香港基督教協進会、中国の抗日戦勝70周年で「慰安婦」ビデオを上映

2015年9月7日14時54分 記者 : 行本尚史 印刷
+香港基督教協進会、中国の抗日戦勝70周年で「慰安婦」ビデオを上映
香港基督教協進会(HKCC)が開いたビデオ上映会の様子=3日、HKCCホール(香港・九龍地区)で(写真:HKCC提供)

香港基督教協進会(HKCC)の「性に関する正義促進小委員会」は、中国が抗日戦勝70周年を迎えた9月3日、「従軍慰安婦」に関するビデオ『大娘たちの戦争は終わらない~中国山西省・黄土の村の性暴力』(58分、2004年)を広東語の字幕付きで、香港の九龍地区にあるHKCCのホールで上映した。

元NHKディレクターの池田恵理子氏が撮影・編集したこのビデオを、制作・販売しているグループ「ビデオ塾」は、日中戦争で激戦地となった中国山西省には、日本軍から性暴力を受け、解放後もさまざまな苦難を強いられてきた女性たちがいると説明している。一方、日本政府に謝罪と賠償を求めた2004年の時点で、そのうち既に原告3人が亡くなったとも述べている。

このビデオは、10人の大娘(ダーニャン=おばあさん)たちのそれぞれの被害と、現在までの人生を聞き取った映像記録。ビデオ塾は、女性への暴力や差別のない社会を目指して、「女性の人権」の視点から映像制作や学習会などを続けていると公式サイトで説明している。

HKCCは上映会開催前、「(この)記録映画を通じて、大娘たちの苦痛に満ちた非常に困難な人生を共有し、戦争での『勝利』を記念し、戦争の『勝利』が持つ意味をあらためて考え、戦争に苦しむ女性たちを心に留めたい」と述べていた。なお、HKCCは「慰安婦」という呼称がそれらの女性たちにとって屈辱的であるとして、大娘という呼称を使っている。

香港基督教協進会、中国の抗日戦勝70周年で「慰安婦」ビデオを上映
ビデオの一場面(写真:HKCC提供)

上映会を開いた同小委員会プロジェクト担当オフィサーの曹曉彤(ツォ・ヒウトゥン)さんによると、この日の上映会には45人が参加。映画上映の後には、小出雅生氏(香港中文大学日本研究学科講師)が、日本人で香港在住という混ざり合ったアイデンティティーを「慰安婦」との関連で話し、「慰安婦」の略史について、また海南省での大娘との出会いについて語った。

小出氏は本紙に対し、「今まで、韓国でやっている水曜デモの1000回記念で、アジア全体での連帯行動では香港からは何もできなかったのですが、意外に関心を持ってくれているのにはびっくりでした」と語った。小出氏によると、文献には香港にも「慰安所」があったことが記されており、今回はそれについても紹介したという。

この上映会に参加した九龍ユニオンチャーチのフィリス・ウォン牧師はHKCCに対し、「とても意義深い催し物だった」と述べた。

ウォン牧師は、「このドキュメンタリーに感動しました。日中戦争の間に軍の人たちと性交を強制された全ての女性たちの痛みや苦しみは決して忘れてはならない。記憶するとは贖(あがな)うことであり、悲劇が再び起こるのを防ぐことだ。このドキュメンタリーは悲しいが、しかし、生き残った女性たちの強さが分かるし、日本と中国の多くの女性たちが正義を求める努力を続けているから、とても励みになり、力を与えるものだ」と語った。

香港基督教協進会、中国の抗日戦勝70周年で「慰安婦」ビデオを上映
ビデオ上映会で発題する香港中文大学日本研究学科講師の小出雅生氏(右奥)(写真:HKCC提供)

また、「日本人の発題者である小出雅生氏のお話にもとても感動している。戦時中の性奴隷に関する彼の関心と、海南島で生き残った女性たちへの彼の個人的な訪問に、私は深く感動した。ある意味で、彼は戦時中に日本の当局が犯した罪を贖うために自らの国を代弁しているのだと私は思う。加えて私は、神がこの謙虚で優しい若い日本人男性を通じて、これらの女性たちを癒やし、慰めてくださるのだと思う」と語った。

そして、「戦争に勝者はいない。誰もが皆、敗者であり被害者なのだ。平和を求め、それをもって生きることは、全人類の目標なのだ」と結んだ。

なお、香港では、中国の抗日戦勝70周年を記念し、この日は今年限りの一時的な特別休日とされた。

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