Skip to main content
2021年3月3日18時38分更新
Go to homepage
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム
  2. 論説・コラム
  3. コラム
脳性麻痺と共に生きる

脳性麻痺と共に生きる(28)英語で日付、そしてオリエンテーション 有田憲一郎

2017年6月3日07時37分 コラムニスト : 有田憲一郎
  • ツイート
印刷
関連タグ:障がい

養護学校(現在の特別支援学校)には、軽度の障碍(しょうがい)の子から重度の障碍の子までさまざまな障碍を抱えた子どもたちが通っています。僕も含め、ほとんどの児童・生徒は車いすに乗った子で、毎日スクールバスで通っていました。そんな中で、クラッチ(松葉杖)を使って歩ける後輩が、実践練習を兼ねて路線バスを利用して家路についていたことを思い出します。

高等部の教室に行くには、中学部のエリアを通過して長い廊下を通っていきます。教室に向かう途中、校舎を入ってすぐに見える中学部を眺め、「懐かしいな。先生、いるかな」と、しばらくは中学部の教室に向かわない不思議な感覚で通っていたことを思い出します。

前回も書きましたが、高等部になって1週間は通常の授業ではなくホームルームの時間を過ごします。基盤になるものは先生方が準備してくださっていたものの、1から話し合って何でも決めて進めていくということは初めてのことだったと思います。僕は中学部と高等部の違いを感じました。これから高等部の生活で幾つもの出来事を経験していく中で、「これが高等部というところなんだ」と実感することが幾度となく起きるのです。

クラスには朝の会と帰りの会があり、それらの進め方なども自分たちで決めなければなりません。毎日の日直当番1つとっても自分たちで進め方を決め、先生は横手で見守り、当番となった生徒が出席を取り、時間割を確認して、連絡事項や課題、議題、先生からの話などと進行していました。養護学校の1学年、1クラスというのは少ない人数のため、日直が回ってくる回数も早く、週に1、2回のペースで担当していた記憶があります。

僕には日直当番の他に朝の会で、あることを伝える役割が与えられていました。それは毎日、「○月○日○曜日」と今日の日付と曜日を英語で伝えるというものでした。

養護学校でも中学部から、グループによって英語の授業が行われます。僕は学力的に上のグループで勉強していたので、英語の授業もありました。

英語の授業は、中学部、高等部ともに週に1時間だったと思います。英語の教科書が新年度に配られます。しかし、どの教科でも同じですが、先生方がレベルにあった内容のプリントを作ってくれていたので、教科書は持って行くものの、教科書を開いて授業を受けたことは少なかったと思います。読み方が書いてあるアルファベットの表と中学生が習うであろう英単語と読み方、訳した日本語を書いたプリント、そして基礎的な文法を書いたプリント、例題文などを使い授業をしていました。

今は国語や算数で簡単な内容であれば「何だ。こういうことだったのか」と、スラスラとまではいかないものの、少し考えれば答えを導くことができます。しかし、学生だった当時は、考える力も応用力もなく、それほど日本語も理解できていなかった僕にとって、英語の授業となればさらに輪をかけてちんぷんかんぷんでした。同じ授業を受けていた同級生や先輩、後輩たちが英語を覚えていく中で、僕は簡単な英単語はもとより、アルファベットすら覚えることができないでいました。

高等部に入学する際に、中学部の先生から高等部の先生に生徒一人一人の学力レベルや必要な教育内容が引き継がれます。おそらく今思えば、僕は毎日学校に通っていただけで授業の成績を見れば赤点ばかり取っていました。

そんな僕に先生が、あることを提案しました。「毎日、有田に朝の会で日付と曜日を英語で言わせよう」。先生は僕に「何とかして簡単な英語を身につけさせよう」という狙いで考えてくださったのだと思います。僕が英語を覚えられないことは同級生も知っていたので、先生からの提案に同級生も賛成でした。こうして僕は毎日、日付と曜日を英語で伝えることになったのです。僕は「嫌だな。何でこうなるの」と思っていたことを覚えています。

僕には障碍があり、紙にペンで文字を書くことができず、メモを取ることもできません。そのためか、記憶力は誰にも負けないほどで、1回聞けば何でも覚えてしまうぐらいでした。「憲に言っとけば全部覚えているから安心だ。心配ないよ」と家族からも仲間からも、そう言われていました。

