Skip to main content
2025年6月15日20時35分更新
クリスチャントゥデイ
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム
  2. 論説・コラム
  3. コラム
脳性麻痺と共に生きる相模原殺傷事件

脳性麻痺と共に生きる(15)相模原殺傷事件から3週間を経て今感じていること 有田憲一郎

2016年8月20日14時29分 コラムニスト : 有田憲一郎
  • ツイート
印刷
関連タグ:障がい

神奈川県相模原市の障碍(しょうがい)者施設で起きた元職員による入所者を狙った殺人事件から、時間だけが進んでいるような気がします。怒りしか出ないあり得ない驚愕(きょうがく)といえる事件が起き、前回、僕は急いでパソコンに向かいました。

あの記事を書いているとき、「どうしてこのような事件が起きてしまったんだ。もう少し未然に防げなかったのか」と、頭の中でさまざまなことが浮かんでいました。そのほとんどが怒りや悲しみです。

毎日のように流れていた情報は少なくなり、いつしか話題にも上らなくなってきました。そして、事件や容疑者に何かの進展が起きたり、裁判が近くなったりしてくると、思い出したかのように再び大きく取り上げられていくのでしょう。それは、この事件にかかわらず、どのような事件でも同じことがいえます。

「何をどうやって、この事件のことを書いてお伝えすればいいのか」。前回、実は戸惑いと迷いを覚えながらパソコンに向かっていたような気がします。無我夢中というような表現がふさわしいのか分かりませんが、「僕の目線で伝えよう」と必死で書いたことを覚えています。

「この痛ましい事件に関連して、もう少し書こう」。そう思いました。しかし、いざパソコンの前に座ると、キーボードの前で手が止まったまま、数時間も過ごす僕がいました。そして「違うことを書こう」と思っても、頭の片隅であの事件のことを考えていたのでしょう。数週間、何も書けないでいる僕がいたのです。

多くの報道番組で大きく取り上げられていました。事件があった障碍者施設に、多くの方や多くの障碍者仲間が花束を抱え、泣きながら訪れる光景が連日流れていました。多くの障碍者と多くの方の怒り、ご家族の悲しみと苦しみといった心境が、画面を通してひしひしと伝わってきます。そして、僕も自然と涙があふれ出ました。やるせない感情が表に出てきたのです。

逮捕されて数日後、容疑者はこんなことを話したといいます。「保護者の皆さんには、会ってお詫びしたい。会って謝りたい。しかし、障碍者当人たちには謝る気はない。謝ろうとも思わない」と。わが耳を疑ってしまうような、とても信じられない発言をしています。

言葉が出ないというのは、まさにこのことを言うのかもしれません。この発言内容をニュースで聞いたとき、僕は唖然(あぜん)としました。そして、新たな怒りや憎しみが感情として出てきます。

全国の障碍者団体がさまざまな形でコメントやメッセージを出しています。それは、障碍を持っている方一人一人に向けられた応援のメッセージです。僕は涙がこぼれました。

最近の供述で容疑者は、「今回、俺が起こした行動に多くの人が共感し、賛同してくれると思っていた」、そんな話をしているそうです。人間としてそんな残酷な考え方がどのように生まれてしまったのか、そして何が容疑者を狂わせていったのか。多くの方のうちに、怒りとともにやるせない中にも、多くの疑問と真実を知りたい思いがあるのではないでしょうか。

この事件が起きてから1週間後、千葉県の障碍者施設で暴行事件がありました。体が不自由で手足を動かすことも話すことできない重度の障碍を持つ方が、1人の職員に殴る蹴るの暴行を受けていました。

声を出すことも体を動かすこともできない障碍者の方が、抵抗することも助けを呼ぶこともできず、ただ痛みと苦しみに耐えるしかなかった光景が目に浮かびます。別の職員が大きな痛々しいアザや傷に気付き、問いただしたところ、容疑を認めたことから事件が発覚したといいます。

別の事件では、知的障碍者の作業施設で、職員が利用者に対して冒涜(ぼうとく)するような暴言と暴力を行っていた事件がありました。利用者数人と職員1人の密室の作業部屋で起きた事件で、他の職員が不振に思い、隠しカメラを仕掛け、事件が発覚しました。この事件もニュースで大きく取り上げられましたので、皆さんの記憶にも残っていることと思います。

今回の相模原の事件を含め、障碍者に対する暴力発言や暴力行為、そして殺害事件というのは決して少なくはありません。大きくニュースとして取り上げられる事件というのは、わずかなのかもしれません。

僕は、ご存じのように障碍を持って生まれてきました。神様が大切で尊い1つの命をお与えくださいました。そして、この世で生きる権利を与えてくださり、この世での働きをお与えくださっています。

世界中に、障碍を持ちながら精いっぱい生き、必死で生きておられる仲間たちがいます。「生きていることが喜び」そして「生きていてくれるだけでいい」、家族たちのそうした願いがあります。

「一生懸命頑張ろうとしているのに」。事件のニュースで映し出された女性で障碍を持った方の言葉です。彼女は涙ながらに大きな花束を抱え、そう叫んでいました。悔やんでも悔やみきれない怒りと感情が爆発していました。

毎日真剣に障碍者と向き合い、共に生き、必死で命と生活を支え守ってくださっている職員さんやヘルパーさんがいます。真面目に寝る間も惜しみ、限界も感じながら、また腰や体調を崩しながら働いてくださっている多くの方がいてくださいます。支えてくださっている多くの方一人一人への感謝の思いでいつもいます。

