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脳性麻痺と共に生きる

脳性麻痺と共に生きる(28)英語で日付、そしてオリエンテーション 有田憲一郎

2017年6月3日07時37分 コラムニスト : 有田憲一郎
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関連タグ:障がい

養護学校(現在の特別支援学校)には、軽度の障碍(しょうがい)の子から重度の障碍の子までさまざまな障碍を抱えた子どもたちが通っています。僕も含め、ほとんどの児童・生徒は車いすに乗った子で、毎日スクールバスで通っていました。そんな中で、クラッチ(松葉杖)を使って歩ける後輩が、実践練習を兼ねて路線バスを利用して家路についていたことを思い出します。

高等部の教室に行くには、中学部のエリアを通過して長い廊下を通っていきます。教室に向かう途中、校舎を入ってすぐに見える中学部を眺め、「懐かしいな。先生、いるかな」と、しばらくは中学部の教室に向かわない不思議な感覚で通っていたことを思い出します。

前回も書きましたが、高等部になって1週間は通常の授業ではなくホームルームの時間を過ごします。基盤になるものは先生方が準備してくださっていたものの、1から話し合って何でも決めて進めていくということは初めてのことだったと思います。僕は中学部と高等部の違いを感じました。これから高等部の生活で幾つもの出来事を経験していく中で、「これが高等部というところなんだ」と実感することが幾度となく起きるのです。

クラスには朝の会と帰りの会があり、それらの進め方なども自分たちで決めなければなりません。毎日の日直当番1つとっても自分たちで進め方を決め、先生は横手で見守り、当番となった生徒が出席を取り、時間割を確認して、連絡事項や課題、議題、先生からの話などと進行していました。養護学校の1学年、1クラスというのは少ない人数のため、日直が回ってくる回数も早く、週に1、2回のペースで担当していた記憶があります。

僕には日直当番の他に朝の会で、あることを伝える役割が与えられていました。それは毎日、「○月○日○曜日」と今日の日付と曜日を英語で伝えるというものでした。

養護学校でも中学部から、グループによって英語の授業が行われます。僕は学力的に上のグループで勉強していたので、英語の授業もありました。

英語の授業は、中学部、高等部ともに週に1時間だったと思います。英語の教科書が新年度に配られます。しかし、どの教科でも同じですが、先生方がレベルにあった内容のプリントを作ってくれていたので、教科書は持って行くものの、教科書を開いて授業を受けたことは少なかったと思います。読み方が書いてあるアルファベットの表と中学生が習うであろう英単語と読み方、訳した日本語を書いたプリント、そして基礎的な文法を書いたプリント、例題文などを使い授業をしていました。

今は国語や算数で簡単な内容であれば「何だ。こういうことだったのか」と、スラスラとまではいかないものの、少し考えれば答えを導くことができます。しかし、学生だった当時は、考える力も応用力もなく、それほど日本語も理解できていなかった僕にとって、英語の授業となればさらに輪をかけてちんぷんかんぷんでした。同じ授業を受けていた同級生や先輩、後輩たちが英語を覚えていく中で、僕は簡単な英単語はもとより、アルファベットすら覚えることができないでいました。

高等部に入学する際に、中学部の先生から高等部の先生に生徒一人一人の学力レベルや必要な教育内容が引き継がれます。おそらく今思えば、僕は毎日学校に通っていただけで授業の成績を見れば赤点ばかり取っていました。

そんな僕に先生が、あることを提案しました。「毎日、有田に朝の会で日付と曜日を英語で言わせよう」。先生は僕に「何とかして簡単な英語を身につけさせよう」という狙いで考えてくださったのだと思います。僕が英語を覚えられないことは同級生も知っていたので、先生からの提案に同級生も賛成でした。こうして僕は毎日、日付と曜日を英語で伝えることになったのです。僕は「嫌だな。何でこうなるの」と思っていたことを覚えています。

僕には障碍があり、紙にペンで文字を書くことができず、メモを取ることもできません。そのためか、記憶力は誰にも負けないほどで、1回聞けば何でも覚えてしまうぐらいでした。「憲に言っとけば全部覚えているから安心だ。心配ないよ」と家族からも仲間からも、そう言われていました。