この記憶力が「勉強に生かせればよかった」と今、思います。多少は生かされていたのかもしれませんが、英語となるとまったく生かされることなく、全然頭に入らず覚えることができなかったのです。それこそ、覚える気や勉強する気が到底なかったからかもしれません。

日付と曜日は毎日変わります。そして月は1カ月あり、学校に行く20日から25日は毎日その月の単語を口に出して言っていました。「毎日、同じ月の単語を言っていれば、いくらなんでも覚えるだろう」、先生も同級生も誰もが、そう思っていたと思います。しかし、そうはいきませんでした。スラスラ言える日と、単語を忘れまったく言えない日があったのです。

言えなかった日は、「家で復習してないでしょう」と言われていました。それは、予習も復習もしていないことがすぐにばれる感じでした。

高校の3年間で、僕がまともに伝えられたのは数えるぐらいだったと思います。スラスラ伝える僕の姿は珍しく、ちゃんと話せて伝えられた日には、「お~、すごいじゃん」と先生や同級生から驚かれたぐらいです。

高等部に入学した数日後、新入生の歓迎会とオリエンテーションが行われます。先生から事前に「今度、君たちの歓迎会とオリエンテーションがあります」と言われました。僕は聞き慣れない言葉に、「オリエンテーションって何だろう?」と思った記憶があります。

先生がオリエンテーションについて説明してくれました。しかし、僕は先生の話をうる覚えに聞いていたのだと思います。先生はオリエンテーションと言っていたにもかかわらず、時間がたつにつれ、僕の頭の中で自分が知っているレクリエーションという言葉になり、覚えてしまっていたのです。また、僕は「大人になるとレクリエーションのことをオリエンテーションって呼ぶのか」と大きな勘違いもしていた記憶があります。それとは別に地図とコンパスを頼りに探し物を探し、目的地に行くオリエンテーリングというものを知っていました。

今思えば、オリエンテーションという言葉の意味を知らなかった僕の頭で、「オリエンテーション」「オリエンテーリング」「レクリエーション」の意味が違う、似ている3つの言葉がごちゃ混ぜになっていたのでしょう。先生にオリエンテーションというものについて教わっていたにもかかわらず、僕は「楽しいゲーム大会をするんだ」と思い込んでいたのです。

オリエンテーションは会議室で行われた記憶があります。黒板の前にはテーブルが並べられて、僕たち1年生から3年生の高等部生徒が正面を向いて並びます。歌を歌って僕たち新入生の歓迎会が始まりました。そして歌を歌った後、その場の雰囲気が少し変わり、静かになったことを覚えています。

しばらくして、テーブルのある正面に数人の先生と数人の先輩方が座りました。「何が始まるんだ」。それは、これから始まる授業の説明と生徒会の説明でした。この時、僕はオリエンテーションというものを初めて知ったのです。

<<前回へ     次回へ>>

◇

有田憲一郎

有田憲一郎

(ありた・けんいちろう)

1971年東京生まれ。72年脳性麻痺(まひ)と診断される。89年東京都立大泉養護学校高等部卒業。画家はらみちを氏との出会いで絵心を学び、カメラに魅力を感じ独学で写真も始める。タイプアートコンテスト東京都知事賞受賞(83年)、東京都障害者総合美術展写真の部入選(93年)。個展、写真展を仙台や東京などで開催し、2004年にはバングラデシュで障碍(しょうがい)を持つ仲間と共に展示会も開催した。05年に芸術・創作活動の場として「Zinno Art Design」設立。これまでにバングラデシュを4回訪問している。そこでテゼに出会い、最近のテゼ・アジア大会(インド07年・フィリピン10年・韓国13年)には毎回参加している。日本基督教団東北教区センター「エマオ」内の仙台青年学生センターでクラス「共に生きる~オアシス有田~」を担当(10〜14年)。著書に『有田憲一郎バングラデシュ夢紀行』(10年、自主出版)。月刊誌『スピリチュアリティー』(11年9・10月号、一麦出版社)で連載を執筆。15年から東京在住。フェイスブックやブログ「アリタワールド」でもメッセージを発信している。

