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星のかけら

【童話】星のかけら(8)月山さんのプレゼント・その1 和泉糸子

2016年10月18日12時05分 コラムニスト : 和泉糸子
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関連タグ:和泉糸子

春休みになりました。もうすぐ4年生になると思うと、シュンスケは大人になるような気がしました。ワクワクするような、それでいてちょっとこまった感じもしていました。これからは週2回塾(じゅく)に行くことになっていますし、スイミングにも行っていますし、友達と遊ぶ時間がへるかもしれないなあと、それがこまったの、中味でした。

ところが、ある夜のこと、ビッグニュースが飛びこんできました。

月山さんが教会にきふをした。お金ではなくて、山の中の土地と建物を教会の大人と子どもが使うように、プレゼントしてくれたのだそうです。

月山さんはまだ頭がぐんとはっきりしていたときに、ゆいごんを書いていました。ゆいごんというのは、自分が死んだあと、こうしてほしいとたのむ手紙です。むすめさんが、お父さんが生きているうちにその願いを実現してあげようと考えて、シュンスケのパパに相談したのだそうです。

月山さんの1人むすめはレナさんという人で、シュンスケのパパの友達でした。イギリス人と結婚(けっこん)して、結婚式のころは月山さんも奥さんもまだ元気でしたから、ロンドンまで出かけたのです。レインボー・ホームに入ったことを聞いて、心配になったのでしょうね、ひさしぶりにレナさんが帰国したのです。

シュンスケのパパは司法書士(しほうしょし)のお仕事をしていましたから、相談を聞いてあげました。どういうわけか、月山さんがあの土地と家を教会におくるのを早くしてほしいと、何度もはっきりした声で、レナさんに頼んだらしいのです。

月山さんの住んでいた家は別のところにありましたけど、もう一けん山の中に家があって、そこは、教会の子どもたちが夏期学校で遊んだり、大人の人たちが集まったりするのにもちょうどいい場所だから、自分が生きているうちに、この話を進めてほしいと熱心に頼んだそうです。

レナさんは日本にいる間、月山さんを住んでいた家に連れて帰り、お世話をしました。わずか1カ月でしたけど、月山さんは喜びました。そして、山の中のもう一けんの家にも車を借りて、連れて行ってあげたのです。そこはもともと月山さんのおじさんがくらしていた家でした。おじさんは月山満(みつる)という絵かきさんで、少しは名の知られた人でしたが、結婚しませんでしたので子どもがなく、その家と土地は月山さんが相続したのです。

山の中の家ですから、不便な場所です。アトリエと2階の住まいのほかは、広い庭があるだけでした。その庭に月山さんはログハウスを建て、奥さんのピアノも運び、2人で静かな時をすごしていた時期もありました。奥さんのぜんそくの持病に、山の空気がいいだろうということで、ひと月の半分くらい山の家ですごすこともあったようです。

けれど奥さんの病気が重くなると、便利な町中の家に帰り、奥さんが亡くなると、もう山の家に行くことも無くなりました。

山の家に着くと、月山さんはたいそう喜びました。アトリエの中にも入り、この家と土地を生きている間に教会にプレゼントしたいと言いだしたのです。

レナさんがシュンスケのパパに相談に来たのは、そういうわけだったと、シュンスケは教えてもらいました。

そしていろんな手続きが終わって、山の家は教会の持ち物になったのです。

その上、月山さんは、アトリエのかぎを、ユキト、シュンスケ、ケンタの3人の子どもたちに渡してやってほしい。最初に子どもたちにアトリエを見せてやってほしいと、言われたのだそうです。

「あの子たちに手紙をもらったから」・・・そう、月山さんが言ったという、レナさんの伝言とかぎをあずかっているけど。「一体どんな手紙を書いたのかい?」

「うん、それは秘密。3人組の秘密だから、パパにも言えないよ」。シュンスケは、早く2人に知らせなくちゃと、その晩、なかなか眠れませんでした。

そして、3人組は山の家にやってきました。1時間に2本しかバスがやって来ない不便な場所です。自転車で行こうかと相談していたら、あぶないからやめなさいと言われ、行きがけ、牧師さんが車で送ってくれました。

