ケニアによる難民受け入れ終了の決定に再考を要求 キリスト教救援組織などが何千人もの危険増大を指摘

2016年5月17日15時18分 記者 : 行本尚史 印刷
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ケニア北東部のダダーブにある難民キャンプに到着した家族(2012年6月9日撮影、写真:Oxfam East Africa)

ワールド・ビジョン・インターナショナル(WVI)、イエズス会難民サービス(JRS)、ルーテル世界連盟(LWF)といったキリスト教救援組織を含む11のNGO(非政府組織)が、ケニア政府に対し、同国にある難民キャンプを閉鎖し難民問題省を解散するとの意向を再考するよう強く要求している。LWFが公式サイトで11日に伝えた。

これらのNGOは10日付の共同声明文で「難民キャンプを閉鎖することは、何千人もの難民や庇護希望者たちの保護に関する危険の増大を意味するだろう。その大多数は女性や子どもたち、そして同伴者のいない年少者たちだ」と述べた。また、ケニアに対し、人権侵害を受けやすい難民の保護と権利を支え続けるよう求めた。

これらのNGOには、アクション・アフリカ・ヘルプ、デンマーク難民協議会、へシマ・ケニア、国際救援委員会、ノルウェー難民協議会、オックスファム、ケニア難民協会、セーブ・ザ・チルドレンも含まれている。

ケニアの内務省は6日付の声明で「安全保障に対する計り知れないほど大きな挑戦」とし、ソマリア難民の帰還の速さが遅いことを「難民の受け入れが終わりに達した」とする今回の決定の要素として挙げた。同声明は、ダダーブとカクマの難民キャンプが「できるだけ短い時間のうちに」閉鎖されるだろうと述べた。

11のNGOは、上記二つのキャンプを突然に閉鎖することは、東アフリカにある他の国々がすでに膨大な難民の人口を背負っていることから、この地域にとっての人道的な破局を引き起こしかねないと主張している。ケニア政府に対し、時宜にかなった情報の共有や安全保障上の脅威の緩和と対応を支援するために、同キャンプや受け入れ地域に警官を増やすなど、持続可能な方法で難民キャンプを続けるよう促した。

また、難民問題省を解散することによって、自発的な帰還を含む、難民に対する奉仕の提供に関して非常に重大な調整の格差が生まれることになるとも述べた。

難民の大半の出身国、ソマリアと南スーダンでは、平和を取り戻すためのプログラムが現在進行中にもかかわらず、状況は「悲惨で虚弱」なままであり、立ち退きも続いているという。難民に関する法律や庇護体制は、とりわけヨーロッパで非難の的となっていると、これらのNGOは述べた。その上で、ケニアに対し「その道に続いて行くのではなく、国際社会からもっと多くの支援を受けて、難民を受け入れ続けるように」と強く求めた。

ケニアによる難民受け入れ終了の決定に再考を要求 キリスト教救援組織などが何千人もの危険増大を指摘
ソマリア人難民がケニアに流入した、ケニア北東部のダダーブにある難民キャンプ(写真:Oxfam East Africa、2011年7月8日に撮影)

難民のために提言活動をする

LWF総幹事のマルティン・ユンゲ牧師・博士はこのNGOの声明を歓迎し、紛争や環境災害からの避難を求める人々に対して、ケニアが過去数十年間にわたって歓待してきたことへの評価を繰り返し述べた。

LWFは難民の保護を求めて提言活動を続けるという。「難民を受け入れる重荷は分かち合うべきであり、国際社会は追加的な資金の支援を難民のプログラムに提供すべきだ」と同総幹事は述べた。

同総幹事は、ジュネーブ難民条約に定められている通り、難民を保護するための自らの義務を維持するという、国際社会における国家の責任負担が劣化しつつあることに憂慮を示した。

「この条約に署名した国々は、あたかもそうしたことがなかったかのように、あるいはこの条約が存在しなかったかのように振る舞うべきではない」と同総幹事は付け加えた。

ケニアによる難民受け入れ終了の決定に再考を要求 キリスト教救援組織などが何千人もの危険増大を指摘
ケニア北東部のダダーブにある難民キャンプの難民シェルター(避難所)(2011年11月16日に撮影、写真:DFID – UK Department for International Development)

ケニアは60万人近い難民を主に北東部にあるダダーブと北西部にあるカクマのキャンプで受け入れているが、これらは1990年代初めに設営されたものだ。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、この数字には主にダダーブにいる40万人を超えるソマリア人が含まれているという。カクマには約18万5千人の難民がおり、その大多数が南スーダン人、スーダン人、そしてソマリア人だという。

LWFはUNHCRと協力して、世界中で約230万人の難民を支援している。ケニアとジブチにおけるプログラムは、ダダーブやカクマおよびジブチの難民を支援するものであるが、一方でチャドやブルンジ、コンゴ民主共和国、エチオピア、モーリタニア、南スーダン、ウガンダのプログラムは、この地域で再発している紛争を逃れる何千人もより多くの人たちを受け入れている。

なお、ワールド・ビジョンは40年間にわたりケニアで57の地域開発プログラムにおいて子どもたちの福祉の強化を全国47の地域で助けてきた。ワールドビジョン・ケニアの戦略的な目標は、提言活動や政策への影響力を通じて、260万人の非常に脆弱な子どもたちと1400万人の子どもたちの保護や福祉の増大に貢献することだという。

一方、JRSのプログラムは45カ国にあり、キャンプや都市の難民、自国内で立ち退きをさせられた個人、都市の庇護希望者たち、収容所でとらわれている人たちに支援を行っている。主な活動分野は教育や緊急支援、保健、福祉活動や社会奉仕だという。

「ケニアによる難民キャンプ閉鎖の意向に再考を要求」と題するこの11のNGOによる共同声明文の英語全文はこちら(WVIJRSLWF)。

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