関連タグ:障がい
  • ツイート
▼関連記事を見る  ▼クリスチャントゥデイからのお願い

関連記事

  • 脳性麻痺と共に生きる(27)高等部に入学 有田憲一郎

  • 脳性麻痺と共に生きる(26)自分たちで計画した中学の卒業旅行 有田憲一郎

  • 脳性麻痺と共に生きる(25)詩集「ノック」と初めての詩「女心」 有田憲一郎

  • 脳性麻痺と共に生きる(24)中学時代のことと大切にしている先生の教え 有田憲一郎

  • 脳性麻痺と共に生きる(23)養護学校高等部合格発表の日 有田憲一郎

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

新型コロナウイルス特集ページ

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • コロナ禍で宗教グループが「スケープゴート」にされている 世界各地で事例報告

  • 信仰と不信仰の距離 安食弘幸

  • 同性愛めぐり分裂見通しの米合同メソジスト教会、保守派が新教団名発表

  • 「大きな味方」はきっといる 貧民街の聖者、賀川豊彦の生涯を朗読

  • 聖書はコロナ禍のクリスチャンに希望を与えている 英国聖書協会が調査

  • ロシアの反体制派指導者ナワリヌイ氏、裁判所で聖書を引用

  • WEAのシルマッハー新総主事就任、演説で福音主義の核心語る

  • 聖隷福祉事業団、新理事長に青木善治氏

  • 12歳のキリスト教徒の少女、誘拐後に性的暴行受け強制改宗・結婚 裁判所が解放を命令

  • 宮城労働局が涌谷保育園元園長牧師のパワハラ認定、日本基督教団議長「解決に向けて全力尽くす」

  • 宮城労働局が涌谷保育園元園長牧師のパワハラ認定、日本基督教団議長「解決に向けて全力尽くす」

  • 米南部バプテスト連盟、4教会を除名 性犯罪歴ある牧師雇用や同性愛支持で

  • 同性愛めぐり分裂見通しの米合同メソジスト教会、保守派が新教団名発表

  • 聖書はコロナ禍のクリスチャンに希望を与えている 英国聖書協会が調査

  • 2021年の「レント(四旬節)」始まる、きょう「灰の水曜日」 その意味と由来

  • 「聖書は神の言葉ではない」 進歩主義の米教会がSNSの投稿で炎上

  • 「わたしは父から出て、世に来ました」 さとうまさこの漫画コラム(3)

  • WEAのシルマッハー新総主事就任、演説で福音主義の核心語る

  • 聖隷福祉事業団、新理事長に青木善治氏

  • ロシアの反体制派指導者ナワリヌイ氏、裁判所で聖書を引用

  • 宮城労働局が涌谷保育園元園長牧師のパワハラ認定、日本基督教団議長「解決に向けて全力尽くす」

  • 米南部バプテスト連盟、4教会を除名 性犯罪歴ある牧師雇用や同性愛支持で

  • 同性愛めぐり分裂見通しの米合同メソジスト教会、保守派が新教団名発表

  • 聖書はコロナ禍のクリスチャンに希望を与えている 英国聖書協会が調査

  • 2021年の「レント(四旬節)」始まる、きょう「灰の水曜日」 その意味と由来

  • 「聖書は神の言葉ではない」 進歩主義の米教会がSNSの投稿で炎上

  • 「わたしは父から出て、世に来ました」 さとうまさこの漫画コラム(3)

  • WEAのシルマッハー新総主事就任、演説で福音主義の核心語る

  • 聖隷福祉事業団、新理事長に青木善治氏

  • ロシアの反体制派指導者ナワリヌイ氏、裁判所で聖書を引用

編集部のお勧め

  • 「クリスチャンだからこそ、もっと知って祈って関わってほしい」 人身取引に取り組む「ゾエ・ジャパン」

  • パンデミック時代の宗教の可能性探る IPCR国際セミナーで日中韓のキリスト者も発題

  • コロナ禍で増える自殺、奥田知志牧師「宗教にできること、いっぱいあるのでは?」

  • 日本から遠く離れた地の日本人伝道最前線 駐在員家族120人に福音伝える英語教室

  • 「開拓伝道は失われた人々への憐れみの心」 第23回断食祈祷聖会1日目

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 論説委員・編集部
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 問い合わせ・アクセス
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • Twitter
  • YouTube
  • RSS
Copyright © 2002-2021 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.