Skip to main content
2025年5月12日23時09分更新
クリスチャントゥデイ
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム
  2. 論説・コラム
  3. コラム
エルサレム首都認定

エルサレム首都認定、トランプ政権の決断とその波紋 どうして米国はイスラエルを重要視するのか(4)

2017年12月13日07時09分 コラムニスト : 青木保憲
  • ツイート
印刷
関連タグ:エルサレムドナルド・トランプイスラエル青木保憲
聖書に登場するヒゼキヤ王直筆の印を発見 エルサレム+
エルサレム旧市街(写真:Paul Arps)

さて、3回に分けてイスラエルと米国の関係を整理してきた。そもそもトランプ大統領の「首都はエルサレム」発言から今回のシリーズは始まっているため、ここに至るまでにかなり遠回りした感がある。やっと今回のメインテーマと向き合うことになる。

7. 「イスラエル支援」という観点から見たトランプ大統領

まず押さえておかなければならないのは、トランプ大統領の今回の決断を、決して彼のみに帰してはいけないということだ。トランプ氏が選挙公約として掲げたから、それ以外の公約がなかなか実現しないから、だから今回の決断に踏み切ったと捉えるのは、あまりにも短絡的で歴史を無視した判断となる。また、オバマ前大統領との違いをアピールするために、オバマケアと同列にこの問題を並べ、オバマ氏が中東問題でイスラエルに冷淡だったからトランプ大統領が手厚くイスラエルに向き合っている、とするのもいかがなものかと思わされる。

しかし怖いのは、トランプ大統領自身が上記のような思考で「エルサレム」を扱っている可能性である。これを「大統領としてあり得ない」とは言えないことが悲しい。彼なら「あり得る」と言わざるを得ない。しかし、これはいくら議論したところで不毛である。誰も彼の内面を知ることはできないからである。だから、彼が下した「決断」という事実に基づいて考察していかなければならない。

この原稿を書いている12月9日現在、すでにパレスチナ自治国家からは反発の声が上がり、ガザ地区ではイスラエル軍とパレスチナ人との衝突が発生している。これからさらにこれは拡大されるだろうと識者は予想している。

ご存じの通り、トランプ大統領は選挙人制度でヒラリー陣営に勝利し、大統領になった。しかし、投票者の獲得数ではヒラリー・クリントン氏が上回っていた。「米国大統領選挙」という観点からするなら、これはよくあることで、大したことではないだろう。しかし「イスラエル支援」という観点からこれを見るなら、異なった見え方が透けてくる。

8. 揺れるユダヤ人社会とイスラエル・ロビー

立山良司氏によると、イスラエル・ロビーはもはや一枚岩ではない。イスラエル支援を共にうたいながら、AIPACのような主流派集団とは異なる立場で政治家に働き掛けるロビイストが近年力をつけてきているという。その代表格が「Jストリート」という集団である。彼らは2008年4月に発足している。

彼らは、現行のイスラエルがあまりにも横暴で、隣国に対して迷惑をかけ続けていることに懸念を表明し、スローガンを「プロ・イスラエル(イスラエル支持)、そしてプロ・ピース(平和支持)」としている。従来は、イスラエル政府のやり方を公然と批判することはイスラエルの敵を利することになるという考えが主流であったため、本国の姿勢に追従することがロビイストの方向性であった。しかし、彼らはこの方向性に否を突きつけている。そして、旧泰然とイスラエル政府を「よいしょ」する米国政権の在り方にも否定的である。

事実、若い世代の在米ユダヤ人たちは、2014年にガザ地区で勃発した軍事衝突に関して、強者であるイスラエルが弱者であるガザ住民に対し、なぜあれほど激しい攻撃を加えるのかと強く憤っていたという。アンケート結果によると30代以下の世代では、35パーセント以上がイスラエル政府のガザ攻撃を批判している。米国ユダヤ社会とイスラエルのユダヤ社会との間にすきま風が吹き始めていることが分かる。

