Skip to main content
2021年1月22日08時58分更新
Go to homepage
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム
  2. 論説・コラム
  3. コラム
星のかけら

【童話】星のかけら(5)クリスマス・その1 和泉糸子

2016年9月27日16時12分 コラムニスト : 和泉糸子
  • ツイート
印刷
関連タグ:和泉糸子

クリスマスが近づきました。ケンタはお父さんから月山さんがレインボー・ホームに入ったことを聞きました。ケンタのお父さんはこのホームでお年よりのお世話をする仕事をしています。お年よりが毎日お泊まりをしてくらす老人ホームが上の階にあり、1階にはデイケアといって、朝夕車で送りむかえをしてもらって通ってくる人たちがいる、そういう所なのです。

月山さんは奥さんが亡くなって1人ぐらしをしていましたが、具合が悪くなりしばらく入院をしていました。たい院してまた1人でくらすのは大変なので、ホームに入ることになったのです。

ケンタは月山さんに会ったことがありません。でも、夏休みに3人で冒険したあの日に、月山さんのためにお祈りしたことをわすれたことがありませんでした。牧師夫人から聞いた不思議なお話もよく覚えていました。

ですから、クラスメートのシュンスケに月山さんのことを話すと、ユキトもいっしょに月山さんのお見まいに行こうよという話になりました。

冬休みにまた、ユキトが牧師館に来ていて、3人はクリスマス劇(げき)の練習をいっしょにしていたからでした。

月山さんはベッドの中で眠(ねむ)っているようでした。ケンタは月山さんに声をかけたらいいのかどうか、まよっていました。すると、シュンスケがトントンとかたをたたきました。ベッドの横のテーブルを指さして、ネッというような顔をしています。かざってあったのはイースターの卵でした。

ユキトは大たんに手に取っています。「これ、焼き物のようだよ」。シュンスケもケンタも手にとってながめました。

ビタエが石に変えたあの卵に似(に)ているような気がしました。でも、ここにあるのは似ているけれど別のものにちがいないと、ケンタは思いました。あの卵はバケツに入れて全部ビタエにわたしたはずでしたから。それにかざり物の卵は少しでこぼこしていて、ユリの花の絵がかいてあるだけの、あっさりしたものでしたから。

月山さんは軽い認知症(にんちしょう)だから、言っていることが分からないかもしれないよと、ケンタはお父さんに聞いていました。認知症というのはお年よりの病気なのだそうです。朝ご飯を食べたことをわすれて、ご飯はまだですかと聞いたり、自分の家族に向かって、どなたですかと聞いたりするのだそうです。

月山さんが目を覚ましたら、なんて言ったらいいのだろうとケンタは思いました。でも、月山さんはよく眠っていて、なかなか目を覚ましそうにありませんでした。

「月山さん、絵がうまいんだよ。自分で絵をかいた紙芝居を教会学校でしてくれた。ろうそくがなみだを流すお話」

「面白そうだね。どんな話」「ええっ、わすれちゃった。そこだけ覚えてる」

シュンスケとユキトのやりとりを聞いているうちにケンタはいいことを思いつきました。

「ねえ、クリスマスの歌を歌おうよ。月山さん、きっと喜ぶよ」

子どもたちは劇の中で歌うクリスマスの歌を歌いました。

「うれしい、うれしい、クリスマス。かん、かん、かん、かん、かねのおと。子どものすきなイエスさまの...」

すると、月山さんがうっすら目を開けて、うれしそうに笑いました。そして、いっしょに歌い出したのです。「たのしい、たのしい、クリスマス」って。

子どもたちもいっしょに歌いました。「りん、りん、りん、りん、すずのおと。サンタクロースのおじいさん、よい子をたずねて、そりのたび...」

「月山さん、ぼくたち、お見まいに来ました。これ、プレゼントです」。ケンタのプレゼントは、金色の星のついたクリスマスツリー。シュンスケのプレゼントは、赤いリボンのついたリース、そしてユキトのプレゼントは、ふわふわの白いわたのついた長ぐつでした。どれも折り紙で作ったものでしたけど、月山さんはにこにこして一つ一つ手にとって、「ホー、君たちが作ってくれたんか」と言って、喜んでくれました。

そして、「もうクリスマスか」って、少しウルウルした目をして、つぶやくと、目をとじて、また眠ってしまいました。

その晩、月山さんは夢を見ました。子どものころの月山さんが、絵かきのおじさんのアトリエに遊びに行った夢でした。昔、昔のことでしたのに、まるで昨日のことのように思えました。

おじさんのアトリエには地下室があって、せまい階段を下りると、下は物置になっていましたけど、その一すみに、小人の家族が住んでいました。おじさんは時々パンや水を、この小人たちに分けてあげていました。月山さんはぐうぜん小人の一家を見つけてしまい、びっくりしておじさんに話しました。

「だれにもナイショだよ。お父さんやお母さんにもだまってるんだよ。あの人たちは数が少なくなって、かくれてくらしているんだから」。おじさんは言いました。

「小人は長生きだけど、なかなか子どもができない。でもあの家族には子どもがいて、命をつないでいくことができる。幸せな家族だけど、ほかの小人たちとなかなか出会うことができずにいるから、何とかして助けてあげたいと、ぼくは思っている。つねくん、君も仲間になってくれるかい」

