Skip to main content
2025年6月15日20時35分更新
クリスチャントゥデイ
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム
  2. 書籍
神学書を読む

神学書を読む(61)僧侶、牧師にして教授の2人による刺激的な対談集 『宗教は現代人を救えるか』

2020年5月8日16時43分 執筆者 : 青木保憲
  • ツイート
印刷
関連タグ:仏教小原克博異宗教間交流
神学書を読む(61)僧侶、牧師にして教授の2人による刺激的な対談集 『宗教は現代人を救えるか』+
佐々木閑、小原克博著『宗教は現代人を救えるか 仏教の視点、キリスト教の思考』(平凡社 / 平凡社新書、2020年4月)

京都の花園大学文学部長・教授にして浄土真宗の僧侶である佐々木閑(しずか)氏と、同じく京都の同志社大学神学部長・教授にして日本基督教団の牧師である小原克博氏。両者のある意味ガチンコ対談集が本書である。序章で佐々木氏が読者を「宗教対話」の世界へ誘い、終章で小原氏がまとめをするという、いわゆるオーソドックスな作りになっている。しかし、その内容たるや従来の対談集とは異なる新たな視点がてんこ盛りである。

小原氏自身の言葉を引用するなら、以下のようになる。

本書には、これまでの対決や対話にはない新しさも多く含まれている。第一に、最先端の学問的恩恵を受けながら、仏教やキリスト教の起源史や歴史的多様性を踏まえた上で、自己理解と他者理解を深めようとしている点である。(中略)本書の新しさの第二は、かつての対話では射程に入らなかったような世界の変化、すなわち、インターネットの影響、地球温暖化に代表される環境問題の深刻化、社会の世俗化に伴う宗教の私事化・教団組織の弱体化などを、仏教とキリスト教、両宗教の共通の課題として扱っている点である。(中略)第三に、(中略)宗教とは何かを一般論・抽象論として問うのでもなく、本書は、仏教とキリスト教を比較する中から、宗教が持つ人類史的な意味、その現象全体を知るための手がかりを提供しようとしている。(207~208ページ)

序章、終章を除けば、6章からなるこの対談集は、仏教、キリスト教が交互に話題となり、それとの対話としてもう一方の宗教が比較されるという構成になっている。仏教のことを知らないキリスト教信者にとっては、「そうだったのか!」という新鮮な驚きがあるし、古色蒼然(そうぜん)とした感のある仏教が、インターネット社会の闇を「ネットカルマ」という言葉で見事に射抜いていることに正直驚いた。佐々木氏の慧眼(けいがん)というべきだろう。

著者の一人である小原氏には同志社大学神学部でお世話になったため、本書を読むことは私にとって半ば「必須課題」であったが、読後感としてはむしろ佐々木氏の論理展開に大きな刺激を受けた。特に序章で「宗教について学ぶ機会を奪われた多くの日本人」(14ページ)というフレーズは、思わず「我が意を得たり」とばかり、文字通り膝を打ってしまった。

さらに第1章の「こころ教」という切り取り方は、「宗教」について学ぶ機会を奪われた日本人がどうしてスピリチュアルなものに傾倒するのか、ということを見事に表現しているように思われた。この発想は、キリスト教神学からは出てこなかったと思われる。佐々木氏が言うように、「諸行無常」と「諸法無我」に代表される「どこにも救済者がいない」という前提に立つからこそ、この原則からの変節である大乗仏教の思想を極限まで敷衍(ふえん)することができたと推察できる。

なぜなら、キリスト教はその原点から宣教という観点で「救済者はここにいる」とイエス・キリストを指し示してきたため、それが暗黙の了解となってしまい、対象を徹底して客体化することは難しくなってしまうからである。

私は、キリスト教内の枠組みでいうなら、保守派、福音主義に立つ信仰者(福音派)ということになる。「こころ教」との関連でいえば、まさに佐々木氏が指摘する在り方で「キリスト教(信仰)」を捉えている者である。私たちが「よきもの」としてある意味「神聖不可侵」としてきた領域に、両者の対談を通していきなり別の方向から光が差し込まれたような感覚に陥ってしまったことを正直に告白しておく。

そういった意味で、福音派、保守的なキリスト者を自認する人にはぜひ本書を手に取ってもらいたい。決して己の信仰に疑いを持てというのではない。むしろ私たちが目指していることが、2人が語る「こころ教」となる危険性をしっかり踏まえ、そうならないように私たちなりに考察を深める必要性を感じ取ってもらいたいのである。

同時に、本書は6章末で大きなチャレンジを福音主義信仰者へ投げ掛けていると思われた。それは、現代における宗教の役割ということで、小原氏が次のように語り、佐々木氏も同意している点である。

宗教はやはりニッチな領域に腰を据えてとどまるのがよさそうですね。(中略)宗教の役割や魅力を再発見しに、どうぞ来てくださいというように、あえて控えめに存在していた方が、かえって本来の使命に立ち返ることができるように思います。(204ページ)

また、小原氏は次のようにも語っている。

1%の人たちは、どんなに理解されずとも、信念を貫いていくしかないですね。(131ページ)

資本主義化された宗教マーケットにおいて、信者の数を増やすとか、献金の額を増やすとか、そちらの方向に向かって一生懸命になる場合が多いと思います。(137ページ)

