第16回涙骨賞、論文部門奨励賞に大川大地氏の「キリストを着る」

2020年5月5日14時20分 印刷
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中外日報社が主催する「第16回涙骨賞」の論文部門奨励賞に、大川大地氏(30)=立教大学大学院キリスト教学研究科博士後期課程=の「キリストを着る―原始キリスト教の洗礼における衣服・ジェンダー・権力」が選出された。同社発行の中外日報(4月24日付)が伝えた。

選考委員の一人である末木文美士(ふみひこ)氏(国際日本文化研究センター名誉教授)の選評によると、大川氏が論文で扱ったのは、新約聖書のガラテヤの信徒への手紙3章27~28節。そこには、洗礼を受けてキリストに結ばれた人(キリスト教徒)は、「ユダヤ人・ギリシャ人」「奴隷・自由人」「男・女」という二分法を超え、「キリストを着る」とある。これが「キリスト教徒・異教徒」の新しい二分法になるのではないかという批判に対し、論文では「権力規範に対して『闘う衣服』を着る」という視点で解釈しているという。

「海外の研究を渉猟して、聖書の一節に衣服・ジェンダー・権力という今日的な問題意識から挑んだ意欲」が評価された。大川氏は同紙に、関係者と受賞の喜びを分かち合いたいと述べた上で、「新型肺炎が猛威を振るう中での受賞となりました。この事態が分断ではなく共存のための契機となるように願います」とコメントした。

論文部門の本賞は、髙橋秀慧(しゅけい)氏(35)=大正大学大学院文学研究科宗教学専攻後期博士課程=が「近代日本における『明治維新』と仏教―『勤王僧』月性の贈位をめぐって」で受賞。実践部門では、廃寺寸前の過疎地寺院で、コーラスや寸劇などの上演により集落活性化に貢献している浄土真宗本願寺派光照寺(福井市)住職の上田慧恭(えぎょう)氏(78)が奨励賞を受賞した。

涙骨賞は、広く精神文化を主題とした優れた論文や評論を顕彰するため、中外日報社が創刊者・真渓涙骨(またに・るいこつ、1869~1956)にちなみ、2004年に創設。創刊120周年の17年(第13回)からは「実践部門」も設置し、信仰・宗教精神に基づいて地道に活動し、社会貢献している人々を広く紹介し、顕彰している。

キリスト教関係ではこれまでに、青山学院大学准教授の森島豊氏が「日本におけるキリスト教人権思想の影響と課題」で最優秀賞(第11回)を受賞している(関連記事:日本の憲法・人権思想にキリスト教の影響 森島豊・青学准教授「今、キリスト教教育と教会の役割大きい」)。昨年は、太平洋戦争の激戦地となった硫黄島、レイテ島、グアム島、サイパン島の4島で、いずれも戦死者慰霊のために建立された現代の「マリア観音」について考察した君島彩子氏(大正大大学院文学研究科比較文化専攻修士課程)が、論文部門本賞を受賞した。

今年は新型コロナウイルスの感染拡大防止のため表彰式は行われないが、論文部門の受賞作は、中外日報のホームページで全文が公開される予定。

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