“復活”なんて、なくていい。この世の人生が楽しければそれを楽しめばよい。つらければ早く消え去ればいい。後世を考えて縛られたくない。
これはある種、動物的な人生観ですね。人生を、社会を、世界を見つめない。考えずに、ただ流されるままに生きる、と。しかしそうはいっても、やはりどこかで考えていますね。人間は動物や植物と違って考える存在ですから、考えずにはいられないんです。「人間は考える葦である」とあの有名な書にもあるように。
しかし考え出すと、なかなか複雑怪奇で考え切れないのもまた事実です。藤村操という明治期の一高生が「人生は不可解だ」との遺書を残して、華厳の滝から投身自殺をしたことで有名ですが、前述の通り、万人にとって人生は不平等に満ち、不条理が多く、あまり満足をもたらさないものです。しかも、運不運といった不合理なものにかなり支配されています。この世の人生だけで見たのでは分からないものだらけ、不可解そのものです。
ところが、復活、死後の生を考えると、そうした不可解が理解できるようになるのです。その間の事情をアウグスティヌスは《秩序》という文の中で示しています。「この世の人生は刺しゅうの裏側を見ているようなものだ。糸が無秩序に筋交うばかりで何のことか分からない。しかし、復活の朝には、それを表から見る。すると、きれいな模様か絵かが描かれているのが分かる。だから今は、見ることができない表側に意味のあるものが描かれつつあることを信じて歩むことにしよう」と。
復活がないと、人生の真意義を見る機会はなく、人生は不可解のまま終わるのです。しかし、復活の暁には得心がいき、大満足することができるのです。流れ去り、消え去るために生きるのではもったいないですね。どうにかして、復活に達しましょう。
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正木弥(まさき・や)
1943年生まれ。香川県高松市出身。京都大学卒。17歳で信仰、40歳で召命を受け、48歳で公務員を辞め、単立恵みの森キリスト教会牧師となる。現在、アイオーンキリスト教会を開拓中。著書に『ザグロスの高原を行く』『創造論と進化論 〜覚え書〜 古い地球説から』『仏教に魂を託せるか』『ものみの塔の新世界訳聖書は改ざん聖書』(ビブリア書房)など。
【正木弥著書】
『仏教に魂を託せるか 〜その全体像から見た問題点〜 改訂版』
『ものみの塔の新世界訳聖書は改ざん聖書
』
『ザグロスの高原を行く イザヤによるクル王の遺産
』(イーグレープ
)
『創造論と進化論 〜 覚え書 〜 古い地球説から
』
『なにゆえキリストの道なのか
』
【正木弥動画】
おとなのための創作紙芝居『アリエルさんから見せられたこと』特設ページ
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