この辺りの理解は、恐らく実際に福音主義信仰を持っている者からすると違和感を抱かざるを得ないだろう。本書のタイトルになっているように、「宗教は現代人を救えるか」という課題に(本人としては)本気で取り組んでいる、という自負を持つ者なら、「ちょっと待った!」と言いたくなるのではないだろうか。

私は本書を否定するつもりは全くない。むしろ刺激的な読書体験となったし、今教えている学生たちにも紹介して、読むことをお勧めしたい一冊である。

と同時に、私を含め福音主義者は、確かにマーケティング意識を持ち、信者の数を増やし、献金を意識するが、それは単にそれだけではない、ということも伝えるべきであると本書を通して痛感した次第である。そのためには、歴史的な背景を踏まえながら、きちんと伝わるアカデミックな言葉で「福音主義者」としてのアイデンティティーを語ることである。もしそのような機会を頂けるなら、喜んではせ参じたいとも思わされた。

いずれにせよ、本書は今までにない「宗教対談集」となっている。そして現代性を意識する中で、宗教の在り方を鋭く問うという意味で、今後も取り上げられるべき一冊であろう。

■ 佐々木閑、小原克博著『宗教は現代人を救えるか 仏教の視点、キリスト教の思考』(平凡社 / 平凡社新書、2020年4月)

<<前回へ     次回へ>>

◇

青木保憲

青木保憲

(あおき・やすのり)

1968年愛知県生まれ。愛知教育大学大学院卒業後、小学校教員を経て牧師を志し、アンデレ宣教神学院へ進む。その後、京都大学教育学研究科修了(修士)、同志社大学大学院神学研究科修了(神学博士)。グレース宣教会牧師、同志社大学嘱託講師。東日本大震災の復興を願って来日するナッシュビルのクライストチャーチ・クワイアと交流を深める。映画と教会での説教をこよなく愛する。聖書と「スターウォーズ」が座右の銘。一男二女の父。著書に『アメリカ福音派の歴史』(明石書店、12年)、『読むだけでわかるキリスト教の歴史』(イーグレープ、21年)。

関連タグ:仏教小原克博異宗教間交流
  • ツイート

関連記事

  • 神学書を読む(49)『人類の起源、宗教の誕生』 学術的異種格闘技の妙!アカデミック版「アベンジャーズ」がここに!

  • 神学書を読む(24)小原克博著『一神教とは何か―キリスト教、ユダヤ教、イスラームを知るために』

  • 牧師が感じる日本の宗教の「あれ?」 アブシャロム・ヤコブ著『本当の宗教の見分け方』

  • 日本宣教論(111)他宗教に対する敬意 後藤牧人

  • ビル・ゲイツ、世界が偶然できたというのはナンセンス 「神が存在すると信じるのは筋が通っている」

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • コヘレトの言葉(伝道者の書)を読む(5)時の賛歌 臼田宣弘

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

  • ワールドミッションレポート(6月12日):ベルギーのために祈ろう

  • ワールドミッションレポート(6月14日):スイス 信仰で買ったトラクター、ローレン・カニングハムとYWAMに託された農場の奇跡

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • ワールドミッションレポート(6月15日):ベラルーシのために祈ろう

  • 花嫁(27)絶えず喜んでいなさい 星野ひかり

  • 「ハーベスト・ジャパン2025」開催決定! “世界的な癒やしの器” ギエルモ・マルドナード牧師が来日

  • 【ペンテコステメッセージ】約束の成就と聖霊の力―ペンテコステの恵みにあずかる 田頭真一

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • 『天国は、ほんとうにある』のコルトン君、臨死体験から22年後の今

  • 1990年代生まれのプログラマー、カトリック教会の聖人に

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • 大統領選の結果受け韓国の主要キリスト教団体が相次いで声明、和解と相互尊重を訴え

  • ウォルター・ブルッゲマン氏死去、92歳 現代米国を代表する旧約聖書学者

  • 戦時下でも福音は止まらない ウクライナの伝道者が欧州伝道会議で講演

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

  • 「ハーベスト・ジャパン2025」開催決定! “世界的な癒やしの器” ギエルモ・マルドナード牧師が来日

  • 『天国は、ほんとうにある』のコルトン君、臨死体験から22年後の今

  • 1990年代生まれのプログラマー、カトリック教会の聖人に

  • 大統領選の結果受け韓国の主要キリスト教団体が相次いで声明、和解と相互尊重を訴え

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • 【ペンテコステメッセージ】約束の成就と聖霊の力―ペンテコステの恵みにあずかる 田頭真一

  • フランクリン・グラハム氏、ゼレンスキー大統領と面会 和平求め祈り

  • 淀橋教会、峯野龍弘主管牧師が引退し元老牧師に 新主管牧師は金聖燮副牧師

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • ウォルター・ブルッゲマン氏死去、92歳 現代米国を代表する旧約聖書学者

編集部のおすすめ

  • 四国の全教会の活性化と福音宣教の前進のために 「愛と希望の祭典・四国」プレ大会開催

  • イースターは「揺るぎない希望」 第62回首都圏イースターのつどい

  • 2026年に東京のスタジアムで伝道集会開催へ 「過去に見たことのないリバイバルを」

  • 「山田火砂子監督、さようなら」 教会でお別れの会、親交あった俳優らが思い出語る

  • 日本は性的人身取引が「野放し」 支援団体代表者らが院内集会で報告、法規制強化を要請

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 編集部
  • お問い合わせ
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 採用情報
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • X(旧Twitter)
  • Instagram
  • YouTube
  • RSS
Copyright © 2002-2025 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.