オウム幹部の死刑執行、なぜそれでも死刑に反対なのか 進藤龍也

2018年7月9日18時28分 執筆者 : 進藤龍也 印刷
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進藤龍也牧師
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オウム真理教の松本智津夫(麻原彰晃)死刑囚ら教団元幹部7人の刑が執行された。日本国民として日本の法律がある以上はそれに従うし、反抗するつもりはない。しかし、信仰の上では、人の命を取るか取らないかは、たとえどんな極悪人であったとしても神様だけがなさることだと考えている。私は、死刑廃止論者だ。

今回死刑を執行された7人が、どうやっても償いようのないことをしてしまったのは事実だ。たとえ死刑にならなくても、その人が神の前で悔い改めなければ、いずれ寿命が来て死んだとき、永遠の滅びに行く。しかし、生きているうちは、チャンスがある。神様は、誰一人として滅びることなく、悔い改めることを願って忍耐しておられるのだから、それを人間の定めた法律で制限してはいけないと思う。

被害者遺族の方々が彼らに極刑を望むのは当然だ。元ヤクザで覚せい剤の売人だった私がいくら回心して牧師になったとしても、ヤクザのせいで家族が覚せい剤中毒になり、家庭が崩壊した人にとってみれば、私の存在は絶対に赦(ゆる)せないだろう。しかし、そのような境遇にあるクリスチャンのある一人の女性が、私のことを赦してくれた。それは、その方が神様の愛を経験した人で、心の傷が本当の意味で癒えていなければできないことだ。

聖書の「ぶどう園の労務者のたとえ」(マタイ20章)では、朝早くから働いた人にも、夕方5時からしか働いていない人にも、ぶどう園の主人が同じ賃金を支払ってあげた。神様の恵みを受け入れるのであれば、自分の行いによらず、誰もが同じ天国に行くという話だ。しかし、このたとえでは、朝早くから働いていた人が主人に不満を言ってしまう。あとから来た人たちへのねたみの心が生じてしまい、主人と心を一つにできないのだ。

「あとの者が先になり、先の者があとになる」というのが聖書の世界。それを語るイエス様の言葉に挟まれて、この「ぶどう園の労務者のたとえ」が書かれている。神様が考える世界を教えてくれるのがこのたとえ話だ。だから私は、たとえどんな罪人であっても、死ぬ前に、ぎりぎりでもいいから救いを得てほしいと願っている。

知り合いのヤクザの親分が、末期がんで入院した。実際にさんざん悪いことをやって、いいことは何もしてこなかった人だ。その彼が、最期にイエス様を受け入れて救われた。イエス様と一緒に十字架にかけられた犯罪人の一人に、イエス様が「あなたはきょう、わたしとともにパラダイスにいます」(ルカ23:43)と言ったのと同じように、彼も、何もいいことをしないままで天国に行くことができる。

韓国に17人を殺した金大斗(キム・テドゥ)という死刑囚がいた。しかも、そのうち3人の女性を強姦(ごうかん)して殺している。そんな極悪人の彼が刑務所で救われ、まったく変えられて、刑が執行されるまでに何人もの受刑者を救いに導いた。その生きざまが、今も多くの人々に希望を与えている。

オウム幹部の死刑執行、なぜそれでも死刑に反対なのか 進藤龍也
「罪人の友」主イエス・キリスト教会のメンバーと。中央最前列の男性が進藤龍也牧師。(写真:同教会提供)

日本にもこうした例はある。昭和30、40年代に、刑務所内に聖書クラブを作り、多くの受刑者を救いに導いた死刑囚がいる。遺族への配慮で名前は出せないが、『長崎の鐘』で知られる永井隆とも文通していた。しかも、文通を検閲していた刑務官までも救われていった。

オウム真理教の死刑囚の中から、そういう人が絶対に出てこないとは言い切れない。刑を執行したらそのチャンスの芽を摘み取ってしまう。実際にオウム真理教の信者たちには、これからの日本をしょって立つはずだった優秀な人たちが多い。心の闇や青年期の悩みを抱えているところをつけ込まれ、道を間違えてしまった。だからある面、彼らだって被害者といえる。

クリスチャンの多い韓国では、死刑制度はあるものの、死刑執行が20年近く停止していて事実上の死刑廃止国になっている。いつか日本も、主の時が来てそのように変わる日が来ると信じ、祈っていきたい。

進藤龍也(しんどう・たつや)

1970年埼玉県川口市生まれ。高校退学後、18歳でヤクザとなる。28歳で広域指定暴力団「住吉会」系列の組織で組長代行となるが、覚せい剤が原因で降格。3度目の服役中に差し入れられた聖書を読み回心。出所後JTJ宣教神学校に進み、「罪人の友」主イエス・キリスト教会を設立。現在、同教会牧師、刑務所伝道ミニストリー代表、VIP川口ホープチャレンジ代表。著書に『人はかならず、やり直せる』『あなたにもある逆転人生』など。

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