【ユダヤ文化と聖書2】イースターと過越の祭り 関智征

2016年3月28日16時26分 コラムニスト : 関智征 印刷
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【ユダヤ文化と聖書2】イースターと過越の祭り 関智征

イースター(復活祭)は、キリスト教会にとって最も重要なお祝いの一つです。十字架の上で殺されたイエス・キリストが3日目に復活したことを祝うこの祭り。日本でも、イースターのキャンペーンを実施する企業も増え、イースターの名前が知られるようになってきました。

なぜキリスト教は「キリストが復活した」ことを盛大に祝うのでしょうか。これを理解する上で、イエスの時代のユダヤ文化、特に「過越(すぎこし)の祭り」を知っておくことが助けになります。

1. 最後の晩餐は「過越の祭り」の食事

あなたは、最後の晩餐がユダヤの過越の祭りの食事であることを知ってましたか。イースター事件、すなわちキリストの十字架と復活は、過越の祭りの文脈で起きたものです。

イエスの時代、エルサレムのユダヤ人は、過越の祭り初日の夜に「セデル(順序)」と呼ばれる食事会を行いました。これは、自分たちの先祖がエジプトの奴隷状態からモーセによって解放されるとき、ユダヤ民族が神の裁きから守られ、一切の必要が満たされたことを忘れないようにするためのものです。

イエスが、十字架にかかる前の夜に弟子たちと共にした食事は、まさに過越の祭りのセデルでした。イエスの時代、過越の祭りで、汚れや傷のない完全な小羊が、いけにえとしてささげられました。

イースター事件では、完全な小羊イエスが、贖(あがな)いのために十字架にささげられました。すなわち、イエス・キリストこそ、歴史上ただ一人、罪のない人間として私たちの罪のためにいけにえとしてささげられた「過越の小羊」です。

かつて、エジプト脱出の前夜、神の使いがエジプト中の初子(長男)を殺す中、ユダヤ民族は、家の門に子羊の血を塗ることにより、神の裁きがユダヤの民を過ぎ越していきました。

同じように、小羊キリストの犠牲のゆえに、神の裁きはキリストの血で覆われている民を過ぎ越してくださいます。

2. パン種を取り除く

過越の祭りまでの数日間は、ユダヤの家庭では、非常にユニークな「春の大掃除」があります。なぜなら、この時期、パン種のくずを一つ残さず、家の中から取り除かなければならないからです。

過越の祭りの間は、種なしパン(イーストを使わないパン)を食べなければなりません。8日間は、パン種を使ったものは、何であれ口にすることはできません。そのため、祭りの前に、徹底的に家の中からパン種を取り除く大掃除をするわけです。

聖書において、パン種は「罪の象徴」です。

新しい粉のかたまりのままでいるために、古いパン種を取り除きなさい。あなたがたはパン種のないものだからです。私たちの過越の小羊キリストが、すでにほふられたからです。(Ⅰコリント5:7)

ユダヤ人は家の中から、全てのパン種を取り除こうとします。同じように、私たちも生活の中から、悪意、邪悪などあらゆる罪を取り除くようにします。

イエス・キリストが、命のパン、新しいパンです。この「パン種の入っていない純粋で真実なパン」であるキリストによる祭りが、イースターです。

3. 初穂の祭りとキリストの復活

過越の祭りが終わった最初の安息日の翌日(日曜日)に、「初穂の祭り」があります。初穂の祭りにおいて、祭司が収穫の初穂の束を揺り動かすとき、主への全焼のいけにえとして、1歳の傷のない子羊がささげられます(羊の丸焼き!)。

イエス・キリストは、初穂の祭りの日に復活されました。これは、イエスが「死者の復活の初穂」となったことを象徴しています。「初穂」ということは、終末時に「キリストにある人々」が復活する前の最初の収穫としてイエスの復活があった、ということです。

イースターの希望は、私たちも将来、朽ちない体で復活する。いや、今、既に復活の命を頂いているところにあります。

以上、神がエジプトで奴隷生活からユダヤ民族を救って、自由にしてくださった恵みを思い返し、感謝をささげるのが「過越の祭り」でした。

一方、イエス・キリストが、罪の奴隷状態である私たちのために十字架にかかり、罪から自由にしてくださったことを感謝すると同時に、キリストが死を打ち破って3日目に復活してくださり、私たちに永遠の命を与えてくださったことを祝うのが、イースターです。

私たちは、死を打ち破り復活したキリストに参与し、新しい命(ブランドニューライフ)の中で生かされていく。これこそが、イースターで私たちがキリストの復活を祝う理由なのです。

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関智征

関智征(せきともゆき)

ブランドニューライフ牧師。東京大学法学部卒業、聖学院大学博士後期課程修了、博士(学術)。専門は、キリスト教学、死生学。論文に『パウロの「信仰義認論」再考ー「パウロ研究の新しい視点」との対話をとおしてー』など多数。

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