イスラエル・ロビーが割れるなら、当然政府への圧力も弱くなる。オバマ政権が8年間の在任期間中たった1回しかイスラエル入りしなかったのも分かる気がする。彼はノーベル平和賞を受賞した。そのこともあってか、中東というと単にイスラエルだけではない。そして、パレスチナ諸国とイスラエル、どちらが「ゴリアテ」であるかの価値観も以前とはかなり変化してきていたであろう。

9. リベラル化する米国、ユダヤ人社会

この流れと関連するかどうか定かではないが、2008年に製作されたイスラエル映画に「戦場でワルツを」というアニメーションがある。これは監督のアリ・フォルマンの自伝的アニメで、1982年に発生したレバノン内戦でイスラエル側として従軍した彼の体験が元になっている。

映画は、アニメーションという手法を用いながらも悲惨な戦争の情景を生々しく描き、特にイスラエル政府がホロコーストにも似た仕打ちをパレスチナ難民にしてきたことを糾弾する内容となっている。ラストのある仕掛けは、どうしてこれがアニメという手法で語られなければならなかったのか、その真の理由を明らかにしている。そして、見る者を深淵な絶望へと誘っていく。

この映画は全世界で絶賛され、ゴールデン・グローブ賞、米国アカデミー賞にノミネートされ、評価されている。イスラエル国内から(もちろん監督は国外で映画を学び、資金調達した)このような映画が作られたということは意味深いことである。

2015年夏、イランでの核開発疑惑をめぐって、国連常任理事国+ドイツとイランとの間で合意が成立した。イランが武器使用目的で核を開発しているのではないか、という疑惑を払拭するために結ばれた国際協定であった。イスラエルはこれに反対する。なぜならイランはこの協定を傘にして、「平和利用」の名目で核兵器を秘密裏に開発することが可能になるからである。当然その攻撃目標にイスラエルも含まれることが想定される。

イスラエル・ロビーは米国議会に働き掛け、米国がいつものように常任理事国として拒否権を発動するよう求めた。しかし、オバマ政権下でこの合意は黙認されたのである。

米国では、国際社会における自身の立場を確立しようとするリベラル的思考が浸透しつつある。一方、自分たちがオスロ合意をなし崩し的に無力化しておきながら、なかなか自分たちの主張が通らないことにいら立つイスラエル国内では、さらなる右傾化が進んでいる。

「パレスチナ側との交渉は和平をもたらすか」という問いに対して、2000年の第二次インフィファーダ以降、「そうは思わない」という国民の割合は増え続け、2015年には80パーセントに迫る勢いである。彼らの合言葉は「パレスチナ自治政府との交渉は終わった」である。積み上げては崩し、崩しては積み上げ・・・そんな虚無感すら漂うことになる。

くしくも12月8日朝日新聞朝刊のエルサレム首都問題に関する記事の見出しは、パレスチナ人「交渉は終わり」であった。双方が「交渉終結宣言」を突きつけている。パレスチナ問題は新たな危機、そして局面に突入したのだろう。

<<前回へ     次回へ>>

◇

青木保憲

青木保憲

(あおき・やすのり)

1968年愛知県生まれ。愛知教育大学大学院卒業後、小学校教員を経て牧師を志し、アンデレ宣教神学院へ進む。その後、京都大学教育学研究科修了(修士)、同志社大学大学院神学研究科修了(神学博士)。グレース宣教会牧師、同志社大学嘱託講師。東日本大震災の復興を願って来日するナッシュビルのクライストチャーチ・クワイアと交流を深める。映画と教会での説教をこよなく愛する。聖書と「スターウォーズ」が座右の銘。一男二女の父。著書に『アメリカ福音派の歴史』(明石書店、12年)、『読むだけでわかるキリスト教の歴史』(イーグレープ、21年)。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
関連タグ:エルサレムドナルド・トランプイスラエル青木保憲
  • ツイート

関連記事

  • トランプ氏のエルサレム首都認定 クリスチャンの間でなぜ違う反応?

