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脳性麻痺と共に生きる

脳性麻痺と共に生きる(27)高等部に入学 有田憲一郎

2017年5月20日06時28分 コラムニスト : 有田憲一郎
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関連タグ:障がい

養護学校(現在の特別支援学校)の中学部を卒業し、同級生との卒業旅行に行ってからの僕は、残りの春休み、のんびり家で過ごしていた記憶があります。春休みの嫌な宿題はなく、少しホッとしていた中で、中学を卒業するときに担任の先生から言われていたことを思い出しました。それは、高等部に行っても小学部から続けている日記を書き続けること、春休みも書くことでした。

先生に言われるまで、僕は心のどこかで「春休みだし、4月から高校生だから、日記は書かないでもいいよね」と、勝手に自分のいいように考えていました。「書きなさい」と言われた僕は、「やっぱり書かないといけないのか」と少し憂鬱(ゆううつ)な気分になりながら、先生に言われたことを無視して、新学期が始まるまで日記を書かずにいたことを覚えています。

在校生より数日長い春休みも終わり、高等部の入学を迎えました。朝が苦手な僕は、晴れの舞台にもかかわらず、「憲、起きなさい。今日から学校。高校生でしょう」と両親に起こされるまで夢の中にいました。

ほとんどの養護学校(特に肢体不自由)は、中学部も高等部も制服がありません。普段はそれぞれ動きやすい私服で登校しています。入学式に、「汚さないように頑張ってね」と言われながらスーツに身を包んだとき、「僕は高校生なんだ」、そう実感したことを覚えています。

暖かな春の陽気だったと思います。小学部の時から通い慣れた学校ですが、この日はとても新鮮に感じました。小学部だった頃、同じスクールバスで通い、同じ校舎で勉強している高等部に通う先輩がたくましい大人に見え、「すごいな。考え方も大人だろうな」、そういう印象を持っていたことを思い出します。しかし、実際に僕自身が高校生になってみると、「自分は幼くて幼児っぽかったな」と今になって思います。学年は高校生。しかし、中身は未熟で、幼い子どものような僕がいました。

以前に書きましたが、小学部から中学部に進学したとき、小学6年生で担任だった1人の先生が中学1年生の時に引き続き担任として受け持ちになりました。新たな環境で新しい方となかなかなじむことが苦手で、新しい先生や仲間と会話することにも不安だった僕は、担任を続けてくださる先生がいたことにホッとしたことを今でも覚えています。

高等部に進学すると、高等部担当の先生方が僕たちの担任になります。そこには中学部からの先生はいません。入学式の朝、教室に行くと、中学部からの同級生と保護者の方、そして新しく担任になる先生方がいました。担任となった先生方とは、それまで登下校の時間に顔を見る程度で、ほとんど声を掛けたことも話をしたこともない先生方でした。

「皆さん、ご入学おめでとうございます。今日から君たちは高校生です。そして今日から君たちの学年を担任することになりました。よろしくお願いします」と5人の先生が紹介される中、僕は緊張していました。長く感じながらもあっという間に時間は過ぎ、バタバタと体育館に移動し、入学式を迎えました。

「新しい学校生活が始まるんだ。どんなことが待っているんだろう」と、期待と緊張でいっぱいでした。先生に車いすを押してもらいながら入場し、一人一人名前が呼ばれると、大きな声で「はい」と返事をしたことを懐かしく思い出します。

そんな新たなスタートを切る入学式でしたが、僕は同級生と少し違う、ちょっと複雑な思いで望んでいました。それは、父の存在が大きく関係していました。

僕が小学部だった頃から高等部の2年生まで、父はPTAの役員と会長の職を務めていました。そして、始業式や終業式、運動会や文化祭、入学式や卒業式など、学校行事の時にはいつも、PTA会長として出席している父の姿がありました。

行事やイベントのたびに、保護者席ではなく、校長先生や来賓の方々と同じ席に座り、壇上に登ってあいさつをする父の姿を見るのがとても嫌で、いつも僕は緊張しながら話を聞いていたことを思い出します。そして普通校では、決してありえないことが起きたのです。

