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日本人に寄り添う福音宣教の扉

日本人に寄り添う福音宣教の扉(233)宣教は主の備えから始まる 広田信也

2025年10月18日17時15分 コラムニスト : 広田信也
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関連タグ:広田信也

イエス・キリストの公生涯は3年ほどの短い期間ですが、4つの福音書に記される彼の福音宣教の歩みは、型にはまらないダイナミックな出来事に満ちています。特に、彼の語りかける言葉は、時代背景や相手の状況をくんだ、的確な導きを与えてくれます。

ニコデモに寄り添う

さて、パリサイ人の一人で、ニコデモという名の人がいた。ユダヤ人の議員であった。この人が、夜、イエスのもとに来て言った。(ヨハネの福音書3章1、2節)

ヨハネの福音書に記されるニコデモはラビ(ユダヤ教の教師)であり、ユダヤ最高法院の議員でした。やがてイエスは、この最高法院で裁かれ、ローマによって十字架にかけられるのですが、議員の中には、イエスに共感し、真の信仰に導かれる者もいました。詳細は不明ですが、やがてニコデモもそのような一人になったといわれています。

そのニコデモが、人目を忍んでイエスを訪ねてきたのです。彼の目的は、イエスへの敬意を表すことと、「永遠のいのち」に至る手段を得ることでした。旧約聖書を知り尽くしたニコデモが、イエスを救い主(メシア)と信じ、受け入れようと訪ねてきたのです。

イエスの言動に感銘を受け、心に飢え渇きを抱いていたニコデモは、求道者として整えられていたように感じます。イエスに面会を求めた動機からも、福音を素直に受け入れる備えが十分にあると考えても不思議はありません。

新しく生まれなければならない

まことに、まことに、あなたに言います。人は、新しく生まれなければ、神の国を見ることはできません。(ヨハネの福音書3章3節)

ところが、イエスはニコデモに福音を語るのではなく、開口一番「新しく生まれる」ことの必要を伝えたのです。まことに、まことに・・・とは、重要な教えを伝えるときに使われる言葉です。

前回もお伝えしましたが、信仰者が新しく生まれる経験、すなわち「新生」や「born again」は、福音を信じた結果として与えられるものです。信仰を得ようとする者に、あらかじめ救いの条件として求めることではありません。

神の国を求めるニコデモの歩みを留め、まるで信仰以外に救いの条件があるかのようなイエスの言葉は、私たちの普段の宣教現場では、生まれにくいように思います

しかし、「新しく生まれる」ことを心に留めることこそ、実はニコデモが真の信仰に導かれ、神の国を見る(永遠のいのちを得る)ための極めて大切な備えだったのでしょう。ニコデモの内面を知り尽くしたイエスならではの宣教の言葉でした。

口伝律法の弊害

ニコデモの所属していたパリサイ派は、モーセの律法を厳格に守ることを主張し、聖書を熱心に研究し、律法の遵守を民衆に強く求めるユダヤ教のグループでした。

彼らはモーセの律法に熱心なあまり、律法を守るために、新たに口伝律法を付け加え、民衆に強要していました。口伝律法は神様から頂く恵み(モーセの律法)だけでは不十分と考える人間の不信仰が背後にあり、やがて人々の心を拘束し、真の信仰を失う要因になっていきました。

本来、彼らの最も大切な役割は、旧約聖書に基づき、イエスが救い主(メシア)であることを民衆に紹介することでしたが、口伝律法は、イエスご自身を、救い主(メシア)ではないと結論づける要因まで招いてしまいました。結果的に、彼らはイエスを殺害しようと企てたのです。

詳細は不明ですが、イエスを訪ねたニコデモも口伝律法の影響下にあったはずですから、神の国(永遠のいのち)の恵みを得る手段として、信仰以外の秘策(人の知恵や努力)を求めていたかもしれません。

御霊によって生まれなければならない

まことに、まことに、あなたに言います。人は、水と御霊によって生まれなければ、神の国に入ることはできません。(ヨハネの福音書3章5節)

イエスがニコデモに伝えた秘策は、ニコデモには決して実現できないことでした。それは、彼が神様の恵みによって母の胎(羊水)から生まれたように、もう一度御霊によって生まれることでした。彼はその意味さえ分からず、まして実現できないことは明らかでした。

ニコデモは自ら実現できない秘策を告げられましたが、後にイエスの十字架と復活の事実に向き合うときの心の備えが与えられたのでしょう。

その時、神様から神の国を見る(永遠のいのちを得る)恵みを頂き、同時に「新生」「born again」を体験することを、その場に吹く風やニコデモのよく知っている旧約聖書の内容(モーセが作った青銅の蛇)から説明してくださったのです。

イエスは福音を直接語るのではなく、ニコデモが律法の遵守ではなく福音を素直に受け入れるための、心の備えをしてくださったのです。ニコデモにとっては最も必要な備えだったのでしょう。

主の備えを期待して宣教を進めよう

私たちは、相手の状況や背景を理解できず、自らの判断で正しいことをすぐに語りたくなるものです。福音を求める人がいれば、祈りを積むことなく、すぐに聖書をひもとくこともよくあることです。

しかし、人が福音を受け入れるためには、多くの備えが必要です。神様の備えが与えられるまで、かなりの時間を要することもあります。

宣教は人の努力ではなく、神様(聖霊)の働きによって進みます。神様ご自身が光を放ち、必要な備えを与えてくださるはずです。私たちはそのことを信じ、期待して待ち望み、主の輝きを常に携える者でありたいと願います。

あなたがたの光を人々の前で輝かせなさい。(マタイの福音書5章16節)

神様の備えが行き渡り、日本社会に福音が満ちあふれますように・・・日本宣教が拡大しますように・・・祈り続けたいと思います。

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◇

広田信也

広田信也

(ひろた・しんや)

1956年兵庫県生まれ。80年名古屋大学工学部応用物理学科卒業、トヨタ自動車(株)入社。新エンジン先行技術開発に従事。2011年定年退職し、関西聖書学院入学、14年同卒業。16年国内宣教師として按手。1985年新生から現在まで教会学校教師を務める。88~98年、無認可保育所園長。2014年、日本社会に寄り添う働きを創出するため、ブレス・ユア・ホーム(株)設立。21年、一般社団法人善き隣人バンク設立。富士クリスチャンセンター鷹岡チャペル教会員、六甲アイランド福音ルーテル教会こどもチャペル教師、須磨自由キリスト教会協力牧師。関連聖書学校:関西聖書学院、ハーベスト聖書塾、JTJ宣教神学校、神戸ルーテル神学校

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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