帰りはバスで帰るからと、おべんとうと水とうをもってピクニック気分で3人は大喜びでした。バス停までは20分も歩くのです。でも、もうすぐ4年生になるので、それくらい平気でした。

「こまったことがあったら電話しなさい」。牧師さんはそう言って帰っていきました。ログハウスのかぎを開けてくれ、もちろんアトリエのかぎも渡してくれました。3人とも携帯(けいたい)電話をもっています。山の家でも携帯電話は通じるのです。

ログハウスの電気もアトリエの電気も、もうつくのです。水道も使えます。おまけに冷ぞう庫にはお茶やミネラルウォーターも入っています。ログハウスに持ちものを置いて、3人はアトリエに急ぎました。

シュンスケがかぎを開けました。電気をつけて、部屋を見回すと、机の上に手紙が置いてありました。「小人に会うには、地下室に行きなさい。これが下におりる階段の場所とかぎです」。紙の下の方にアトリエのスケッチと階段の場所が書いてありました。そして、セロテープでかぎがはりつけてありました。

大きな少し曲がった字でした。

「月山のおじさんが書いてくれたんだ」。子どもたちはむねが熱くなりました。スケッチは、色えんぴつで書かれたとてもわかりやすい、きれいな絵でした。

階段のある場所には、小さめのじゅうたんがしかれていました。じゅうたんをのけなければ入り口は分かりません。あとで、元通りにしておこうと、シュンスケは思いました。そしてかぎを開けて、板を上にはね上げると、階段が見えました。階段の上の方に電気のスイッチがありました。3人組はおそるおそる階段を下りていきます。

地下室はしめったにおいがします。長い間使われていなかった部屋です。それに窓がありませんから、決して気持ちのいい場所ではありませんが、小人に会えるかもしれないと思うと、ワクワクしますし、ドキドキもしました。

けれどすみずみまでさがしても、どこにも小人はいません。大きな木の机といすが4つ。机の上にはノートのようなものが置いてありました。

そしていろんな場所に絵が立てかけてあります。

「小人の絵だよ。3人いる」「お父さんとお母さんと子どもなのかなあ」「このお父さんの顔、ビタエさんに似ているような気がしない?」

右下にM.Tというサインがありました。

「この絵も小人の絵だよ」。そこには子どもの小人が笑っている姿がえがかれていました。テーブルを囲んで小人の家族が食事をしている様子。ベッドで眠っている子どもの姿。何かを作っている老人の姿。10枚ほど置かれていた、がくぶちもついていない油絵はどれも、小人をかいたものでした。

「小人に会えるってこの絵のことなのかなあ」。シュンスケは思いました。

その時、「ここに来て」というユキトの声がしました。すみっこの暗いあたりの方から聞こえます。

「この奥にも部屋がありそうだよ」

シュンスケとケンタが飛んでいくと、ユキトがアコーディオン・ドアをゆっくりと開けました。そこにはミニチュアセットのような、小さなものがいっぱいありました。

小さなテーブル。小さないす。小さなベッド。小さなソファ。小さなコップ。小さなお皿。

「小人の家だ」「でも小人はどこにいるんだろう」

見回しても、姿は見えません。それに、よく見るとテーブルにもお皿にもほこりが積もっています。

3人はあきらめて、元の場所にもどり、机の上のノートを開きました。(つづく)

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◇

和泉糸子

和泉糸子

(いずみ・いとこ)

1944年生まれ、福岡市出身。65年、福岡バプテスト教会で受洗、後に日本基督教団の教会に転入し、Cコースで補教師試験に合格。96年より我孫子教会担任教師、2005年より主任担任教師となり、20年間在職。現在日本基督教団隠退教師。九州大学文学部卒業。東京都庁に勤務後、1978年より2002年まで、船橋市で夫と共にモンテッソリー教育を取り入れた幼児教育や、小中学生対象の教えない教育という、やや風変わりな私塾(レインボースクール)を運営。(2017年7月17日死去、プロフィールは執筆当時のものです)

【執筆者からのコメント:童話「星のかけら」は、小学生の孫のために書いたものですが、教会学校の子どもたちが少なくなっている今、お話を通して教会や神様に少しでも出会える場が与えられればうれしいです】

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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