世界宣教祈祷課題(7月1日):米国

2020年7月1日11時01分 執筆者 : 奥山実 印刷
+米福音派神学者らが共同声明 人種差別は「聖書に反する」 150人以上が署名
黒人男性のジョージ・フロイドさんが、白人警官に首を膝で押さえ付けられて亡くなった事件現場=5月30日、米ミネソタ州ミネアポリス(写真:Fibonacci Blue)

コロナウイルスの被害が世界で最も拡大している米国だが、またしても人種問題が発生し、大きく揺れている。

去る5月25日、ミネソタ州ミネアポリス市在住のアフリカ系米国人男性のジョージ・フロイド氏が、地元市警察によって逮捕拘束される際、白人警官による過剰な暴行を受けたとして死亡した事件に端を発し、人種問題が噴出した。

抗議デモは、ミネアポリスはもとより、シカゴ、ロサンゼルス、ニューヨーク、ワシントンなど全米の大都市に飛び火し暴動となって加熱した。

鎮圧に当たった警官隊による催涙ガスやゴム弾の使用は、一時、緊張を走らせた。特に首都ワシントンでのデモは、ホワイトハウスに近い場所で火の手が上がるなどし、トランプ大統領も地下室への退避を余儀なくされる場面もあった。

暴力的な抗議活動が収まると、ウイルス感染を防ぐためのソーシャルディスタンス(社会的距離)を保ちつつも、人種差別や偏見に対する平和的な抗議デモが、米国のみならず世界中に広がった。

今回の抗議活動はこの50年で最大規模のものになったといわれている。その理由は、コロナウイルスのための自粛で、鬱積(うっせき)していた民衆のストレスが爆発したとの見方もあるが、決定的な要因は、一般市民によって撮影された8分以上の衝撃的な逮捕動画が、事件後瞬く間に拡散されたからだ。

手錠で拘束された無抵抗のフロイド氏の首に、警官の膝が押し付けられ、フロイド氏は「I can’t Breathe(息ができない)」と幾度も訴えるが、その声は何分にもわたって無視され続け、ついには力なく救急車で搬送されたのだ。映像はネットを通じて瞬く間に広がり、多くの人にショックを与えた。

事件の翌日、迅速な処置が取られ、関わった4人の警官が解雇された。そして当事者の警官は、第2級殺人罪で起訴され、他の3人は殺人幇助の罪に問われている。

歴史的に差別や偏見と戦ってきたキリスト教界でも、各方面から人種差別に反対する声明が上がった。

ところが、今回の事件を冷静に俯瞰(ふかん)したとき、この悲劇が必ずしも人種問題に起因して引き起こされたのかと問われれば、今案件に限って言うなら、いささか疑問が残る。

確かに「横暴な白人警官によって首を押さえ付けられ死亡した、無抵抗の憐れな黒人被害者」であるのには間違いないのだが、「黒人を虐げる白人」というフレームばかりが強調され、意図的に人種問題化されている印象は拭えない。

少しフレームを引いて状況を精査するなら、そこには違う風景が見えてくる。

事件の当日、食料品店でフロイド氏が偽札を使用したとの通報を受け警官隊が駆けつけたのだが、駆けつけた警官は皆が白人だったわけではなく、非白人警官もいたのだ。

また、フロイド氏と直接的にボディコンタクトがあり、2級殺人容疑で起訴された当事者の警官だが、彼の配偶者はラオス難民の出自の非白人米国人だ。フロイド氏の首を膝で押さえ付けたのはこの警官なのだが、彼に人種偏見があったとは到底思えない。そうでなければ、ラオス人の女性と結婚することはなかっただろう。

凶悪な犯罪者に対面して逮捕取り締まらなければならない現場警察官の荒っぽい流儀があったことは否定できないが、この事件を人種問題で捉えるのは的外れに思える。仮に白人の犯罪者であったとしても彼ら警官は、人種に関係なく少々手荒なやり方を普段からしていたのだろう。もちろんそれがいいとは決して思わないが、事の真相は、「息ができない」と懇願するフロイド氏の言葉は虚言だと誤って判断して、当事者の警官は手を緩めなかったのだろう。彼の判断ミスが、全米はもとより全世界を巻き込む大きな大きな問題に発展するとは、夢にも思わなかっただろう。

主は、羊飼いの少年ダビデを召すとき、このように言われた。

「人はうわべを見るが、主は心を見る」(1サムエル16:7)

つまり、罪あるこの世では「人はうわべを見る」ものだ。なにも、人種だけの差別に限らず、世はあらゆる差別や偏見で満ちている。外見の容姿や学歴、出自など、個々の人間に違いがある限り、ねたみやさげすみ、偏見や差別などを、まったく根絶することなど不可能だろう。これは人間の罪性に由来するからだ。

それでは、その罪性に真に打ち勝つものは一体何であるか。システムの変更や声高なスローガンなどの外側の変革によって、まったくそれらを駆逐することができるだろうか。否、人間の罪とはそれほど生やさしいものではない。しかし、人にはできないことも神にはできる。

100パーセント神の計画によって人類にもたらされた御子イエスの福音こそは、人を新生させ、内側から変革させる力なのだ。そしてこの福音のもたらす副次的産物は、社会のあらゆる問題の解決にも寄与する。福音伝道の使命と意義は甚だ大きいのだ。

聖書はやがて完成する未来を「神ご自身が彼らとともにおられて、彼らの目の涙をすっかりぬぐい取ってくださる。もはや死もなく、悲しみ、叫び、苦しみもない。なぜなら、以前のものが、もはや過ぎ去ったからである」(黙示録21:3、4)と描く。

いつの日か、あらゆる差別、偏見、不正と悪とは、過去のものとして完全に終わる。私たちは、この将来の希望を告白しつつ、すべての問題に最終解決をもたらす福音を宣べ伝えよう。私たちにはできなくても「神にはできる」のだ。

米国のみならず、福音宣教が世界大で進むよう祈ろう。

■ 米国の宗教人口
プロテスタント35・3%
カトリック21・2%
正教会1・7%
ユダヤ教1・7%
イスラム1・6%
無神論者16・5%
仏教0・7%

※ この記事は、世界宣教センター所長の奥山実牧師のフェイスブックに掲載された「世界宣教祈祷課題」を、若干の編集を加えた上で転載したものです。

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