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世界自転車旅行記

世界自転車旅行記(18)エリトリア 木下滋雄

2016年2月14日19時10分 コラムニスト : 木下滋雄
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関連タグ:木下滋雄

ほとんどいつも単独での自転車旅行だが、1度だけグループで走ったことがある。1人でアフリカを走った自転車クラブの仲間の女性が駐日エリトリア大使と親しくなったことから、その旅は企画されることとなった。自転車による国際交流はクラブの目的であるため、代表が会として大使に働き掛けたこともあり、彼の国では国を挙げての歓迎の準備がなされ、観光省、旅行省といった十数の団体が全面的に支援してくれることとなった。

あまりなじみのないエリトリアという国は、アフリカの紅海に面した面積は日本の3分の1、人口440万ほどのアフリカの最貧国といわれる。紅海に面する要衝ということで、スエズ運河開通以来大国に翻弄(ほんろう)されてきた。イタリアの植民地であったが第2次世界大戦でイギリスの保護領となり、その後エチオピアと連邦制をとるが、エチオピアに併合されると独立運動が高まり1993年に独立する。駐日大使は独立戦争の英雄として母国では有名人とのこと。政治体制は軍政による事実上の一党独裁であり、憲法が制定されたものの未施行のままだ。独立後もエチオピアと国境紛争が起こり、国連の平和維持軍が駐留していたが、この旅行の翌年撤退してしまった。しかし、自転車競技は市民に人気がある。

そういう状態なので治安は全体的に悪く、移動は制限され単独での旅行はまずできない。グループでよいと思ったのはそういう理由にもよる。訪れるのは標高2400メートルの高地にある首都のアスマラから海岸の町マッサワとその郊外だ。

2007年11月19日午前0時すぎに、首都のアスマラ国際空港へ到着。高地だけあって寒い。空港の小ささ、観光省や記者らの出迎えに驚く。朝には記者会見。会見場では政府の要人が並び、テレビ取材とご馳走が待っていた。

この地はコーヒーの発祥地であり、客人をもてなすのにコーヒーセレモニーというのがある。コーヒー豆をいるところから始めて1時間ほどかけて給仕される。日本の茶道に通じるものがあるかもしれない。このコーヒーは大変おいしかった。

世界自転車旅行記(18)エリトリア 木下滋雄
エリトリアのサイクリスト 自転車競技はオリンピックに出場するほどレベルが高い
世界自転車旅行記(18)エリトリア 木下滋雄
記者会見場で政府の要人の方々とあいさつ
世界自転車旅行記(18)エリトリア 木下滋雄
世界自転車旅行記(18)エリトリア 木下滋雄
記者会見場でのコーヒーセレモニー

その後、アスマラの町の中を歩いてみたが、アフリカの国とは思えないのんびりして奇麗な町並みだ。イタリアの植民地であったため今でもイタリア人が多く、本物のイタ飯が食べられるのも他の途上国にはないことだろう。アフリカ最貧国といわれたが、ここにはその貧しさは見えない。

町では幾つか教会が見られたが、その一つにコプト教会があった。コプト教会の人たちがISに処刑された映像は記憶に新しい。アフリカの紅海沿岸部はイスラム教徒の多いところであるが、エリトリアの高原地帯にはキリスト教徒が多い。プロテスタントやカトリックの教会もあるが、多くはコプト教会、またはエリトリア正教会と呼ばれる教派である。コプト教会は、歴史的には教会が東方教会と西方教会に分かれる以前にすでに分かれていた東方諸教会の一派で、エジプトやエチオピアに信徒が多い。福音書のエジプト逃避や使徒言行録のエチオピアの宦官の話のように、この地域は昔からキリスト教との関係が深いようだ。その夜は自分たちの出たテレビニュースをホテルで見る。

世界自転車旅行記(18)エリトリア 木下滋雄
アスマラのコプト教会
世界自転車旅行記(18)エリトリア 木下滋雄
礼拝堂入り口で祈る人
世界自転車旅行記(18)エリトリア 木下滋雄
コプト教会の前の通り

翌朝、海岸の町マッサワに向けてスタート。抜けるような青空の町を白バイの先導でこの国の女性3人を含むレーサー十数人と共に走行。最後部には救急車もついて来ている。外国人はアスマラから出るには許可証が必要だが、検問は素通り。上りでは日本人の背中をエリトリア人が押してくれたが、何人かサポートバスのお世話に。50キロほどで「高原の縁」に着いた。ここから2500メートルのダウンヒル! と思ったら、危ないから日本人はバスに乗るようにとのお達し。納得いかないと粘って僕一人だけは下る。爽快だ。ヘアピンカーブが連なるが勾配はゆるく、危険は感じられない。カーブには日本で見慣れたカーブミラーが設置されている。ピースボートの方が設置したそうだ。

