米ユタ州の大学で講演中に射殺されたキリスト教保守派の論客、チャーリー・カーク氏の追悼式が21日、アリゾナ州で行われた。妻のエリカ氏はこの中で、7万人を超える聴衆に向けて演説を行い、夫を殺害したタイラー・ロビンソン氏を赦(ゆる)すと語った。
5時間以上に及んだ追悼式は、同州グレンデールのステートファーム・スタジアムで行われ、世界中の何百万人もの人々がライブ配信を通してその様子を見守った。
追悼式では、ドナルド・トランプ米大統領や同政権の閣僚、チャーリー氏が創立した保守派青年団体「ターニング・ポイントUSA」(TPUSA)やその姉妹団体「TPUSAフェイス」の関係者、チャーリー氏のメンター的存在であったゴッドスピーク・カルバリー・チャペルのロブ・マコイ牧師、保守派メディアの有力者らが、チャーリー氏の生涯をたたえる演説を行い、著名なキリスト教アーティストらによる演奏が行われた。
チャーリー氏の後を継ぎ、ターニング・ポイントUSAの代表になったエリカ氏は、演説で涙ながらに次のように語った。
「十字架上で、私たちの救い主は『父よ、彼らをお赦しください。自分が何をしているのか分からないのです』とおっしゃいました。私は、あの青年(ロビンソン氏)を赦します」
「キリストはそうしたし、夫もそうするでしょう。だから、私は彼を赦します。憎しみ対する答えは、憎しみではありません。福音の教えは愛です。常に愛です。敵への愛、迫害する者への愛なのです」
エリカ氏はまた、夫の信仰と自身の信仰について振り返り、2年前、TPUSA主催のイベント「アメリカフェスト」で夫が語った「神の御心への服従」について触れた。チャーリー氏はこの演説で、イザヤ書6章8節「ここに私がおります。私を遣わしてください」を引用した。演説後、エリカ氏は舞台裏で夫に、「神は言葉通り、あなたを天に召されてしまうわ」と言い、今後そのような発言をする前にまず自分に相談するよう頼んだという。
「そして神は、チャーリーを天に召されました。11日前、神は夫の完全な献身を受け入れ、御許へ召されました。夫が何よりも望んだのは、自らの意志ではなく、神の御心が成ることでした。この11日間、あらゆる苦痛の中、今ほど『御心が行われますように』という主の祈りの言葉に慰めを見いだしたことはありません」
エリカ氏はまた、致命傷を負った夫を病院で見舞った際、「彼の唇にかすかなほほ笑みを見ました」と語った。その表情を「この悲劇における神の大きな慈悲」と表現し、「(関係者から)チャーリーは苦しまなかった」と伝えられたと付け加えた。
さらに、夫が殺害されてからのこの11日間に「神の慈悲と神の愛」がどのように示されたかを語った。
「私たちは暴力を目撃しませんでした。暴動も革命も見ませんでした。代わりに、夫がこの国で見たいと常に祈っていたものを見たのです。つまり、リバイバルです。この1週間、10年ぶりに聖書を開く人々を、子どもの時以来初めて祈る人々を、生涯で初めて礼拝に出席する人々を見ました」
「夫の人生における最大の使命は、米国の家族の再生でした。彼が若者たちと話すとき、いつも熱心に語っていたのは、神が結婚に与えたビジョンと、もし彼らが勇気を持ってそれを実践すれば、それが私たちの人生を豊かにしたのと同じように、彼らの人生のあらゆる部分を豊かにするだろうということでした」
エリカ氏は、チャーリー氏が「クリスチャンの夫として、神から与えられた役割」を理解していたと称賛し、それは「家族が(神に)仕えるように導く」ことだと述べた。その上で、「世界中の男性たち」に向けてメッセージを送り、チャーリー氏の挑戦と、真の男らしさを受け入れるよう促した。また、男性たちに「家庭の霊的指導者たれ」と呼びかけ、夫と妻は「神の栄光のために共に働く一つの体」だと話した。
「彼の私への愛が、私をより良い妻へと駆り立てました。彼は毎日、私を尊び、私は夫のために神が必要とされるような妻になれるように祈りました。女性たちよ、皆さんにも挑戦があります。徳のある者となってください。私たちの強さは、神が私たちの役割に定められた型の中にあります。私たちは(家庭を)守る者たちなのです。私たちは(夫を)励ます者たちなのです」
■ チャーリー・カーク氏の追悼式