教皇の難民連れ帰りは土壇場の「ひらめき」

2016年4月19日01時40分 印刷

【CJC=東京】教皇フランシスコがギリシャのレスボス島を訪問する1週間ほど前、バチカン(ローマ教皇庁)関係者が教皇に対し、ギリシャで立ち往生している難民をローマに連れて来てはどうかと持ちかけた。

アリタリア航空のチャーター便にシリア人の難民3家族、12人を同乗させた教皇は、レスボス島からの帰途の機上で「それはインスピレーションだった。私はその提案を直ちに受け入れた」と振り返った。

教皇は難民の人権尊重を自身の取り組むべき中心課題に据えているとはいえ、シリア難民をローマに連れて帰るという今回の行動は最も挑発的な動き、と米紙ウォールストリート・ジャーナル(日本語電子版)は報じた。欧州連合(EU)の新政策では、ギリシャに不法に到着する移民・難民はトルコに送還されることになっているからだ。

レスボス島から難民をローマに連れて帰るという教皇の決断を受けて、イタリアやギリシャ、バチカンの外交関係者らは適切な難民を探すのに奔走した。現在、ギリシャには5万人の難民が足止めを食っている。しかも、ローマに連れてくる難民は特に弱い立場にある必要がある。

教皇は、バチカンが宗教に基づいて人を区別することはないとしている。教皇がローマに連れてきた難民12人は全員、イスラム教徒だ。教皇は「キリスト教徒かイスラム教徒かという宗教面での選択は行わなかった」とし、「この3家族は書類がそろっていた。例えば、そうではないキリスト教徒の家族もいた。だが今回の12人は全員、神の子だ」と語った。

同紙によると、バチカンは、イタリアのカトリック団体「聖エジディオ共同体」に支援を求めた。同団体は移民・難民の支援に積極的に関わっている。関係者は、イタリアのテレビ局とのインタビューで、「選ばれた人々はそれを信じられなかった」と話した。

当初は聖エジディオ共同体がこの家族の面倒を見るが、その後はバチカンが責任を負うという。バチカンが金銭的な支援を行うことになる。

3家族はローマ教皇とともに16日にイタリアに到着すると、すぐに難民申請を行ったという。

イタリアのセルジョ・マッタレッラ大統領は同日、教皇のこの行動を称賛し、これが「欧州と国際社会の魂を深く揺さぶる」ことを期待すると述べた。

一方、反移民を掲げる北部同盟のマッテオ・サルビーニ書記長は教皇を批判し、「バチカンのすぐ外にも貧しい人々がいる」とした上で、(そうした人々の救済には)「飛行機で連れに行く必要がないのでそれほどしゃれた行動にならない」と皮肉っている。

※この記事はCJC通信の提供記事を一部編集して掲載したものです。

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