途中で昼食休憩。この国の主食「インジェラ」を食べる。その後マッサワまでは予定変更でバスでの移動となった。待ち合わせの時間はいい加減だし、予定変更もここではいつものこと。町の手前でバスを下り、全員で走り出す。そこには日本が造った橋が架かっていた。町に入ると、町中の人が道路沿いに並んで出迎え、僕らもハイタッチで答えた。

マッサワからは50キロ先の砂漠の町へ。アスマラとはうって変わって、11月とはいえ低地の砂漠はかなりの暑さだ。日ごろデスクワークばかりで鍛えていない人間にはかなりきつい。おまけにハエがすごい。皮膚の傷に水分を求めてたかって来て、そこからばい菌が入ってひどい目に遭ってしまった。

アスマラでは貧しさを感じられなかったと書いたが、町を離れると違うのだというのはただ見るだけでも容易に分かる。この国の産業は第1次が主なものだが、国土の大半が砂漠や荒れ地なのだ。そしてここでも住人からは大歓迎だった。特に家もない砂漠の真ん中で、大勢の人が並んで待っていたのは驚いた。目的地の村には、さらに大勢の人たちが並んで待っていてくれた。

その後は紅海の海岸で泳いで過ごしたり、紅海に浮かぶ島へ連れて行ってもらったり。その島にはリゾートを造るのだとして建設中の建物があったが、現在そこは日本の外務省は不要不急の渡航は禁止している地域となっている。多くの旅行者がいるとは思えない。

昼から大学の見学。できたばかりの国だから特に教育に力を入れている。アスマラでも中学校を見学したが、国を支えていく人材を多く育てたいという意気込みが見て取れた。その後、ラクダに乗るツアーに連れて行ってもらったり、夜は地元の有力者と共に晩餐があったり。

世界自転車旅行記(18)エリトリア 木下滋雄
アスマラの中学校
世界自転車旅行記(18)エリトリア 木下滋雄
昼食に頂いた主食の「インジャラ」
世界自転車旅行記(18)エリトリア 木下滋雄
紅海から昇る朝日を背にマッサワの子どもたち
世界自転車旅行記(18)エリトリア 木下滋雄
砂漠の真ん中で突然の歓迎
世界自転車旅行記(18)エリトリア 木下滋雄
マッサワの南の村で
世界自転車旅行記(18)エリトリア 木下滋雄
マッサワでの夜の歓迎会
世界自転車旅行記(18)エリトリア 木下滋雄
マッサワの夜の通り
世界自転車旅行記(18)エリトリア 木下滋雄
紅海の島で泳ぐ
世界自転車旅行記(18)エリトリア 木下滋雄
マッサワの大学で

アスマラへの戻りは、駅まで走ってSLに乗っていく。SLと鉄道は植民地時代にイタリアが作ったが、戦争で破壊された。だから、国の復興の証しなのだそうだ。しかし、途中脱線したり、「歯磨きの木」(葉をかむと歯を磨く効果があるのだという)の採集のため停止したりと、のんびり2500メートルの峠へ。頂上近くははるか下の谷底を見る豪快な風景だ。

世界自転車旅行記(18)エリトリア 木下滋雄
アラブ人の女性
世界自転車旅行記(18)エリトリア 木下滋雄
町で見かけたラクダの隊商
世界自転車旅行記(18)エリトリア 木下滋雄
世界自転車旅行記(18)エリトリア 木下滋雄
SLの運転台
世界自転車旅行記(18)エリトリア 木下滋雄
「歯磨きの木」をかむ運転手

最終日は市民レースがあり、スタートだけ参加の予定が、朝集まるともう始まってしまったとのこと。最後も予定通りには行かなかった。訪れてみて、国を造るのだという特に若い人たちの表情に希望が見えた。

それから8年が経ったが、状況が良くなったという感じはしない。エチオピアとの独立戦争に使われた兵器の「墓場」に連れて行ってももらったが、紛争はまだ続いていて、アスマラ以外について日本の外務省は渡航禁止か中止勧告を出している。

最終日の夜、ホテルでの豪華なパーティーで、この旅は締めくくられた。この国は最初から最後まで国賓のようにもてなしてくれた。僕らは果たして彼らにとってそれだけの価値があったのだろうか。

世界自転車旅行記(18)エリトリア 木下滋雄
エチオピアとの独立戦争の兵士の墓
世界自転車旅行記(18)エリトリア 木下滋雄
独立戦争の兵器の残骸

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◇

木下滋雄

木下滋雄

(きのした・しげお)

1964年横浜生まれ。フォト・サイクリスト。高校時代に自転車旅行と写真を開始し、30歳で五大陸走破を達成。これまでに60カ国延べ6万3千キロを走破している。現在はパラグライダーも楽しむ。ぺトラ建築設計一級建築士事務所主宰。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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