長期にわたり会長職を務めていたため、僕の小学部と中学部の卒業式には会長として出席し、中学部、そして高等部の入学式の時には会長として壇上であいさつをする父の姿がありました。

自分の息子が卒業生や入学生で、会長としてのあいさつをしているとき、「父はどんな気持ちだったのだろう」と今でも考えることがあります。母は1人保護者席に座り、父は、僕を息子ではなく一生徒として思いながらメッセージを送っていたのかもしれません。

高等部になり、最後となる入学式です。「せめて高校の入学式ぐらい、保護者の顔だけで母と並んで座り、僕の晴れ姿を見てほしかった」という思いがありました。複雑な心境で、父のあいさつを同級生とは違う思いで聞いていたことを思い出します。

入学式の翌日、「中学部の時、日記を書いていたと聞いています。その日記は続けましょう。先生が引き継いだので、毎日、短くても何でもいいから書いて来てください」と先生に言われました。偶然にもカバンに入れていた日記帳のファイルを見せたことを思い出します。そして内心で「続けたくない。書きたくないな」、そう思ったことを覚えています。

春休み中には1日も書かないでいたと思いますが、先生に中学部時代に書いた数枚の日記を見せると「今日は書いて来てないですね。明日から書いて来てください。先生が読んでサインします」、そう言われたのです。日記を書きたくない僕は「なんでだよ」と思いつつ、高等部でも孤独な日記との戦いが始まっていったのです。

入学して1週間ぐらいは、通常の授業ではなく、学年でのホームルームが中心でした。この1週間の時間を使って、新たに始まった高等部でのクラス目標、ルールなどを話し合って決めていきます。

「いいですか。皆さんは高校生です。この学年での決まり事や必要な事は全部自分たちで決めてください。先生たちは、君たちが決めたことをお手伝いするだけにしていきます」。中学部でも自分たちの自主性を身につけ、学んできました。高等部では、卒業後の長い人生を生きていくための力や知恵、技術を養い身につけさせるために、1つも2つも上の自主性や主体性、さらには自立性や責任力というものを養い学ばせることが大きな目的の1つとなってくるのです。

朝学校に来てから帰るまでに、クラスに必要な事をそれぞれが提案し、それらを先生が黒板に書き出していきます。周りの同級生が「ああしよう。こうしよう」と意見を出し、発言をしていく中で、何も言わず静かにしている僕がいました。それは中学部の時と同じ光景でした。

「有田、何かないのか」。先生に言われてしまいました。中学部の時とは違い、自分の考えや意見があったことを覚えています。しかし僕は、「何か言われたら、どうしよう。怒られたり、笑われてバカにされたら、どうしよう」と、自分の意見を言う前に、そんなマイナス思考なことを考えてしまっていました。

「意見があったら、言いなさい。先生たちは何も決めない。お前たちのことなんだから。思っていることは言わないと」。そんなことを言われていた記憶があります。僕は「何か言わないといけない」という焦りや大きなプレッシャーを勝手に感じてしまっていたのです。

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◇

有田憲一郎

有田憲一郎

(ありた・けんいちろう)

1971年東京生まれ。72年脳性麻痺(まひ)と診断される。89年東京都立大泉養護学校高等部卒業。画家はらみちを氏との出会いで絵心を学び、カメラに魅力を感じ独学で写真も始める。タイプアートコンテスト東京都知事賞受賞(83年)、東京都障害者総合美術展写真の部入選(93年)。個展、写真展を仙台や東京などで開催し、2004年にはバングラデシュで障碍(しょうがい)を持つ仲間と共に展示会も開催した。05年に芸術・創作活動の場として「Zinno Art Design」設立。これまでにバングラデシュを4回訪問している。そこでテゼに出会い、最近のテゼ・アジア大会(インド07年・フィリピン10年・韓国13年)には毎回参加している。日本基督教団東北教区センター「エマオ」内の仙台青年学生センターでクラス「共に生きる~オアシス有田~」を担当(10〜14年)。著書に『有田憲一郎バングラデシュ夢紀行』(10年、自主出版)。月刊誌『スピリチュアリティー』(11年9・10月号、一麦出版社)で連載を執筆。15年から東京在住。フェイスブックやブログ「アリタワールド」でもメッセージを発信している。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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