この記憶力が「勉強に生かせればよかった」と今、思います。多少は生かされていたのかもしれませんが、英語となるとまったく生かされることなく、全然頭に入らず覚えることができなかったのです。それこそ、覚える気や勉強する気が到底なかったからかもしれません。

日付と曜日は毎日変わります。そして月は1カ月あり、学校に行く20日から25日は毎日その月の単語を口に出して言っていました。「毎日、同じ月の単語を言っていれば、いくらなんでも覚えるだろう」、先生も同級生も誰もが、そう思っていたと思います。しかし、そうはいきませんでした。スラスラ言える日と、単語を忘れまったく言えない日があったのです。

言えなかった日は、「家で復習してないでしょう」と言われていました。それは、予習も復習もしていないことがすぐにばれる感じでした。

高校の3年間で、僕がまともに伝えられたのは数えるぐらいだったと思います。スラスラ伝える僕の姿は珍しく、ちゃんと話せて伝えられた日には、「お~、すごいじゃん」と先生や同級生から驚かれたぐらいです。

高等部に入学した数日後、新入生の歓迎会とオリエンテーションが行われます。先生から事前に「今度、君たちの歓迎会とオリエンテーションがあります」と言われました。僕は聞き慣れない言葉に、「オリエンテーションって何だろう?」と思った記憶があります。

先生がオリエンテーションについて説明してくれました。しかし、僕は先生の話をうる覚えに聞いていたのだと思います。先生はオリエンテーションと言っていたにもかかわらず、時間がたつにつれ、僕の頭の中で自分が知っているレクリエーションという言葉になり、覚えてしまっていたのです。また、僕は「大人になるとレクリエーションのことをオリエンテーションって呼ぶのか」と大きな勘違いもしていた記憶があります。それとは別に地図とコンパスを頼りに探し物を探し、目的地に行くオリエンテーリングというものを知っていました。

今思えば、オリエンテーションという言葉の意味を知らなかった僕の頭で、「オリエンテーション」「オリエンテーリング」「レクリエーション」の意味が違う、似ている3つの言葉がごちゃ混ぜになっていたのでしょう。先生にオリエンテーションというものについて教わっていたにもかかわらず、僕は「楽しいゲーム大会をするんだ」と思い込んでいたのです。

オリエンテーションは会議室で行われた記憶があります。黒板の前にはテーブルが並べられて、僕たち1年生から3年生の高等部生徒が正面を向いて並びます。歌を歌って僕たち新入生の歓迎会が始まりました。そして歌を歌った後、その場の雰囲気が少し変わり、静かになったことを覚えています。

しばらくして、テーブルのある正面に数人の先生と数人の先輩方が座りました。「何が始まるんだ」。それは、これから始まる授業の説明と生徒会の説明でした。この時、僕はオリエンテーションというものを初めて知ったのです。

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◇

有田憲一郎

有田憲一郎

(ありた・けんいちろう)

1971年東京生まれ。72年脳性麻痺(まひ)と診断される。89年東京都立大泉養護学校高等部卒業。画家はらみちを氏との出会いで絵心を学び、カメラに魅力を感じ独学で写真も始める。タイプアートコンテスト東京都知事賞受賞(83年)、東京都障害者総合美術展写真の部入選(93年)。個展、写真展を仙台や東京などで開催し、2004年にはバングラデシュで障碍(しょうがい)を持つ仲間と共に展示会も開催した。05年に芸術・創作活動の場として「Zinno Art Design」設立。これまでにバングラデシュを4回訪問している。そこでテゼに出会い、最近のテゼ・アジア大会(インド07年・フィリピン10年・韓国13年)には毎回参加している。日本基督教団東北教区センター「エマオ」内の仙台青年学生センターでクラス「共に生きる~オアシス有田~」を担当(10〜14年)。著書に『有田憲一郎バングラデシュ夢紀行』(10年、自主出版)。月刊誌『スピリチュアリティー』(11年9・10月号、一麦出版社)で連載を執筆。15年から東京在住。フェイスブックやブログ「アリタワールド」でもメッセージを発信している。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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