つねくんというのは月山さんの子どものころのよび名でした。

月山常雄(つきやま・つねお)というのが、本当の名前でしたけどね。(つづく)

<<前回へ     次回へ>>

◇

和泉糸子

和泉糸子

(いずみ・いとこ)

1944年生まれ、福岡市出身。1965年、福岡バプテスト教会で受洗、のちに日本基督教団の教会に転入し、Cコースで補教師試験に合格。1996年より我孫子教会担任教師、2005年より主任担任教師となり、20年間在職。現在日本基督教団隠退教師。

九州大学文学部卒業。東京都庁に勤務後、1978年より2002年まで、船橋市で夫と共にモンテッソリー教育を取り入れた幼児教育や、小中学生対象の教えない教育という、やや風変わりな私塾(レインボースクール)を運営。

童話「星のかけら」は、小学生の孫のために書いたものですが、教会学校の子どもたちが少なくなっている今、お話を通して教会や神様に少しでも出会える場が与えられればうれしいです。

関連タグ:和泉糸子
  • ツイート
▼関連記事を見る  ▼クリスチャントゥデイからのお願い

関連記事

  • 【聖書クイズ】雀一羽の値段は、現在の貨幣価値に換算すると?

  • 生命への畏敬―アルベルト・シュヴァイツァーの生涯(1)動物の苦しみ

  • 社会的弱者の友として―賀川豊彦の生涯(1)暗い出生

  • 非暴力で差別と闘った人―キング牧師の生涯(1)どうして黒人は差別されるの?

  • 貧民救済に命賭けて―山室軍平の生涯(1) 強さと優しさと

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

新型コロナウイルス特集ページ

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • 米国の大統領交代、トランプ氏の功績とは?

  • バイデン新大統領誕生、聖書の詩篇を引用し「米国の結束」呼び掛ける就任演説

  • カトリック東京大司教区の司祭1人が新型コロナに感染 隔離静養中

  • 「海外宣教」と「ラディカル・リベラリズム神学」 第23回断食祈祷聖会2日目

  • (み使いダニエル・信仰者編)シュンのものがたり

  • 世界3億4千万人のキリスト教徒が迫害下に コロナ禍で差別増、北朝鮮が20年連続ワースト1位

  • 「ワクチン接種は隣人愛の一部」 カンタベリー大主教がコロナワクチン接種

  • 群馬県太田市の教会クラスター、感染者78人に 県内最大規模

  • 米、中国のウイグル族など少数派に対する「ジェノサイド」を認定

  • 真理はあなたを自由にします イエス・キリスト・エクレシアよろこび研究会

  • 群馬県太田市の教会クラスター、感染者78人に 県内最大規模

  • バイデン新大統領誕生、聖書の詩篇を引用し「米国の結束」呼び掛ける就任演説

  • 世界3億4千万人のキリスト教徒が迫害下に コロナ禍で差別増、北朝鮮が20年連続ワースト1位

  • 映画「羊飼いと風船」 宗教と現代性、その普遍的な対立を見事に描き切った秀作

  • トランプ氏続投と「誤って預言した」 ジェレマイア・ジョンソン氏が謝罪

  • 米国の大統領交代、トランプ氏の功績とは?

  • 真理はあなたを自由にします イエス・キリスト・エクレシアよろこび研究会

  • 緊急事態宣言、7府県に拡大 対象地域のカトリック教区が相次いで対応方針発表

  • カトリック東京大司教区の司祭1人が新型コロナに感染 隔離静養中

  • 「開拓伝道は失われた人々への憐れみの心」 第23回断食祈祷聖会1日目

  • 米下院で「父」や「母」などの単語使用不可に フランクリン・グラハム氏「神の権威否定する」と批判

  • 群馬県内の教会でクラスター発生 40人が感染

  • トランプ氏続投と「誤って預言した」 ジェレマイア・ジョンソン氏が謝罪

  • 群馬県太田市の教会クラスター、感染者78人に 県内最大規模

  • トランプ支持者が米議会占拠 米キリスト教指導者らが相次ぎ批判、祈り呼び掛け

  • 映画「聖なる犯罪者」に見るヨーロッパ的「救い」の危うさ

  • コロナと自殺、必要なのは「絆」の再形成 精神科医の山中正雄牧師

  • バイデン新大統領誕生、聖書の詩篇を引用し「米国の結束」呼び掛ける就任演説

  • 榊原寛氏死去、79歳 お茶の水クリスチャン・センター顧問

  • イエス時代の儀式用沐浴槽、ゲツセマネで発見 地名の由来裏付けに

編集部のお勧め

  • 「開拓伝道は失われた人々への憐れみの心」 第23回断食祈祷聖会1日目

  • クリスチャン画家の山田桂子さんが姫路市美術展に入選 日米でアートミニストリー展開

  • コロナと自殺、必要なのは「絆」の再形成 精神科医の山中正雄牧師

  • 「聖書通読、回重ねるごとに喜びがある」 『1年で聖書を読破する。』の鈴木崇巨牧師

  • 「母は中絶を拒否した」 アンドレア・ボチェッリの証し

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 論説委員・編集部
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 問い合わせ・アクセス
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • Twitter
  • YouTube
  • RSS
Copyright © 2002-2021 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.