そうした中で、障碍者の尊厳を侮辱し、差別以上の扱いをし、殺人を起こした容疑者を、個人として決して許すことはできません。そして、人間としても許すことなどできません。

容疑者には罪を償ってもらうことはもちろん、包み隠さず、真実をうそ偽りなく、全て語ってもらいたいと思います。そして、己(おの)が犯した罪の深さを反省し、犠牲となられた障碍を持つ当事者の方々に真心から謝罪してもらいたい。

今回の事件に複雑な思いと怒りを持ちながら書かせていただきました。

犠牲となられ、尊い命を奪われてしまわれた方、重傷を負われてしまわれた方、心に大きく深い傷を負われてしまわれた方に、心からお悔やみ申し上げます。

<<前回へ     次回へ>>

◇

有田憲一郎

有田憲一郎

(ありた・けんいちろう)

1971年東京生まれ。72年脳性麻痺(まひ)と診断される。89年東京都立大泉養護学校高等部卒業。画家はらみちを氏との出会いで絵心を学び、カメラに魅力を感じ独学で写真も始める。タイプアートコンテスト東京都知事賞受賞(83年)、東京都障害者総合美術展写真の部入選(93年)。個展、写真展を仙台や東京などで開催し、2004年にはバングラデシュで障碍(しょうがい)を持つ仲間と共に展示会も開催した。05年に芸術・創作活動の場として「Zinno Art Design」設立。これまでにバングラデシュを4回訪問している。そこでテゼに出会い、最近のテゼ・アジア大会(インド07年・フィリピン10年・韓国13年)には毎回参加している。日本基督教団東北教区センター「エマオ」内の仙台青年学生センターでクラス「共に生きる~オアシス有田~」を担当(10〜14年)。著書に『有田憲一郎バングラデシュ夢紀行』(10年、自主出版)。月刊誌『スピリチュアリティー』(11年9・10月号、一麦出版社)で連載を執筆。15年から東京在住。フェイスブックやブログ「アリタワールド」でもメッセージを発信している。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
関連タグ:障がい
  • ツイート

関連記事

  • 脳性麻痺と共に生きる(14)相模原障がい者施設殺傷事件:障碍者から最も大切なものを奪った 有田憲一郎

  • 相模原障がい者施設殺傷事件:ルーテル学院大の江藤直純学長「私たちは、絶対者の前で皆平等な存在」

  • 相模原障がい者施設殺傷事件:世界教会協議会「全ての人間の生命の肯定が必要」

  • 脳性麻痺と共に生きる(1)自己紹介 有田憲一郎

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • コヘレトの言葉(伝道者の書)を読む(5)時の賛歌 臼田宣弘

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • 日本人に寄り添う福音宣教の扉(224)音楽が支える聖霊による祈り 広田信也

  • ワールドミッションレポート(6月15日):ベラルーシのために祈ろう

  • 花嫁(27)絶えず喜んでいなさい 星野ひかり

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • ワールドミッションレポート(6月14日):スイス 信仰で買ったトラクター、ローレン・カニングハムとYWAMに託された農場の奇跡

  • ワールドミッションレポート(6月12日):ベルギーのために祈ろう

  • ウォルター・ブルッゲマン氏死去、92歳 現代米国を代表する旧約聖書学者

  • 「ハーベスト・ジャパン2025」開催決定! “世界的な癒やしの器” ギエルモ・マルドナード牧師が来日

  • 【ペンテコステメッセージ】約束の成就と聖霊の力―ペンテコステの恵みにあずかる 田頭真一

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • 『天国は、ほんとうにある』のコルトン君、臨死体験から22年後の今

  • 1990年代生まれのプログラマー、カトリック教会の聖人に

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • 大統領選の結果受け韓国の主要キリスト教団体が相次いで声明、和解と相互尊重を訴え

  • ウォルター・ブルッゲマン氏死去、92歳 現代米国を代表する旧約聖書学者

  • 戦時下でも福音は止まらない ウクライナの伝道者が欧州伝道会議で講演

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

  • 「ハーベスト・ジャパン2025」開催決定! “世界的な癒やしの器” ギエルモ・マルドナード牧師が来日

  • 『天国は、ほんとうにある』のコルトン君、臨死体験から22年後の今

  • 1990年代生まれのプログラマー、カトリック教会の聖人に

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • 大統領選の結果受け韓国の主要キリスト教団体が相次いで声明、和解と相互尊重を訴え

  • 【ペンテコステメッセージ】約束の成就と聖霊の力―ペンテコステの恵みにあずかる 田頭真一

  • フランクリン・グラハム氏、ゼレンスキー大統領と面会 和平求め祈り

  • 淀橋教会、峯野龍弘主管牧師が引退し元老牧師に 新主管牧師は金聖燮副牧師

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

編集部のおすすめ

  • 四国の全教会の活性化と福音宣教の前進のために 「愛と希望の祭典・四国」プレ大会開催

  • イースターは「揺るぎない希望」 第62回首都圏イースターのつどい

  • 2026年に東京のスタジアムで伝道集会開催へ 「過去に見たことのないリバイバルを」

  • 「山田火砂子監督、さようなら」 教会でお別れの会、親交あった俳優らが思い出語る

  • 日本は性的人身取引が「野放し」 支援団体代表者らが院内集会で報告、法規制強化を要請

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 編集部
  • お問い合わせ
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 採用情報
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • X(旧Twitter)
  • Instagram
  • YouTube
  • RSS
Copyright © 2002-2025 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.