • これぞ求めていた「大人の」キリスト教映画!「WAVES/ウェイブス」に見る「愛のかたち」

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • 「信教の自由を脅かす」 旧統一協会の解散命令巡り特別集会、西岡力氏らが登壇

  • 牧師を辞めた理由は? 元牧師730人を対象に調査 現役牧師や信徒へのアドバイスも

  • 「苦しみ」と「苦しみ」の解決(11)「苦しみ」が始まるまでの経緯(後半)救いの計画 三谷和司

  • 「苦しみ」と「苦しみ」の解決(11)「苦しみ」が始まるまでの経緯(前半)悪魔の起源 三谷和司

  • 進藤龍也氏×山崎純二氏対談イベント「神様との出会いで人生が変わった」 埼玉・川口市で8月30日

  • 米カトリック教会で銃乱射事件 ミサ参加中の付属学校の子どもら2人死亡、17人負傷

  • 米福音派の重鎮、ジェームス・ドブソン氏死去 フォーカス・オン・ザ・ファミリー創設者

  • コヘレトの言葉(伝道者の書)を読む(10)抗黙示思想 臼田宣弘

  • ワールドミッションレポート(8月22日):コンゴのレンドゥ族のために祈ろう

  • 幸せな人生とは 菅野直基

  • 牧師を辞めた理由は? 元牧師730人を対象に調査 現役牧師や信徒へのアドバイスも

  • 「信教の自由を脅かす」 旧統一協会の解散命令巡り特別集会、西岡力氏らが登壇

  • 花嫁(31)神に従う者の道 星野ひかり

  • 米福音派の重鎮、ジェームス・ドブソン氏死去 フォーカス・オン・ザ・ファミリー創設者

  • 進藤龍也氏×山崎純二氏対談イベント「神様との出会いで人生が変わった」 埼玉・川口市で8月30日

  • 「森は海の恋人」の畠山重篤さん、気仙沼市の名誉市民に

  • 日本人に寄り添う福音宣教の扉(229)コロナ禍による信仰生活への影響 広田信也

  • 主キリストの大きな力で癒やされよう 万代栄嗣

  • 幸せな人生とは 菅野直基

  • 篠原元のミニコラム・聖書をもっと!深く!!(241)聖書と考える「大追跡~警視庁SSBC強行犯係~」

  • 牧師を辞めた理由は? 元牧師730人を対象に調査 現役牧師や信徒へのアドバイスも

  • 新約聖書学者の田川建三氏死去、89歳 新約聖書の個人全訳を出版

  • 「信教の自由を脅かす」 旧統一協会の解散命令巡り特別集会、西岡力氏らが登壇

  • キリスト教徒が人口の過半数を占める国・地域、この10年で減少 米ピュー研究所

  • N・T・ライト著『わたしの聖書物語』が大賞 キリスト教書店大賞2025

  • 「20世紀のフランシスコ・ザビエル」 聖心女子大学で岩下壮一神父の特別展

  • 「苦しみ」と「苦しみ」の解決(10)「苦しみ」から「苦しみ」へ 三谷和司

  • 日本キリスト教協議会、戦後80年の平和メッセージ キリスト者の戦争加担にも言及

  • 日本基督教団、戦後80年で「平和を求める祈り」 在日大韓基督教会と平和メッセージも

  • コンゴで教会襲撃、子ども含む43人死亡 徹夜の祈祷会中に

編集部のおすすめ

  • 「罪のない赤ちゃんを殺さないで」 東京でマーチフォーライフ、中絶の問題を訴え

  • 教育改革が「日本のリバイバルにつながっていく」 牧師の金子道仁参院議員が講演

  • いのちの言葉聖書学校、日本語クラス2期生7人が卒業

  • 淀橋教会で新主管牧師就任式・祝賀会 金聖燮牧師が6代目に

  • 四国の全教会の活性化と福音宣教の前進のために 「愛と希望の祭典・四国」プレ大会開催

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 編集部
  • お問い合わせ
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 採用情報
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • X(旧Twitter)
  • Instagram
  • YouTube
  • RSS
Copyright © 2002-2025 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.