  • エルサレム首都認定、トランプ政権の決断とその波紋 どうして米国はイスラエルを重要視するのか(1)

  • ヨルダンでWCC常議員会 エルサレム総主教が平和・正義・一致を強調

  • ローマ教皇とエルサレム総主教、聖地の「ステイタス・クオ」を呼び掛け

  • エルサレムの教会指導者らが声明「組織的な企てがある」 聖地の「現状維持」を訴え

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • 21世紀の神学(27)プロテスタント教会側から見るローマ教皇 山崎純二

  • 四半世紀ぶりに欧州で大規模伝道会議、今月末にベルリンで 牧師ら約千人が参加

  • 主キリストの最大限の恵み 万代栄嗣

  • 新ローマ教皇にプレボスト枢機卿、教皇名は「レオ14世」 初の米国出身者

  • 新教皇を選ぶコンクラーベ、いつ、何回目の投票で決まる? 181日間に及んだケースも

  • シリア語の世界(23)辞書3・ヨハネ黙示録の賛美歌6―11章17節― 川口一彦

  • ワールドミッションレポート(5月11日):フィリピン 実を結ぶ価値観教育ミニストリー

  • 米ジョージア州で「信教の自由回復法」成立、全米30番目の州に 9年前には不成立

  • ヨハネの黙示録(2)主は雲に乗って来られる 岡田昌弘

  • 「苦しみ」と「苦しみ」の解決(5)「苦しみ」の構図 三谷和司

  • 新教皇を選ぶコンクラーベ、いつ、何回目の投票で決まる? 181日間に及んだケースも

  • 次期ローマ教皇の有力候補4人

  • 聖墳墓教会の床下発掘調査で貴重な発見、ヨハネ福音書の記述を裏付ける証拠に

  • 新ローマ教皇にプレボスト枢機卿、教皇名は「レオ14世」 初の米国出身者

  • 「苦しみ」と「苦しみ」の解決(5)「苦しみ」の構図 三谷和司

  • 四半世紀ぶりに欧州で大規模伝道会議、今月末にベルリンで 牧師ら約千人が参加

  • 自分を愛する生き方 菅野直基

  • 21世紀の神学(27)プロテスタント教会側から見るローマ教皇 山崎純二

  • ローマ教皇フランシスコの死去に対する日本国内の他教派の反応

  • 2026年に東京のスタジアムで伝道集会開催へ 「過去に見たことのないリバイバルを」

  • 新教皇を選ぶコンクラーベ、いつ、何回目の投票で決まる? 181日間に及んだケースも

  • 次期ローマ教皇の有力候補4人

  • 新ローマ教皇にプレボスト枢機卿、教皇名は「レオ14世」 初の米国出身者

  • ローマ教皇フランシスコの死去に対する日本国内の他教派の反応

  • 聖墳墓教会の床下発掘調査で貴重な発見、ヨハネ福音書の記述を裏付ける証拠に

  • フランスのカトリック教会、復活祭に成人1万人以上が受洗 昨年比45%増

  • 2026年に東京のスタジアムで伝道集会開催へ 「過去に見たことのないリバイバルを」

  • イースターは「揺るぎない希望」 第62回首都圏イースターのつどい

  • 「苦しみ」と「苦しみ」の解決(5)「苦しみ」の構図 三谷和司

  • 米ジョージア州で「信教の自由回復法」成立、全米30番目の州に 9年前には不成立

編集部のおすすめ

  • 2026年に東京のスタジアムで伝道集会開催へ 「過去に見たことのないリバイバルを」

  • 「山田火砂子監督、さようなら」 教会でお別れの会、親交あった俳優らが思い出語る

  • 日本は性的人身取引が「野放し」 支援団体代表者らが院内集会で報告、法規制強化を要請

  • 後藤健二さん没後10年、追悼イベントで長女が映像メッセージ 「誇りに思っている」

  • ロシアの軍事侵攻から3年、在日ウクライナ正教会が祈りの集会 片脚失った負傷兵も参加

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 編集部
  • お問い合わせ
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 採用情報
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • X(旧Twitter)
  • Instagram
  • YouTube
  • RSS
Copyright © 2002-2025 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.