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神学書を読む

神学書を読む(64)最も実用的な神学研究の一例がここに!『英米文学者と読む「約束のネバーランド」』

2020年8月29日20時46分 執筆者 : 青木保憲
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神学書を読む(64)最も実用的な神学研究の一例がここに!『英米文学者と読む「約束のネバーランド」』+
©白井カイウ・出水ぽすか / 集英社

「神学」というと、文字通り「(キリスト教の)神に関する学問」となるが、そのレンジは広い。そして、今回取り上げるような書物もまた、大きな視点で見るなら「神学書」と表現することができよう。

本書は、その面白みを知る前提として、「週刊少年ジャンプ」に連載されていた漫画『約束のネバーランド』(約ネバ)を読んでいることが必須である。「約ネバ」とは、2016年から連載が始まり、今年6月に完結した脱獄ファンタジーである。単行本はこれまでに19巻が発刊されており、10月に最終巻となる20巻が発刊となる。本書はその前に出版されているため、物語の結末部には一切触れられていない。まだ「約ネバ」を読んだことがない人は、この機会に本書と併せて読み進めることも可能である。実際に私は、本書に出会い、それから娘の知り合いから漫画を借りて3日で読み切ってしまった。

本書の特徴は、「約ネバ」の登場人物、物語展開、舞台設定などを、著者の戸田慧(けい)氏が専門とする英米文学の視点から再解釈していることである。それはすなわち、一見架空の舞台設定や状況設定、あるいは各キャラクターのネーミングであったとしても、そういった世界観を生み出している現実世界の出来事、エピソードとの連関を図っているのである。そしてこの営みこそ、私が「大きな視点で見るなら神学書」と語る要因にもなっている。

本書の第2章では、特徴的な登場人物を取り上げながら、彼らの思考パターンを紡ぎ出している諸宗教について語られている。また、登場人物のモチーフがどこから来ている(と想像できる)かについて、西洋史的歴史観の根幹にあるキリスト教(さらにその前身であるユダヤ教)にも言及されている。例えば、主人公のエマという女の子がモーセ的役割を担っており、劇中で出来事を大きく左右する「人間を食べない鬼」であるムジカがキリスト的役割である、といった具合に。

もちろん、これは著者も語っているように、「一人の英米文学研究者の視点から読んだ一考察であり、漫画の作者である白井カイウ先生、出水ぽすか先生の意図や意見を代弁するものではなく、また『こう読んだら正解ですよ』という公式解読本でもない」(6ページ)。しかし、だからといって、これが単なる一読者の「妄想」や「こじつけ」でないことは明らかである。

余談だが、私の記事、特に映画評やこの「神学書を読む」シリーズに関して、「単なる青木のこじつけだ」とか「勝手な読み込みだ」という声があることを私も知っている。しかし、この「こじつけ」「勝手な読み込み」こそ、聖書的世界観およびキリスト教の歴史を牽引(けんいん)してきた原動力でもあるのだ。

多くの人は、目の前に展開する出来事(「約ネバ」の場合は物語の筋)がすべてであると思う。それは提供された作品を鑑賞するという意味ではそれでいい。だが作品を「提供する側」に回ってみると分かるのだが、人は「無から有」を生み出すことはできない。生まれてきたアイデアは、クリエイターのさまざまな「既知事項」が寄り合わさってアウトプットされたものとなる。つまり、すべての事柄には背景(バックグラウンド)が存在するのだ。しかし往々にして、本人にはどうしてそんなアイデアが生まれてきたのか、皆目見当がつかないということもある。その暗黙の「既知事項」に光を照らし、既知の背景として積み上げられたシステム、歴史的事実、またそれらに対する人々の対応、うわさや立脚点までも含めた「文化的な要素」を詳(つまび)らかにするのが、アカデミズムの為せる業である。

本書は、「約ネバ」というテキストを用いながら、その背景を描き出している。それは、聖書というテキストを用いながら、そこから現代を生きる私たちに必要なエッセンスを抽出する神学的営みと軌を一にするものである。特に西洋文学と神学との親和性は高い。

このような観点から本書を読むなら、「約ネバ」の解説書としてのみならず、新たな物語をクリエイトする際に、いかに西洋的価値観(聖書的世界観と大いにかぶる)が私たちの思考に対してウエイトを占めているかを指し示すものとなろう。

第3章以降のジェンダー的視点から物語を解説する、という手法など、まさに現代の私たちとの橋渡し的役割を担うことになるだろう。神学もまた、単に「神に関する学問」ではなく、そのようにして考察された神が、「現代の私たちにどう関わるか」を問うという意味で、ジェンダー論とリンクするところは大いにある。

原作の「約ネバ」が、実は「2つに分断された世界」に生きる若者たちが、その両世界に橋を架けることを目論む物語であるように、「神学」における究極の目的は、聖書で描かれている神と、今を生きる私たち、そのまったく異質な2つの世界に橋を架けることに他ならない。戸田氏は本書で、その作業を文学的手法で見事に提示している。

「約ネバ」をご存じの人、また漫画を用いて伝道したり、説教を組み立てたりしたい人に、ぜひ一読をお勧めしたい一冊である。「いろいろな(神学的)刺激を受ける一冊」としても最適である。

■ 戸田慧著『英米文学者と読む「約束のネバーランド」』(集英社 / 集英社新書、2020年8月)

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◇

青木保憲

青木保憲

(あおき・やすのり)

1968年愛知県生まれ。愛知教育大学大学院を卒業後、小学校教員を経て牧師を志し、アンデレ宣教神学院へ進む。その後、京都大学教育学研究科卒(修士)、同志社大学大学院神学研究科卒(神学博士、2011年)。グレース宣教会牧師、同志社大学嘱託講師。東日本大震災の復興を願って来日するナッシュビルのクライストチャーチ・クワイアと交流を深める。映画と教会での説教をこよなく愛する。聖書と「スターウォーズ」が座右の銘。一男二女の父。著書に『アメリカ福音派の歴史』(2012年、明石書店)。

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