東日本大震災から9年、3宗教合同で追悼・復興祈願祭 今年10回目

2020年3月11日21時30分 印刷
+東日本大震災から9年、3宗教が合同追悼・復興祈願祭 今年10回目
鶴岡八幡宮の舞殿でキリスト教の祈りをささげるキリスト教の聖職者・教職者ら=11日、鶴岡八幡宮(神奈川県鎌倉市)で

鎌倉宗教者会議が主催する神道、仏教、キリスト教の3宗教合同による「東日本大震災追悼・復興祈願祭」が、震災から満9年となった11日、神奈川県鎌倉市の鶴岡八幡宮で行われた。地震発生の翌月に第1回を開催して以降、3宗教が持ち回りで会場を提供し合い、毎年3月11日に開催してきた。今年は10回目となる節目で、新型コロナウイルスの影響により全国的に記念行事が中止される中、キリスト教関係者約20人も含め、宗教者70人以上が集まり祈りをささげた。

祈願祭は午後2時半過ぎ、3宗教の代表者が雅楽と共に列を成して歩き、鶴岡八幡宮の舞殿(下拝殿)に昇殿して始まった。地震が発生した午後2時46分には、参加全員で1分間の黙祷。神道と仏教の祈りの後、カトリック雪ノ下教会の古川勉(つとむ)主任司祭が進行役を務める形で、カトリック、聖公会、プロテスタントのキリスト教3教派の聖職者・教職者による祈りがささげられた。

「全能の神よ、今日ここに宗教を超えて心を一つにして祈りをささげる私たちの願いを聞き入れてください」。古川司祭は「始めの祈り」でこう述べ、震災の犠牲者を追悼するとともに、今なお続く被災者の苦悩や悲しみに思いを寄せつつ、被災地の復興を願った。

その後、カトリック雪ノ下教会の崔源太(チェ・ウォンテ)助任司祭が、旧約聖書からエレミヤ書31章31~33節を朗読。「わたしの律法を彼らの胸の中に授け、彼らの心にそれを記す。わたしは彼らの神となり、彼らはわたしの民となる」と神が約束する新しい契約についての預言を読み上げた。

東日本大震災から9年、3宗教が合同追悼・復興祈願祭 今年10回目
祈願祭の始めに神道や仏教の宗教者と共に列を成し、鶴岡八幡宮の舞殿に向かうキリスト教の聖職者・教職者ら

参加者全員で賛美歌「いつくしみふかき」を歌った後には、カトリック大船教会のマルコ・ターディフ主任司祭が、新約聖書からヨハネによる福音書14章27~28節を朗読。この箇所には、十字架を前にしたイエス・キリストが、「わたしは、平和をあなたがたに残し、わたしの平和を与える。わたしはこれを、世が与えるように与えるのではない。心を騒がせるな。おびえるな」と、弟子たちに告げる言葉が記されている。

震災9年を迎えての祈りでは、日本基督教団大船教会の松下道成牧師が、神に「なぜ」と問いたくなるような状況が今もあることに言及。新型コロナウイルスの影響で多くの記念行事が中止されたことにも触れ、「祈ることさえ断ち切られるのでしょうか」と思いを吐露した。しかしそれでも、「この不自由さ、苦しみ、絶望感、痛みこそが、あなたの独り子イエス・キリストと共に歩み出す一歩なのだと思い出させられます」と続け、「だからこそ、今ここに集い祈ります。主イエス・キリストの痛みに生かされる、われわれでありますように。主イエス・キリストの命を通して与えられる真の平和にこそ心開かれ、生かされますように」と祈った。

東日本大震災から9年、3宗教が合同追悼・復興祈願祭 今年10回目
震災9年を迎えての祈りをささげる松下牧師

東日本大震災では、1万5899人が命を落とした。今も2529人が行方不明で、体調悪化や自殺などの震災関連死で亡くなった人は3739人に上る。避難者は、震災から9年たった現在も全国で4万8633人おり、岩手、宮城、福島の3県では、709人が今なおプレハブの仮設住宅に住み続けている。さらに、震災による失業や転職、収入の減少、風評被害、高齢化、原発事故に伴う甲状腺がんの心配もある。

松下牧師はこうした被災地の現実に触れつつ、「この悲嘆はあまりにも深く、求められるのはより多く流される涙だけ」と言う。しかし「神の人に対する約束はそれ以上に深く切ない」と言い、「なぜなら、主なる神は『わたしの目は夜も昼も涙を流し、とどまることがない』(エレミヤ14:17)と言ってくださる方だからです。『悲しい』という簡単な言葉では言い表せない、神の切実な真の深い憐(あわ)れみ、共感してくださる存在がそこにはあります」と続けた。

その上で、生きる意味を失ったり、今も寂しい思いにさえなまれたりする被災者たちが、寄り添ってくれる人々の思いに支えられ、これまで生きてこられたことに言及。最後には「私が落胆に沈み、やってきたことすべてが虚しかったと思えるとき、聖霊が私に臨み、魂を生き返らせてくださる」と歌う、黒人霊歌「ギレアドに乳香あり」の歌詞を引用し、祈りを閉じた。

東日本大震災から9年、3宗教が合同追悼・復興祈願祭 今年10回目
祈りをささげるカトリックのシスターたち

その後、カトリック雪ノ下教会のヌカポグ・スダーカル助任司祭による導きの下、参加者全員で「主の祈り」を唱え、日本聖公会鎌倉聖ミカエル教会の北澤洋(ひろし)司祭が「結びの祈り」として、次の祈りをささげた。

「どうか被災地にある人、避難生活を強いられている人々を支えてください。福島第1原子力発電所事故により、故郷を離れて生活する人、危険な作業に従事する人々とその家族をお守りください。私たちもまた、これらの苦難を常に覚えることができますように。被災者支援の働きを強めてください。私たちもまた、思いと力を合わせ、被災された人々と共に歩み続けることができるように導いてください。東日本大震災によるすべての犠牲者を、あなたの御腕の中に抱き、永遠の安らぎを与えてくださいますように」

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